11の秘密 ラスト・メッセージ
アミの会(仮)
大崎梢・近藤史恵・篠田真由美・柴田よしき
永嶋恵美・新津きよみ・福田和代・松尾由美
松村比呂美・光原百合・矢崎存美
2022/04/14
★ひとことまとめ★
最後に伝えたいこと
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
最後に届けたかったのは――。
隠された幻の家訓、ある一族の謎めいた掟、読まれるはずのなかった遺言……
さまざまな形で残された<ラスト・メッセージ>とは?
秘められた思いが届くとき、驚きの結末に心揺さぶられる……
各ジャンルで活躍する実力派女性作家11名による、豪華アンソロジー!
大崎梢/近藤史恵/篠田真由美/柴田よしき/永嶋恵美/新津きよみ/ 福田和代/松尾由美/松村比呂美/光原百合/矢崎存美
【あらすじ & 感想】
お久しぶりのアミの会(仮)
本屋さんで見かけてから買おうかどうか悩みに悩み…結局図書館で予約をして順番が来るまで待っていました
ブログ書いて気づいたのは、今回は作家さん(作品数)が多い!いつもはだいたい8~9人だったはずなので、比べると3人も多い
過去読んだ作品に比べて読むのに時間がかかったなあと思ったのですが、そもそも作品数が多かったんですね。
どの作品も読後感が良く読みやすかったですが、中でも印象に残った作品を紹介します
・孤独の谷(近藤史恵)
主人公である大学教師の白柳。彼女の専門分野は風土病だ。
ある日学生の波良原美希から、彼女の出身地である纏谷村に伝わる妙な噂について相談を受ける。
「纏谷に住むものは、たったひとりで死ぬのだ」
纏谷でもし誰かが謎の死を遂げると、みんな村を出ていく。夫婦は離婚し、兄妹も親子も別々になる。
白柳は、それは何らかの伝染病から身を守るための言い伝えではないかと考えるも、美希の父親が亡くなってから実際に親族は村から出て、散り散りになってしまったという。
さらにその親戚たちはみんな海外に、それも言葉も分からないような地に引っ越しているようだ。まるで、生き延びるために何かから逃げているかのように…。
白柳は美希の親族を尋ね、纏谷の噂を解明するが…
大いにネタバレですが、まさか人と言語コミュニケーションを取ることが脳のダメージに繋がる一族とは…。
そして最後のページは「あちゃ~…」という感じでしたね。。。
まさに、”ラストメッセージ”でした。。。
・扉を開けて(篠田真由美)
「万国古物取扱 銀猫堂」のオーナーの老婦人と、訪ねてきた人々とのやり取りが書かれた作品です。
遺品について考えさせられる作品でした。
故人の手紙や日記などが、捨てられずに残されているということは、遺族である自分へのメッセージなのでは?と思ってしまう気持ちわかります。
けれど、もしそれが故人が単純に存在を忘れ、捨てずに残してしまっただけだったとしたら。誰にも見られたくない内容だったとしたら。
自分へのメッセージかもしれないと思い見てみたら、自分への憎しみが書かれていたら…。
大して意味もない、子供の悪戯書きのようなものなのに、見られれば人はきっとそうは思わない。
ひそかに書きつけて隠しておいた、これこそが娘に伝えたかったことなんだと思われる。
書いた当人は死んでしまって、どんな言い訳もできなくなってしまってから、それが人目に晒されるなんて、それも他ならぬ―――(P77)
人間いつ亡くなるかは誰にもわかりませんが、亡くなった時に遺すモノについて、少し考えないといけないなあと感じました
鬱真っ最中の時、死ぬ前に遺書として恨みつらみを書いておこう…読んだ人はずっと後悔し続ければいいと思ったことがあったのですが、普通に胸糞悪いからやめたほうがいいですね。。。
遺された人が本当に悲しむだけなので。。。自分が誰かにそれされたら、生き続ける自信ないなあ…。。。
作品ではハッピーエンドでしたが、現実世界では魔法のようにはいかないので…
・猫への遺言(柴田よしき)
主人公の菜々子は、夫の敏雄を新型コロナウイルスで亡くした。猫の梅吉と共に、敏雄が生前書き残した遺言書を確認する。
遺言書は2通。自分に宛てたものと、猫の梅吉に宛てたもの。
そこに書かれたラストメッセージとは…
やっぱり大切な人が亡くなる系の話はダメですね~
涙腺刺激されながら読みました。
新型コロナウイルスの蔓延で、毎日毎日、感染者何名、死亡何名と報道されていて、なんだか人の死を数字でしか実感できないような、自分がどんどん鈍感になっていくような怖さがあります。
と同時に、僕らが漫然と、来ると信じて疑わない「明日」は、もしかすると来ないのかもしれない、という不安に囚われるようにもなりました。(P105)
同じような気持ちになったことのある人もいるのではないでしょうか?
本日時点の、新型コロナウイルスでの死亡者数(累積)は29,041人。前日比だと+26名。
新型コロナウイルスに感染していなければ、まだ生きていたかもしれない人たち。タラレバの話をしても仕方がないですが。。。
数字だけ見ていると減った増えたと思ってしまうのですが、本当は0が良いに決まってる。
亡くなった方それぞれに、両親や子供や祖父母や大切な人たちがいる。数字だけ見れば”1”かもしれないけれど、悲しむ人は沢山いる。
そして、自分がその”1”になる可能性だって大いにある。きっとみんな、まさか自分がと思ったことでしょう。
梅吉への遺言書もよかったです。
もしかするとたまに、君のからだを借りるかもしれない。君の中に僕の魂が入って、僕が自ら菜々子さんを慰めてあげたいと思うことがあるかもしれない。
どうかその時は、ほんの少しの間、快く君のからだを僕に貸してください。(P114)
こんなの書き残されていたら、梅吉に甘えられるたびに思い出しちゃいます
福田和代さんの「そのハッカーの名は」も良かったなあ。
田んぼアートでQRコードを作るというのには驚きました。(稲の成長スピード的に可能なのだろうか…?)
アミの会(仮)は、「初恋」と「怪を編む」をまだ読んでいないので、近々それらを読もうかなと思います