官能昔話より

タイトル:鶴の恩返し
朗  読:井上和彦
 
官能昔話、三作目は「鶴の恩返し」です。
「鶴女房」と呼ばれる事もあるようです。
 
お話の内容は、罠にかかった鶴を助けた働きものの若者のもとに、
嫁にして欲しいと美しい娘が訪ねてきます。
喜んで嫁に迎え、仲睦まじく暮らしていたある日、
娘は「決して姿を見ないで欲しい」と言って機屋に籠ります。
約束を守って待っていると、数日後、美しい布を抱えて娘が出てきます。
娘の織った布を売って、思わぬ大金を手にした若者は、
贅沢の味を知って働かなくなり、
お金が尽きると、また布を織って欲しいと娘にねだります。
布を織るたびにやつれて行く娘。
機屋から中々出てこない娘の事が気になって、
ついに約束を破って機屋を除いてしまう若者。
機屋の中には、自分の羽を抜いて布を織っている痩せこけた鶴の姿が…
正体を知られた娘は、織りあがった布を残して姿を消します。
 

お楽しみのこの作品への官能的な脚色ですけど、
お話が始まってすぐ、若者を訪ねてきた娘の描写が、
普通に昔話として語られるよりもかなり艶めいています。
 
メインとなるのは、若者が娘に「美しい布」をねだる場面。
娘に対する気遣いをみせ、艶っぽい声で娘への愛を口にする若者。
ですが、働きもので心優しい若者は、もうどこにもいません。
若者が口にする最後の言葉は「また機を織って欲しい」なのです。
甘い言葉に心をふるわせていたのに、
この言葉を耳にした途端に心が凍りつきました。
作中で表現されてはいませんが、娘の辛さが伝わってくるようです。
出だしが甘いだけに、哀しいシーンとなっています。


この14分程の「鶴の恩返し」という作品ですけど、
官能という面から言えば、
「一寸法師」「かぐや姫」と比べて濃度は薄いと言えるでしょう。
ですがこの作品、朗読者の井上和彦さんの表現力の確かさもあって、
心に染みるお話になっています。

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