一部サッカーファンや解説者が「日本サッカー協会の対応はおかしい」と批判している。伊東純也が性加害報道で代表の試合に出られなかった件の話だ。
言いたいことはよくわかる。まだ罪状も何も決まってないわけだし、無罪推定の原則もわかっている。
フランスでの所属クラブでは何事もなく試合に出ているので、日本サッカー協会の対応がおかしく見えてしまうのだろう。
凡人にありがちな、表面的な見え方だ。
責任の重い「協会の会長」として想像することは、できないのだろう。
それは、仕方のないことだし、サッカーファンゆえに自分たちの都合を優先した意見に偏ってしまいがちだ。
まず、サッカー日本代表は
「日本国民の子供から大人まで、サッカー選手やファン、みんなを代表して選ばれた11人」
である。政治家と同じだ。
所属クラブは、会社に雇われた従業員でしかない。
そこが大きく違う。クラブチームは、自分たちの都合で試合に出してもいいし、選手が起訴されたり有罪になれば違約金求めたり解雇したり、自由にできるし、痛くもない。
しかし、代表は違う。自民党の政治家達を見てみたらわかる。彼らの都合で何やってもいい、なんてならないだろう。
スポンサーがお金を出すことで活動できるわけだし、税金の免除もあるので国民の税金も関与している。無責任な行動をしたら、代表に選ばれなかったサッカー選手達が損失を被る。
しかも、代表の試合の夜に、計画的常習的に複数男性で女性をホテルに連れ込むなんて、それだけで十分代表自粛レベル。
もしあの日、伊東を試合に出し、後になって起訴された場合、批判が渦巻く。その時
森保監督・田嶋会長
「それは、伊東選手が無罪と言ったから」
「賠償請求するなら、伊東選手が嘘ついたので、伊東選手に支払うよう言ってください」
となってしまう。
それでは、選手を潰すことになる。
そんな最悪な事態を回避するために、日本サッカー協会は伊東選手を守ったのだ。
それが、会社経営者だ。
将来のリスクから「従業員を守る」。そして、責任は会社が負い、個人に責任を負わせない、それが経営者だ。
そんな立場を経験したことがない人には理解できないだろう。