95冊目:ヴァニティ② | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

 

ヴァニティ

唯川恵

2018/12/18

 

 

★ひとことまとめ★

女性なら誰でも共感できるはず!

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

「こんなはずじゃなかった」--悩みながら、泣きながら戦っているすべての“彼女”たちのために。(><)女性読者かカバーも帯もない文芸誌のような造本の「唯川恵ひとり雑誌」。バッグに放り込んで良し、丸めて手に持ち歩いて良し、女子必携の1冊。圧倒的な支持を受ける唯川恵が、アンソロジー等に執筆した中短編をまとめた傑作集。恋愛。結婚。仕事。浮気。不倫。出会いと別れ。女同士の友情。嫉妬--。女の数だけ、ドラマがある。幸せになる女がいれば、不幸になる女もいる。

 

 

【感想】

続き~!

 

 

・消息

忘れられない恋愛か。

忘れられないからこそ、新しい恋愛をして上書きをして、忘れる。って思っていたけれど、

「忘れられない何かがあるって、忘れてしまいたい何かがあることより、ずっと価値があるはずだ。」(P137)

と言われることで、

「なくした何かは、いつもひどく値打ちがあったような錯覚を

呼び起こす。探すことばかりに一生懸命で、つい顔を上げることを忘れてしまう。」(P137) 自分の気持ちに気づく。

 

おそらく主人公はこの相手と、相手のことを思いやる素敵な恋愛をしていくのかな~って想像しちゃった。

 

忘れたいことももちろんあるけれど、忘れないで思い出として

とっておいてもいいんじゃないかな~。

結局は時間が経てば落ち着いて、懐かしい気持ちで思い出す日が

くるし。

 

その忘れられず苦しむ気持ちも、まるっと包み込むようなやさしさがいいよね~。それでもいいよって言われているような。

結局失恋の痛みって、失恋した人にしかわからないし、

それがわかってあげられるってことは、きっと相手自身も

同じような経験があったんだろうな、だからこそわかってあげらるというか、わかってあげたいと思うんだろうな~と感じた。

(ただその女を落としたいがための口から出まかせみたいなのだったら最悪だけど…。)

 

はじめの方の、

「毎年、バースディは面接試験を受けているような気になるのよね。

この一年であなたはどんな女になったのって。

そして、これからの一年でどんな女になるつもりなのって。

意地悪な面接官に聞かれてるの。もちろん、それは私なんだけど」(P125)

これもなんとなくわかるなあ。去年と比べて、どう成長できたのって自分に問いかけがち。。

 

 

 

・明日の行方

「人生には、何かしら区切りのようなものが必要だと恭子は思う。たとえば、中学の時は高校入学が、高校では大学入学が、

そして大学では就職がひとつの区切りとなった。

就職して数年は仕事を覚えるのに精一杯だったが、少し落ち着くと次の区切りが欲しくなった。

区切り。それは結婚になると思っていた。そうして子供が生まれたり、今度はその子供たちの入学や卒業が区切りになって、

人生が彩られてゆく。」(P144)

 

これ最近とても思う。いつまでこの生活が続くんだろう。

仕事して、ぼちぼち友達と会って、休日を過ごして、

また仕事して…そんな生活。

いつ”ひと段落”するのかなって思って。

自分からライフイベントが起きるようにしなければ、

きっと社会人以降は区切りってないんだろうなと。

転勤とか、バリバリ働いてる人なら昇格とかが一つの区切りに

なるかもしれなけれど。

自分の場合はあったとして転職くらいかな…。

プライベート的な、ライフイベントって、もしかして自分の人生には起こらないのかなって不安になってくる。

 

「本当に大切なものを見つけるには、長い時間が必要なのだ。

時には、気が遠くなるほどの。」(P150)

最近、自分がどんなことをしているときがやりがいとか喜びを

感じるのかが少しずつ分かってきた。

もう何年も社会人やってるのに今更かよとも思うけれど。。。

それも、たぶん入社してすぐじゃ絶対わからなかったし、

ある意味仕事を通じて自分の人間性がわかってきたというか。

自分自身のことだって、まだまだわかりきれてないんだから、

大切なものを見つけるのだって一筋縄ではいかないよなあ。

それでもやっぱり焦っちゃうなあ~。

 

 

・ラテを飲みながら

「女にもてる男が、女に優しく振舞うのは、社交辞令のようなものだ。相手を不快にさせず、気を持たせつつ、尚且つ本気になることがないように気が配る。」(P158)

私これを学生のころから知っておきたかった!

やさしさとかにときめいていたのは本当に時間の無駄だったよ!

そういう人は誰にでも優しくする人だから、決して自分が特別

ではないのだと教えてやりたい…。

 

人に頼らず何でも自分で解決する。頼ることは恥ずかしいし、うまくできないところが見られるのも恥ずかしい。だから、弱い部分は絶対にみせない。主人公はほぼ私だなと思いました…。。

でも、結局自分の首が締まるんだよ。本当に頼りたいときに

頼りづらくなる。

 

「いいじゃん、困ったときは周りに頼れば。

たまに羽目を外して飲んじゃえば。音痴でも歌っちゃえば。」(P168)

私自身もお酒でやらかしたくないし、失態とか見せたくないから絶対酔うまでは飲まないし、カラオケも、昔うまくなかったんだけれど、すごい練習して、普通の人が聞いてれば上手いって思うようなレベルになった。(めっちゃうまい人から聞いたら、細かい音程とか違うかもしれないけれど。)

