界王神、その実力!?(下) | トルコネ商店☆中野店

界王神、その実力!?(下)

八○見乗児「ついに、まさおは捜し求めていたハカセに出会うことが出来た。

ピッコロの実力を再確認したまさおだったが、はたして界王神に打ち勝つ事が出来るのか?

ハカセはゆっくりと語りだすのだった……」


ティキティンティキティン!!テーテテ・テーレテテテレッテレーーーー♪ティキティン!!


『界王神、その実力!?(下)』



「……とは言ったものの、これは難題じゃぞ、まさおくん」

ハカセは自身の顔の前に両手を持ってきて、全ての指をお互いに触れるか触れないかのところでワシャワシャと動かす。目はうつろで焦点が合っていない。丁度『風の谷のナウシカ』に登場する『オウム』が口の周りのわけのわからないものを蠢かせているような感じだ。なんとも気持ちが悪い。

「データ……、データが少なすぎるんじゃ!……奴の実戦はわずかに一回、しかも対戦相手はかの魔人ブウじゃ、実力の拮抗した相手ならともかく、魔人ブウは強すぎる。案の定、コテンパンにのされてしもうた。……これでは、戦闘描写から界王神の実力を測ることは不可能なんじゃ」

ハカセの指が速度を増す。眼球運動もオカシイし、流れ落ちる汗の量もハンパじゃない。

ぼくは恐ろしくなって声をかけた。

「……あの、他に界王神の強さがわかるシーンは無いんですか?たとえばセリフとか、行動とか!」

――ピタッと、ハカセの動きが停止した。

全く微動だにしない。

5秒……

10秒……

15秒……

まさか死んで……!?

「ちょっと!?ハカ……」

ぼくが慌てて声をかけようとしたその時、ハカセの目がカッと見開いた!!と同時に、

「そうか!!セリフ!ハッ!あのセリフがあった!」

突然叫び声をあげた!

「セ……セリフ?」

ぼくは聞き返す。被爆した大量のつばを袖口で拭った。

「そうじゃ、界王神一行がバビディの宇宙船に向かう途中に言ってたじゃろ?飛んでる時じゃ、ベジータに、ほれ!」

飛んでるのはこの人の頭だ……。それにしても、飛んでるとき?う~ん……あ!

「えっ……とたしか、フリーザ程度なら一撃で……とか、あれですか?」


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ハカセはうなずいた。

「その通り、これは手がかりじゃぞ!……フリーザを一撃、誰が思い浮かぶ?まさおくん」

ぼくはハカセの質問に答える。あれしかない。

「……青年トランクス!!」


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ハカセはニッコリと笑った。

「そうじゃ!あのシーン、一見何発もの斬撃でフリーザは絶命したかに見える。が、実際には一太刀目で致命傷なのは明らかじゃ。トランクスは何のために無駄なバラバラ殺人を決行したのかは永遠の謎じゃが、そんなことはどうでもええ、ここでわかったことは一つ、界王神の力は初期のスーパーサイヤ人と同等かそれ以上じゃと言う事じゃ。……はっ!?……う~ん……」

言った後、ハカセは何故かまた考え込んでしまった。

ぼくは言った。

「……ということは、やっぱりピッコロの方が強いってことですよね?だって、ピッコロはヘタな人造人間なんて目じゃないほどの力を持ってるんだから!」

ハカセは申し訳なさそうに言った。

「……いや、だめじゃ、まだデータが全く足りておらん。初期のスーパーサイヤ人は下限、界王神の力の本質には一向にたどり着いておらん。これだけでは界王神の力が初期スーパーサイヤ人以上、ダーブラ未満のどこかということに限定されたに過ぎんのじゃ。そして……この戦闘力帯は残念な事にと言うかなんと言うか、ピッコロのソレと大きく重なっておる。下限を言えばピッコロより下、上限を言えばピッコロ以上、……振り出しじゃ」

「そんな……」

ぼくは落胆した。床に手をつこうかと思ったけど、汚いのでやめた。

「他に何か無いものか……?う~む」

また、ハカセの『オウム』が始まった。

ふと辺りを見ると、わけのわからないキノコや、意味のわからない蟲たちが大量に蠢いていた。『腐海』そっくりだ。不快だった。

「……まてよ、まずいぞこれは……」

ハカセがつぶやいた。目はうつろで焦点は定まっていない。

不都合な事でも判明したのだろうか?

「な、何がまずいんですか?」

ぼくは気になって問いただした。

「まさおくん、天下一武道会で起こったこと、憶えておるか?」

ハカセは質問に質問で返してきた。

「え?天下一武道会で?はい、ピッコロが界王神に……降参しました」

ぼくは律儀に答えた。何回言わす気だろうか?ムナクソ悪い。

するとハカセは左右にブンブンと首を振った。

「違う違う!!そっちじゃないんじゃ、わしの言っとるのは!悟飯の方じゃ」

「……悟飯の方?」

ぼくは首をかしげた。界王神の話じゃないのか?

