スーパー戦隊シリーズ

 ◯スーパー戦隊シリーズとは?

スーパー戦隊ヒーローは、地球の平和を守る戦士!

苦しい時も、悲しい時も

1人じやかなわないけど

仲間と力を合わせて

悪い奴らをやっつけるんだ!!


 【概要】


 複数名のヒーローが色ごとに分けられたスーツを着用し、悪の組織と戦うのがコンセプト。
1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』を第1作とし(詳細は後述)、2024年現在はシリーズ第48作目となる『爆上戦隊ブンブンジャー』が放送中。
2000年の『未来戦隊タイムレンジャー』からは共通ロゴが登場し、OPで表示されるのが恒例となっている

40年以上にわたって放送されている長寿番組であり、日本人なら「ウルトラマン」「仮面ライダー」と並び誰もが知っている特撮シリーズだろう。
また、テレビ朝日でも数少ない旧社名のNET時代から放送されている番組である。

最初の2作は石ノ森章太郎原作であったが、『バトルフィーバーJ』以降は八手三郎原作になっている。
ちなみにこの八手三郎というのは東映プロデューサーの共同ペンネーム。サンライズアニメの矢立肇と同じようなもの。

日曜移転後はスーパーヒーロータイムないしはニチアサキッズタイムに含まれており、スーパーヒーロータイムEDやらスペシャル回やらで平成仮面ライダーシリーズとの絡みも多い。

アジアやフランスで一部作品が放送されていた事はあったが、1993年からは『パワーレンジャーシリーズ』としてアメリカ進出を果たす。
日本の作品をベースにし、ドラマ部分をアメリカ人で撮影したローカライズ化が行われており、日本でも一部が吹き替えされ逆輸入版として放送実績がある。

勿論ありとあらゆるパロディも制作されており、これらには東映公認の作品も意外と多かったりする。


 【誕生経緯】


 1971年より開始した、言わずと知れた大人気特撮番組『仮面ライダー』。
毎日放送・NET(現:テレビ朝日)系の人気番組としてシリーズ化され、続編として「最初から5人の仮面ライダーを一度に登場させる」ものも企画されたが、「ヒーローは1人のもの」と反対を受けた。

その4年後の1975年。
毎日放送が腸捻転解消(*3)に伴いTBS系列にネットチェンジすることとなった。
これによりNETは仮面ライダーシリーズの放送権を失い、急遽新しい番組を作ることとなり、お蔵入りになっていた「5人の仮面ライダー」の企画が復活。
これがのちの『秘密戦隊ゴレンジャー』である。児童層を中心に視聴率常時20%超えの化物番組となった。
しかし、1977年放映開始の『ジャッカー電撃隊』はそこまでの人気を得られずに打ち切りとなってしまう。
1978年はスーパー戦隊シリーズのテレビシリーズが放映されなかったが、『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』の公開により映像作品としては一年も途切れていない。

その後、1978年5月より、東映はマーベル・コミックと提携して『スパイダーマン(東映版)』を制作した。
それに登場した巨大ロボ・レオパルドンが商業的にも大成功したことにより、
『ゴレンジャー』『ジャッカー』の「複数人ヒーロー」と、『スパイダーマン』の「巨大ロボ」を組み合わせた『バトルフィーバーJ』が1979年に放送開始。
そのヒットを受けて、以降現在にいたるまで一度の中断もなく、毎年新たなスーパー戦隊が登場している。
しかし、東映の吉川進プロデューサーは『バトルフィーバー』は『ゴレンジャー』『ジャッカー』の続きではなく、『スパイダーマン』に続くアメコミ第2作という認識であり、シリーズの基礎が出来上がったのは『電子戦隊デンジマン』からで、『太陽戦隊サンバルカン』から資料でもスーパー戦隊シリーズという表記が見られるようになる。『五星戦隊ダイレンジャー』から一時期の間は『ゴレンジャー』『ジャッカー』の「戦隊シリーズ」と『バトルフィーバー』以後の「スーパー戦隊シリーズ」を総称するという意味合いで『超世紀全戦隊』という名称も使われていた。

そういった経緯があったため、初期は『ゴレンジャー』『ジャッカー』をスーパー戦隊シリーズに組み込むかは表記が異なっていたが、現在では正式にシリーズの1つになっている。


【特徴】


 これらは多くのシリーズに共通する事項だが、 例外もあるので注意。


 ●人数は基本的に5人
初代からして5人で、うち1人から2人は女性。
これは歌舞伎『白浪五人男』からの影響や、東映内の「3人は少なく、4人は縁起が悪い。7人は多すぎる」という意見を受けている。
吉川氏は、『ゴレンジャー』第1話のクランクイン前日に 「ライダーは1人でも怪人を倒せるが、ゴレンジャーは5人が連携してようやく勝てるヒーローである」 とスタッフに語っている。『ゴレンジャー』本編でも、江戸川総司令が第5話で同じように「ゴレンジャーは、五つの力が一つになって、初めて勝利を物にする事ができる。な?その1つが欠けても、ダメなんだ。」と述べている。
その一方で、5人で1人の怪人と戦うのはいじめ問題につながるのではないかと一部の視聴者から指摘されている。

