アタシの母はリタリン依存症です。リタリンとは簡単に説明すると、病院で処方される唯一の覚せい剤です。


***********

また電話を切られた。

相手がいるからかかなり強気。
夜中2時。
まだ帰らない。

2時15分。

やっと電話が通じた。

『警察来ないじゃない。嘘つき。さっき呼ぶっていったじゃない。』

母が言った。すぐ男が出た。

『嘘ついてんじゃねぇーよ、警察こねぇーじゃねぇかよ!!』

こんなに怒りが込み上げた事はないと言うほど、震えが止まらなかった。

相手は母だから。

警察沙汰にはしたくなかったし、信じたい気持ちがあったのに。全て裏切られたような気持ちになった。

『今どこにいるの?』

『家のそばの公園だけど~。』

『分かった。』

自分じゃもう対処出来ないと思った。
怒り任せに言ってしまった。

『もう帰らなくていいから。』

今までなんでこんなにしてきたのにこんな仕打ちを受けるのだろうか…。
悲しみでいっぱいで、電話を切って泣いた。

思い切って110番した。
生まれて初めて。

震えながら話した。

薬物中毒で闘病中の母が、一緒に出掛けた男性とまだ帰らず、飲んではいけないお酒をたくさん飲み、連絡したら一緒にいる男性に怒鳴られ、怖くて迎えにもいけない。近所にいるようなので、見回りをして母がいたら帰るように促して欲しいと。


近所の交番から警官が行くので、しばらく待っていてくださいね。大丈夫ですよ。

そう言われ、しばらくすると警官が家に来た。
アタシの母はリタリン依存症です。リタリンとは簡単に説明すると、病院で処方される唯一の覚せい剤です。


***********

ある日の土曜日。

母はまた出掛けたまま帰らない。

午前0時を回っても帰らない母の携帯に電話をかけた。
気付いていないのか中々電話に出ない。
何コールかしてから母が電話に出た。

『もしもし~』

呂律が回っていない。

『何してるの?何時だと思ってるの?』

『お酒飲んでカラオケにいるの~。別に迷惑かけてないんだからいいでしょ。』

ふざけるなと思った。
怒りを抑えて

『一緒にいる人に代わって。』

『もしもーし、坂本でーす。』

ヘラヘラした態度で、呂律が回っていない男が出た。

『今何時だか分かっていますか?いい加減にしてください。母は病気で薬を飲んでいてお酒は飲んではいけないんですよ。分かりますか?』

冷静に私が言うと

『あんたには関係ねぇーだろうが!!!』

怒鳴られた。見知らぬ相手に。

『関係ないわけないでしょ。私は娘ですよ。早く母を返してください。』


『しらねぇーよ、さよーならー。』

そう言うと電話を切られた。

震え上がるほどに怒りが込み上げた。
母にも相手の男にも。

付き合うなとは言ってない。
節度のある付き合いをしてほしい。
家族に迷惑をかけるような付き合いしかできないような相手と結婚なんてやめてほしい。

それから30分以上電話に出ない状態が続いた。

相手は男。

何をされるか分からない。
母を迎えに行くにしても怖い。
警察に相談しよう。
そう思った。

やっと連絡が着いた時、

『2時までに帰らなかったら、警察と一緒に迎えに行くからね。』

『勝手にすればー。』ガチャ。


腹綿が煮え繰り返るとはこういう事?

それくらい怒りが込み上げていた。
アタシの母はリタリン依存症です。リタリンとは簡単に説明すると、病院で処方される唯一の覚せい剤です。


***********

とりあえず薬を変えてもらった。

仕事を休むようになったが、増やした2つめの仕事を辞めるように話した。

一人で独立して生計を立てたい気持ちは分かる。でもそれで体を壊しては意味がない。
今家族が願うことは、母が元気になること。


母は仕事を1つやめて、今まで通りの掃除の仕事と作業所への通所をするようになった。

それから約半年が過ぎようとした頃。

母が頻繁に外出するようになった。

一度出てしまうと、中々帰ってこない。

夜中12時を回る事が増えた。

私も気が気ではない。
何かあったのではないかと思ってしまう…。

私が夜まで仕事の時、帰りは10時を過ぎる。

母に子供たちを任せていたのに子供しかいない事があり、流石に怒りをぶつけた。

『どうせ、ゲームしてるだけなんだから』

母はそう言った。

そうかもしれない。
でも小学生の子供を置き去りにして出掛けるのは辞めてほしいと頼んだ。

私が夜まで仕事なのは月2回だけ。


誰と会ってるの?

無理な時連絡出来ないの?

『携帯持ってない人だから。結婚するときは言うから。』


また、男だ。


嫌な予感がした。