カラオケも、一部しか歌えない曲とか入れられない。(途中しか歌えないことが恥ずかしい。) うまく歌えなかったときは

猛烈に恥ずかしくなるし。本当は歌えるんだって弁解までしたくなる気持ちの時もあるww

あとは、自分の大好きな曲を、友達とかがうろ覚えで音もリズムもはずしてるときとかはちょっとイライラしちゃうww

性格きつ。

 

話を戻して…、

そんなことを気にせずできるようになりたい。

人の前でみっともない姿をさらしても大丈夫と思いたい。

 

結局はそんな姿を見たらみんな自分を嫌いになるって思ってるんだよね。中にはほんとにいるかもしれないけどさ。

 

まあ、そんな風になってもいいんだよ!って言ってくれるのは

ありがたいけど、仕事いつも全然しないで人にばかりやらせて

ごめーん☆上がるね☆とか、残業嫌なんで~っていうような

人にはなりたいとは思わないなあ…。

完璧主義すぎるのも問題だけれど、わりとどんなことでも

人に任せたり、責任感持たないのもどうかと思うな。

 

 

・あの日の夢

なんで自分はこんなことしてるのかなって思う時に、子供の頃とか思い出してみると、初心が思い出せたりするよね。

そうだ、こうなりたいと思ってたから、いま踏んばって頑張ってるんだ、みたいな。

または、子供の頃どんなことが自分は好きだったかなって考えるのもいいかもね。

大人になって周りと比べたりするようになると、純粋な気持ちだけじゃいられなくなるから、一度きちんと考えることが必要なのかもなあ。

 

 

・手のひらの雪のように

これは今年読んだアンソロジーに含まれてた!

 

 

・あしたまでの距離

なんとなくラストを予想してたけど、それに近い形の終わり方w

仕事は上手く行ってない。恋愛も上手く行ってない。

 

「こんなことで、私の人生、本当に大丈夫なのだろうか。

好きな仕事をしているわけでもない。それに勝るような恋をしているわけでない。

結婚だってできるかどうか。電車に乗っているように、このまま黙って揺られていれば、ちゃんとどこかに到着するのだろうか。

したとして、それはいったい、どこなのだろう。」(P208)

 

「結婚だっていつかはしたい。できたら三十五歳ぐらいには、などという予定も頭の中では立てている。

残るはあと三年。ニ、三年付き合うことを考えると、もう猶予があると思えない。

一体自分はどうなるのだろう。

わかっているのは、仕事も恋も、思い通りになるものは何ひとつない、ということだけだ。」(P210)

 

「はしゃいだ声を上げながらも、こんな生活をしていて本当にいいのだろうか、という疑問は莉沙の胸の中にいつも靄のように漂っている。」(P213)

 

こんな、毎日に悶々としている状況なら、かつてのみんなの憧れの同級生♂と再開したら、たしかに好きになっちゃうかもしれないし、既婚の専業主婦の友達を見れば

「働くことを厭う気はないし、自分の食い扶持は自分で稼ぐ、も当たり前だと思っている。それは胸を張ってもいいはずなのに、こうしてまどかを見ていると、割りを食っているような気分になった。

自分の食い扶持は『夫』に稼がせる、そっちの方がずっと楽しく生きられるのではないかという気がしてくる。」(P218)

とも思ってくるよね。

 

かつての憧れの人、いまも変わらず素敵で仕事もうまく行っているこの人と付き合って、結婚したら、自分の人生を薔薇色にしてくれるのではないか。

自分の夢を叶えてくれるためのチャンスを神様がくれたのかも。

そんなふうな妄想もするよね。

でも結局は、自分の人生は自分でしかどうにもできないんだけどね。

 

出てくる女性たちの気持ちにすごく共感できたなあ。

 

「そう、少しぐらいいやなことは我慢する。もうちょっといやなことも我慢する。大人なんだから、社会人なんだから。

でも、本当にいやなことまで我慢してしまってもいいのだろうか。(中略)自分にはしたいことがあるのに、それをしようとしない自分がいる。もしかしたら私は我慢を言い訳にしているのではないのだろうか。夢を諦める、いい口実に使っているのではないのだろうか。」(P241)

 

「ファミレスの店長という仕事に文句をつけるつもりはない。

この仕事の奥深さは知っているつもりだ。人によっては、楽しみだって生きがいだって見つけられる。

それなのに、自分は我慢という形でしか受け止められないでいる。迷惑なのはファミレスの方だ。嫌いなのはそんな自分だ。」(P242)

 

「幸せだとばかり思っていた。満ち足りた生活を送っているとばかり思っていた。けれども、ひとはそれぞれ胸の中で迷い続けている。これでいいの?このままでいいの?私の人生、本当に

間違ってない?」(P247)

 

結局仕事だってなんだって、自分がどう思うかなんだよなあ。

人から見て恥ずかしいと思う仕事(正しくいうと、恥ずかしいと思われると自分が思ってる仕事)だって、そのなかにやりがいとか見つけられる人は見つけられるしね。

怖くても、人からどう思われようと、結局自分の人生に責任をとるのは自分だし。とはいえ、それでも人の目が気になっちゃうんだけどー!

 

このお話の女性たちは良い方に向かっていったからよかったな。

 

 

 

さすがに書きすぎたからもう書かないけれど、

本の冒頭に「はじめに」があるって①で書いたけれど、これも本当に良い…もうはじめにからすでに胸にずしーんってくる。。。

はじめからおわりまでどれも全部いい。

どの話も全く共感できない、って女性はいないんじゃないかと

本気で思う!

とてもおすすめ。