「勘違いするな!俺達は1の力を5分割して戦っているだけだ!」
「1人を相手に11人で戦って卑怯だとは思わなイのカ!」

基本的にはやはり5人なのだが、第2作目『ジャッカー』は初期4人戦隊。第5作目『サンバルカン』に始まり3人戦隊も少なくない。
しかし、多くの場合は新メンバーの追加により5人やそれ以上の人数になっている。
特に『ジャッカー』は追加メンバーの存在感からかほとんど5人戦隊扱いである。

第16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』からは新たな展開として、中盤から通常のメンバーとは外見や使用武器・ロボが一風異なる 追加戦士 が追加されるようになった。
原型は4作目『デンジマン』、8作目『超電子バイオマン』、11作目『光戦隊マスクマン』などにあるも、それらはあくまでも1話限りのゲストにすぎず、レギュラーとして本格的に登場するようになったのは『ジュウレンジャー』から。
ほかにも追加戦士枠が何人もいたり、主役とはまた別の戦隊が登場していたりする。
なお、追加戦士がOPにワンカット付きで登場するのは『百獣戦隊ガオレンジャー』になってからである。

取りまとめ役の司令官ポジションは奇数年が人間か人間に近いもの、偶数年が人間ではなくロボットやそれ以外の生命体であることが多い。メンバーが司令ポジを兼ねている作品もある。


 ●変身したメンバーは一色で作られたスーツを着用
ゴレンジャーの場合は赤 青 黄 桃 緑の5色をそれぞれが着用。
この他に黒と白は初期メンバー率が高く、金 銀などは主に追加戦士が使用している。
使用頻度の少ないマイナー色は臙脂 紺 紫 水色 灰 オレンジなど。
こういった色は『忍風戦隊ハリケンジャー』『獣電戦隊キョウリュウジャー』など特定の作品にしか出てこない。 


 ●巨大ロボットでの戦闘を行う
第3作目『バトルフィーバーJ』からの要素。
戦隊は悪の組織の怪人やその戦闘員を撃退!
すると、一度は倒した怪人が 巨大化 して復活し、ヒーローたちも巨大なロボで立ち向かうのが通例。
『侍戦隊シンケンジャー』からは巨大戦闘員も登場するようになった。

大抵の場合、それぞれの隊員が搭乗している小型メカが1つの巨大人型ロボットに合体する。
ただ、この形態となったのは第11作目『マスクマン』。これまでは変形や小規模な合体だった。
その翌年に放送された『超獣戦隊ライブマン』では最初からいたロボ(1号ロボ)ともうひとつのロボ(2号ロボ)が スーパー合体 し、さらに強化された形態に姿を変える展開も登場。
第17作目『ダイレンジャー』からは単体で人型ロボとして戦える戦力も登場した。
第25作目『ガオレンジャー』以降は、合体ロボのパーツに換装できる単品販売される小型メカも定番となった。
そして『炎神戦隊ゴーオンジャー』では、登場する全ての小型メカが一つの巨大ロボに合体するまでに至る。
ここ最近は巨大ロボが4,5体形成できるような陣営が続いており、『烈車戦隊トッキュウジャー』のように巨大戦で名乗りを出来るまでに進歩している。
以前は飛行メカ・母艦メカが存在したほか、合体前の形態も動物型や人型・車両型、意思を持つものなどバリエーションがあり、一口に語ることはできない。

なお、全体的な傾向として、合体前戦力ほど俊敏に動き、合体後はパワーファイターへと発展、スーパー合体で更に強化されると重火器が主武装の重戦車タイプになりやすい。
合体前戦力ほど細身のフォルムになりやすく、その分だけスーアクも動きやすいためである。
逆にスーパー合体ともなると重厚な5体合体へ更にパーツが追加されて重くなり、スーアクは武器を振り回すのも難しい。
全部載せタイプの最終形態に至ってはスーアクがマトモに動けないため、人が入らず外から操演を行うアップ用スーツやCG合成などで誤魔化すこととなる。
『ジュウレンジャー』では5体合体形態の上半身に別のコアメカ1体が合体したスーパー合体が登場したが、バランスが取れないため長物の武器を振り回せず、必殺技はエネルギーを集めて放つ光線技という演出になってしまった。
これから更にパワーアップした最終形態は、全部乗せの重戦車のような姿になったため、スーアクを使わないでプロップを操作する演出となった。
逆に『ダイレンジャー』では最終形態を重戦車の上に人形ロボが乗るデザインにして、アップにしたときスーアクの動きを撮れるようにしていた。
その後はスーパー合体でなるべく人型を維持する傾向が増え、CGの活用によりある程度動ける強化形態も登場している。
しかしいずれも最終形態に近づけば近づくほど必然的に機体はディテールが複雑化し、殴り合いには不向きなデザインになってしまう。
このため多くのシリーズで最終形態は巨大戦専用の合体武器のような位置付けになっており、登場して即トドメというパターンが専らである。
1号ロボの玩具は『ジェットイカロス』までと『ギンガイオー』『ビクトリーロポ』『ガオキング』『旋風神』がDX超合金ブランドで販売されていたが、『爆竜戦隊アバレンジャー』以降の戦隊ロボ玩具はDXブランドでの販売となっている(*4)。最後のDX超合金ブランドの戦隊ロボは『ハリケンジャー』の2号ロボ『轟雷神』である。
剣のパーツも『オーレンジャーロボ』までは銀メッキの硬いものだったが、『オーブロッカー』からは軟質の樹脂が使われている。
また、最近では変形・合体のギミックも簡単なものが多くなっており、メカがそのままくっついているような合体も見られるようになった。
これらの理由は玩具に対する安全基準が近年厳しくなっており、破損と誤飲防止のためシンプルで頑丈な設計を求められることが一因である。

