本当のうそ
石田衣良・吉田篤弘・山之口洋
谷村志穂・日向蓬・橋本紡
神崎京介・山本幸久・大島真寿美
大道珠貴・井上荒野・甘粕りり子
★ひとことまとめ★
嘘にまつわるお話 サクッと読めます
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
嘘を巡る12の物語 様々なジャンルの小説家達が「嘘」をテーマに書いた短編を集めたアンソロジー。苦く切ない物語から、はっとする作品まで、色々な「嘘」を楽しんで下さい。
【感想】
アンソロジーが読みたくて。
・アイスドール(石田衣良)
人の気持ちがわからないと、人とのコミュニケーションって取れないよね。いくら美人でも可愛くても、それが発達障害とかのせいでも、やっぱり人は離れていくよね。生きづらいだろうなあと思う。かわいそうだなとは思うけれど、かと言ってこちら側が気を使いすぎても、疲れちゃうんだよね。ごめんね、嘘だから、って、何回そう言って誤魔化せばいいのかね。そんな付き合いは疲れないかね。
・ジェリー・フィッシュの夜(谷村志穂)
うーん。大人の別れって感じ。いっときの感情とか、好きって気持ちだけでは無理なこともあるよなあと。
・たわむれ(神崎京介)
嫌な男だな~。ほんと、ただの性欲の塊じゃん~。世の中こういう男の人も多いよね。思ってない気持ちでも、ベッドの中でとりあえず言っとくかで、言えちゃう人。それを社交辞令と受け取れる女もいるけれど、そう受け取れない女性にはそれは言ったらいけないよね。あとあと非常に揉める事例を私は知っている…。
・最初でも最期でもなく(大道珠貴)
女みたいな男、男みたいな女って表現が失礼だなあ~と思いつつも、そんなおじいちゃんおばあちゃんいるよね。見ただけでは性別がわからない人。息絶える最期のときまでどうかごまかし合えますように、って表現が悲しいなあ。けれど、考えてみれば死ぬ最期の瞬間まで相手のこと信じ合える関係に、なれるのかね。ごまかしあって、なんとなく夫婦って形を取り続けるような関係にはなりたくないなあ。
・イヤリング(吉田篤弘)
この嘘はいい嘘だなあ。人助けの嘘のような。ただ、嘘は嘘だから、良心の呵責があるとすこしずつほころびていくよね。自分の嘘は自分で始末しないと、相手に悪いよね。下手に申し訳無さを感じてうだうだしているより、そんなこと知らぬ存ぜぬくらいでいたほうが、関係はうまくいくんじゃないかな。
・去勢(日向蓬)
これはうんうんと思ってしまう話だった。鈍感というか、まったく自分の言った言葉が相手をどんな気持ちにするかわからない人。まじめに受け取った側の気持ちなんて全然わからない人。そんな人には嫌がらせ、嫌味の一言でも言ってやりたいよね。同じように傷つけばいいと思ってしまう。
・舌のさきで(山本幸久)
学生の頃の友情って、好きな人がかぶるとかそういうことであっけなく終わるよね。こんな簡単なひとつの嘘で関係が終わるくらいなら、嘘なんかつかなきゃよかった、って後悔しても遅いよね。
・ダッチオーブン(井上荒野)
男ほんとクズよなあ~。でも、それでも捨てられないって気持ちも分かる。男の嘘の話ってほんと女絡みばっかりだなあww浮気不倫…女に割とすぐにバレるんだから、わかりやすい嘘なんかつかなきゃいいのにー。証拠も隠しきれないんだからさ。
・プロパータイム(山之口洋)
この話はおもしろかった。騙し騙されって感じ。というか、末期癌の人の時計をずらすなんて初めて知った。まあ手術終わるといまが何時なのか、自分はどのくらい麻酔で意識失ってたかわからなくなるもんね。大人の世界の騙し合いって感じ。ハッピーエンド?でよかったよかった。
・雨、やみて(橋本紡)
今の彼氏といても別の男のこと考えることってあるよね。別に自分の気持ちまで相手に教える必要ないと思うよ。今一緒にいる人とは別の人のこと考えていても、相手に気づかなければ別にいいんじゃないのって思うよね。
・母の恋(大島真寿美)
嘘つく人って信用できないよね。というか、わかりやすい嘘、バレバレな嘘つく人というか。
嘘は相手にわからないように最後までつき通せば、もはや相手にとってはそれが真実になるし。変なところで証拠がでてきちゃったり、間違えて本当のこと言っちゃったり、根回しできてなかったりで、嘘がほころぶのってほんとにかっこ悪いし、頭悪いなあと思うわ。それならまだつかないほうがマシだよ。
・赤と透明(甘糟りり子)
いいお話だった。この嘘は誰も傷つけない嘘。相手のことを思いやるがゆえの嘘だよね。文章の感じも読みやすくてよかった〜。
どの作家さんも読みやすい書き方だったけど、どうしても大人の嘘って不倫とか浮気とかそういうことが多くてうんざりした。もっと、幸せな嘘がいいな〜