勤め人でない夫は、健康診断は、自費でしなければなりません。

 

保育園から、皆勤賞を自慢する。

 

中学野球部、高校陸上部、大学水泳部、社会人になって、スキーとテニス

 

怪我一つしたことがない、虫歯以外で医者に行ったことが無いと、健康自慢。

 

そんな夫の、50歳前に異変に気が付く。

 

枕が、頭の形に茶色く汚れる・・・毎日、枕カバーを変えた。

 

汗の臭いではなく、これが加齢臭化?と思った。

 

しかし、シーツの汚れがひどい。毎日頭を洗って、風呂に入らないと、寝かせなかった。

 

以前は、仕事して、汗をかいて、、疲れて寝てしまっても、気になる汚れは無かった。

 

脱いだ衣類が、匂う。娘たちが、お父さんと洗濯を別にして!と言う。

 

私は、どこか悪い所があるんじゃない?市の健康診断いってみたら?と言うと、

 

俺に悪い所は無い!馬鹿にするな!と、聞かなかった。

 

隣町に住む。尊敬する先輩が、癌になったと聞く。

 

見る間に痩せて、体は半分になり、やっと歩いている姿に、言葉を失った。

 

大腸癌で、手術をした。癌を取ったから大丈夫と言っていたが、

 

奥様は、癌に効果があると言う食材を取り寄せたり、温泉、神頼み、

 

人に良いと聞くと、すぐに試したり、あらゆる伝手を頼って、献身的に看ていた。

 

手術後、1年したかくらいのころ、訃報が届く。

 

8歳上と言っても、まだ50代。末息子は、私の長男と同級生の高校生だった。

 

50代後半になったころ、同級生の訃報が届く。1年に3人。

 

隣家の従兄が、癌になって、いくつもの病院を受診し、国立癌研まで行った。

 

60代、仕事が順調で、まだまだ働きたい為に、手術や新薬の治療を試みてる。

 

思うところがあったらしく、私には内緒で、市の集団検診を受けに行っていた。

 

健診から2日後に、電話が来た。

 

診断結果の知らせは、封書で1~2か月後なのですが、

 

こんな数値は見たことありません。大至急、大きな病院に行って下さい。

 

電話を受けてる夫は、初めてだって、こんなひどいの・・と、なぜか笑ってる。

 

すぐに、総合病院に予約を入れた。検査結果は、私も同行して聞いた。

 

担当医は、画像と数値を見せて、説明されたが、

 

小さな数字と文字がいっぱいで、チンプンカンプンだった。

 

10か所に針を刺して、細胞を取った結果、9か所から癌細胞が発見されました。

 

ご主人は、T4の前立腺癌です。

 

すぐに手術を申し込んだ。

 

担当医と執刀医は別で、部長クラスがされるので、安心して下さいと言われた。

 

入院準備をそろえて、手術日も決まった。

 

担当医からは、ちょっと画像が不鮮明なので、開腹して見る事になりました。

 

入院手続きも終わり、執刀医から、どんな手術になるかの説明を受ける時になって、

 

大変申し訳ありません、手術できません。担当と執刀医は、深く頭を下げた。

 

意味が解りません。

 

画像が不鮮明と担当から聞いていたので、開腹して見ると言いましたが

 

画像が白っぽくぼやけてるのは、炎症の広がりです。

 

・・・・・ほとんど白いですけど?

 

元の臓器から、隣接する臓器に広がってるんです。

 

全部取って下さい!

 

いつも黙っているだけの夫が、大きな声を出した。

 

申し訳ありませんが、私にはできません。日本中で、出来る医者はいないでしょう。

 

普通、臓器は、個別に膜で覆われてます。一つの臓器が悪ければ取り除けます。

 

しかし、あなたは、その膜が侵されて無くなってます。再生することはないですから・・

 

炎症がある部分を取ると言うことは、ほとんどの臓器が無くなります。

 

それらの臓器を取って、生きてる人は居ません。

 

じゃ、どうしたらいいんだ・・・

 

放射線で、小さして、これ以上の炎症を抑えてみますか。

 

癌細胞を作り出している元の臓器の動きを止めるんですね。

 

まだ若いので、動きが活発なので、弱らせる薬を飲んでいただいてからですね。

 

後は、心のケアをして、安静に過ごして行くですね。

 

手術以外の方法をするしかない。

 

セカンドオピニオンする。

 

隣家から、国立癌研について聞き、担当医に紹介状を書いて貰った。

 

画像を持って、知人のレントゲン技師に同行してもらって、癌研に行った。

 

結果は、同じだった。全ての臓器を取る医者は、世界中にもいない。

 

今までの担当医と同じ、飲み薬と放射線治療を進めていくことですね。

 

ホルモン剤を飲むことになった。

 

今までと同じに、ビールやワインを呑んでいる。

 

薬飲んでる時、アルコールはダメでしょ!と言うと。

 

医者は言わなかった!

 

診察日に、担当医に文句を言うと

 

・・・常識ですから。  苦しくなるのは本人です。飲め無くなりますよ・・

 

担当医からは、生活を変えない事です。

 

出来る事、したいことをして、穏やかに過ごして下さい。

 

5年は、変化が無いかと思われますが、その後ですね・・・・と言われていた。

 

放射線治療は、入院費が大金になる事を思って、通院ですることにした。

 

3か月に45回に分けて施すと説明された。

 

勤めがあるから、送迎はできない。自分で行って帰って来てもらうしかない。

 

具合が悪ければ、休んで待っていて。迎えに行くからと言った。

 

最初の日は、家で待機していた。

 

朝出て、昼過ぎに戻って来た。

 

思っていたより、大丈夫だ。と言っていた。

 

本人曰く、今日も被爆してきた・・・と言って、自室にこもって横になっていた。

 

そんな引きこもりが3か月。さすがに酒は飲んでいなかった。

 

治療のために、仕事はしない。知人には連絡した。

 

放射線治療は、成功して、侵攻が止まった。

 

寝てばかりだったので、筋力が落ちて、足元が頼りない。

 

筋トレ指導とかないのかな?と、担当医に聞いてみようと思ったが

 

回復はしないんだ。進行を止められればだから。

 

あとどのくらい・・・聞いたら、

 

奇跡を信じて

 

手術できない。再発しても、これ以上の放射線治療はできない。

 

医者には、出来る事が無いから。

 

あとは、心のケアをするですね、別の施設を紹介もしますって。

 

医者に見放されたって事か・・・