ちなみに同様のことは小道具にも言え、戦隊側の武器は玩具化が前提となっているため、シンプルで丸みを帯びたデザインになっていることが多いが、小売店向けの商品として商品化されることが殆どない悪役サイドの武器はそのような配慮が必要ないので凝ったデザインになりやすい傾向がある。


 ●各作品は1年で終了。世界観ごと次の作品へと移行する。
前者の例外は『ゴレンジャー』(1年以上放映)と『ジャッカー』(1年未満で終了)。後者の例外は『デンジマン』→『サンバルカン』。
これ以外の場合、どうあろうと1年で4クール50話ほど放映し、次のシリーズへと完全に移行する。
こうしている理由については、本シリーズのプロデューサーを務めていた鈴木武幸氏いわく「続編を作るとマニアックな内容に変貌してしりすぼみになる可能性が高い」ため。
第28作目『特捜戦隊デカレンジャー』以降は、最終話終了直後にて現レッドが新レッドにバトンを渡すシーンも挿入されるようになった。

2000年代以降のドラマの中では、仮面ライダーシリーズ、NHK大河ドラマと並び、数少ない「俳優が一年通して参加できる撮影企画」であるため、若手俳優の登竜門に近い扱いも見受けられる。というよりも、業界内の暗黙の了解として「若手のための役であり、ベテランがやるものではない」という認識が大半なようである(*5)。
これは同時に、番組開始当初は主役陣でも相当低い演技力の人が少なくないということでもある……。そういう人が1年経つ頃には演技力を磨いて立派なヒーローになっている様を実感するのも「通」の楽しみ方だが。
レギュラー出演者の平均年齢が若いこともあり、ドラマ部分は全体的にバイタリティ溢れる展開になっていることが多い。
レッドの号令でメンバーが一斉に変身するようなシーンはどの作品も熱く、戦隊シリーズならではの見せ場と言える。
特に2000年代以降は平成ライダーと同じくイケメン俳優が注目されるようになり、本作を足掛かりに活躍の場を広げた人も少なくない。

世界観については放送終了後の展開を描いた「スーパー戦隊Vシネマ」や、スーパー戦隊同士が対決する触れ込みの「VSシリーズ」、それに劇場版などは例外。
また、第35作目『海賊戦隊ゴーカイジャー』は「歴代の34のスーパー戦隊が存在した世界」など作品自体がクロスオーバー企画になっているほか、
第39作目『手裏剣戦隊ニンニンジャー』では40周年を記念して、過去の戦隊が普通に登場している。
なお、海外版の『パワーレンジャー』の初期は世界観が地続きであった。普通に過去の戦士が登場するようにもなっている。
向こうのヒーローは何十年も(多少のリメイクはあれど)悪と戦い続けているので、人気があるものを終わらせて次へという感覚が理解し難かったらしい。

また、一部のスーパー戦隊作品は、マーベル・コミックとの提供のもと制作された作品がある。『バトルフィーバーJ』、『デンジマン』、『サンバルカン』がそれにあたり、
バトルフィーバーJはマーベルコミックスを形成する多数のマルチバースの中にも含まれ、アース番号はEatrh-79203である。マルチバースはマーベルに関係している全ての作品が平行世界として属しており、これに則ると、かのMCUシリーズやX-MENシリーズ、多数のスパイダーマン作品シリーズとも平行世界同士で世界観を共有していることになる。
これが単にバトルフィーバーJだけの作品設定になっているかは不明だが、ゴーカイジャーやその他の作品など世界観の地続きを明確示しているように、スーパー戦隊シリーズすべてがマーベルのマルチバースに属している可能性もある。また、スーパー戦隊シリーズはメタルヒーローシリーズや仮面ライダー、その他の東映特撮作品ともつながりがあるため、東映特撮全体が無数のマルチバースとして(※多少強引ではあるが)組み込まれて存在している可能性もある。