祝言島
真梨幸子
2019/07/20
★ひとことまとめ★
真梨さん読み慣れている人ならすぐに繋がりがわかるかも…
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【内容紹介】
「消された島」をめぐる超弩級イヤミス!
東京オリンピック前夜の1964(昭和39)年、小笠原諸島にあった「祝言島」が噴火し、生き残った島民は青山のアパートに避難した。しかし後年、祝言島は”なかったこと”にされ、ネット上でも都市伝説になった。一方で、祝言島を撮ったドキュメンタリー映画が存在し、ノーカット版には恐ろしい映像が含まれていた。
2006年12月1日、東京で3人の人物が連続して殺され、未解決となっている「十二月一日連続殺人事件」。無関係と思われる3人の共通点が「祝言島」だった。半世紀を経て、”消された島”の禍々しい歴史が暴かれる――!!!
【感想】
久しぶりの真梨さん。
大学生の九重皐月(メイ)は、ある日突然置き手紙を置いていなくなってしまったスタイリストである母親を探すためにその置き手紙にかかれていた”大倉悟志”のもとを尋ねる。
フリープロデューサーである大倉から”祝言島”というドキュメンタリー映画とどうやら母親が関係していることを聞かされる。
大倉と会ったあと自宅に戻ると、母親がいつも鍵を閉めているはずのクローゼットが開いており、母親が戻ったのではないかと調べている最中に何者かに襲われる。
目が覚めると救急車の中で、どうやら自分は練炭を焚いて自殺を図ろうとしていたらしい…
次に目が覚めるとそこは病院のベッドの上だった。そんな時、いなくなったはずの母親が見舞いにやってきた。どうやら仕事で家を空けていただけらしい。
退院後、母親から冬休みのバイトとして”祝言島”を制作した”ベドラムクリエイティブ”という制作会社でバイトをしてみたらどうかと勧められ、契約書にサインし、ベドラムクリエイティブでテープチェックの仕事をすることになる。
そのテープには未解決事件である”十二月一日殺人事件”を再現ドラマやゲストコメントを用いて紹介する番組が録画されていた…。
って感じで皐月パートが終わり、再現ドラマの出演者パートに変わっていきます。
なんか出演者パート以降はあらすじとして紹介するのがめちゃめちゃややこしいのでもうネタバレになるんですが、
簡単に言うと、祝言島にはかつて精神病院があり、素行の悪い人間や他の子供と少し違う子供などにロボトミー手術を行っていた。その手術を行っていたのが現シノノメ美容外科の東雲義重。
そして祝言島でロボトミー手術を受けさせられた人間の中には、映画・祝言島の監督である嘉納明良(=東雲アキラ=サラ・ノナ=九重サラ)、十二月一日殺人事件で殺された国崎珠里(=七鬼紅玉)や、祝言島の映画内で実際に殺された八代勝子などがいた。
もうこのネタバレさえもわけわからないと思うのですが、登場人物がたくさん出てくるんだけれど、ロボトミー手術を受けたせいで二重人格になってしまったってオチなんですね。
皐月の母親の九重サラも嘉納明良であり、もう80歳そこらのおじいさんという…。80歳そこらのおじいさんがカツラかぶって「ママよ~」とか「ママ、ほっぺにキスして
」とか言ってるわけなんだけれど、皐月の頭は大丈夫なのか…?ロボトミー手術する前から皐月の頭がやばい気がしてならない。
ミスリードさせるためにあたかも2人いるようにしているけれど、実際は1人しかいないというわけだけれど、う~ん。。
なんでもありなんだよなあ。。。絶対に2人で会話しているような書き方なのに、最後になって「実は別人格でした~妄想でした~」みたいに言われてもねえ…。
最後の嘉納明良と九重サラとのネタバラシみたいなのも、読者が「?」ってなっているのを全部説明してくれているんだけれど、なんかこじつけというか、無理があるというか…。・
2人の人格がわざわざ答え合わせみたいな会話をする状況がおかしいような…。
ミスリードやどんでん返ししたいがために、だいぶ無理があるというかこじつけというか…。
私は真梨さんの本を結構読んできたので、登場人物の名前みただけでなんとなく因果というか、関係性がわかってくるようになってきたんだよね。
このお話でいうと、登場人物に1~9までの数字が名字に入っていて、どうやらそれが関係してくるんだろうなとか。祝言島にはかつてプラセンタを大量生産するために9人の慰安婦を使って子供を産ませていた過去があり、慰安婦9人にはそれぞれ数字の入った苗字が付けられ、生まれた子供にもその苗字が付けられた。
多くは本土に送られたが、素行不良の何人かが島に残され、ロボトミー手術を受けさせられた。
流石に苗字見ただけではロボトミー手術とかまでにはつながらないけど、読んでるうちに彼らの目の上に傷(手術痕)があることとが出てきたり、9人の母親の話が出てきて、これはそういうことかな…?と真梨さん読んでる人なら多分わかっちゃうんだよな~。
まあ簡単に言うと、祝言島でロボトミー手術させられた人たち、祝言島の血を引くものを嘉納明良は根絶やしにしたくて、関係のある人を殺したり、東雲家の養子に入り兄である東雲義重の力を借りて、因縁のある人にロボトミー手術を受けさせたりしているという…。
う~ん。全然まとめになってないな…。
なんか率直な感想としては、微妙でした
私の中ではやっぱりフジコか衝撃的すぎてね…。自分の中でここまでのイヤミスが初めてだったからね。今読んだら違うのかな…?
それで言うと、やっぱり前の作品を上回る作品を出さないといけないプレッシャーとか、同じジャンル(イヤミス)で書き続けることってすごく大変なことだよなって思う。
読者としてはイヤミスを求めているけれど、だいたいが人の裏切りとか女同士のねちねちとか、テーマ決まってくるしね…。どんでん返しに期待されるからミスリードするような書き方をするけれど、多重人格とか出されるとこっちも何でもありじゃん…ってなっちゃうし…。
う~ん、難しいですね
あんまり期待を込めて読まないほうがいいのかもしれない