「まさおくん、あの時、事件、そう事件があったよな?」

あれか?ぼくはため息をつきつつ答えた。

「ハァ~、悟飯がエネルギーを奪われました。ヤムーとスポポピッチに。……それが何か?」


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「悟飯はその時、スーパーサイヤ人2じゃったよな?たしか」

ぼくは記憶を探った。確かにそうだった。悟飯自身もそう言ってたし、スパークも出ていた。

「そうです。でもそれがどうだって言うんです?今は界王神の……」

ハカセがぼくの言葉をさえぎるように言う。

「ヤムーとスポポピッチの戦闘力は低い!!なぜ、彼らのミッションは成功したのかの!?」

何を言ってるんだ!それは……

「それは!界王神が……はっ!?」

「……界王神が?」

ハカセが続きを促す。

体の震えが止まらない。でも、言うしかない。

「……界王神が悟飯の動きを止めていたからです」


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ハカセは沈痛な面持ちで大きくうなずいた。

「……それって!?それってどういう……?」

認めたくない……認めたくない……認めたくない……

「スーパーサイヤ人2の動きを封じる超能力、ピッコロに通じぬ道理もあるまい……」

ようするに、……ピッコロの負け?そんな……

「……界王神の方が……強い?」


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祝福されえぬ言霊。嘘だ。気が遠くなる……



――何分、経ったのだろうか?

呆然としていたぼくの目の前に、相変わらずハカセが居た。心配そうにぼくを見ている。

「……ハカセ……」

「まさおくん、気が付いたかい?いきなり動かなくなるからビックリしてしまったぞい」

自分のことを棚にあげてよく言う。

「ハカセ、ホントに……」

「ん?ああ、本当じゃ。まあ時間にしたら3分くらいのもんじゃがな。しかし、起きてくれてホッとした」

ハカセは安心した表情をしている。でも、そういうことじゃなくて……、

「違うんです。ぼくが言っているのは……界王神が……」

それ以上は言えなかった。ぼくは上を向いて唇をかみ締めた。……ハカセの顔が醜すぎて正視に堪えないからだ。そうだ。それ以外の意味なんて無い。

「ん?蛍光灯が一本切れておるな。それを見つけたんじゃろ?ありがとう、後で換えておこう」

とぼけた老人だ。

ハカセは再び万年床に横になるとぼくの方を見ず、語りだした。声は真剣だった。

「……まさおくん、早とちりをしちゃいかん。……勝敗はついておらん。だってそうじゃろ?超能力が何だと言うのじゃ。こんなものは力量の一端ではあっても、勝敗を決する決定打にはなりえん。チャオズはクリリンに勝ったか?グルドは?ブルー将軍は?だいたい使用しながら戦えるのかもわからんからの」


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ハカセを見る。ニッコリと笑っている。

「……それじゃ?」

ぼくはそれだけ搾り出した。

「すまん!まさおくん、わしの力不足じゃ。これ以上の検証はわしにはムリじゃ!ピッコロと界王神の優劣はわしにゃわからん!わしを信じて頼ってきてくれたまさおくんを裏切ってしまう結果になってしまい、誠に申し訳ない!」

ハカセはガバッと起き上がると真っ直ぐにぼくを見つめて、深々と頭を下げた。

「許してくれるだろうか?」

ハカセはまだ頭を下げつつ、上目使いでチラリとぼくを見る。

謝る必要なんて無いのに!ぼくも自然と頭が下がった。

「ありがとうございました、ハカセ。許すも何もありません。だって、僕の長年のわだかまりが今日解決したんですから、ハカセのおかげですよ」

ハカセは顔を上げて、不思議そうにぼくを見る。

「何が解決したもんか!全く謎のままではないか!」

「……違うんです。違うんですよ。ぼくの本当に求めてた事って、そういうことじゃなかったのかなって。ポッと出のあんな情けない界王神にピッコロが負けるなんて絶対納得できなくて、それで意地張って、でも、今日のハカセとの話で気付いたんです。界王神には界王神の魅力があって、もちろんピッコロにはピッコロの魅力がある。それが合わさってドラゴンボールの魅力になってるのかなって。強いとか弱いとかそんなことじゃないんですよね。それに、今回で界王神がそんなに弱くないって事がわかったし!」

気持ちがスッとした。薄暗くて蛍光灯の一本切れたこの部屋もなんだか明るくなった気がした。

ハカセが言った。

「君は優秀だ」

ハカセの顔はやっぱり気持ち悪い。

――どこからか、チャイムが聞こえた。

ぼくは立ち上がった。壁に掛かっている時計を見る。午後5時だ。

「ハカセ、もう行かなきゃ、あまり長居しちゃ悪いし、この辺は夜になるとラナなんとかって叫びながら徘徊してる変質者が出るって話だから」

「そうか行くか」

ハカセは少し寂しげだ。

ぼくはまた深々と頭を下げた。

「今日は本当にありがとうございました!あの、ハカセ、……また、来てもいいですか?」

ハカセを見る。今日一番の笑顔を向けてきた。今日一番の醜さだ。

「当たり前じゃろ!!君はもうわしの弟子じゃ、まだまだ伝えなきゃならん事がある。その小さな体にわしの知識を全て搭載してやる。覚悟しておけ」

なんだか嬉しいような、おぞましいような。

「それじゃ、お邪魔しました!さようなら、ハカセ」

「うむ、またな!……あ、ちょっと待った!そうじゃそうじゃ、実は君にお願いがあるんじゃった」

ハカセはグルグル巻きの包帯の隙間から何かを取り出す。

「これを届けて欲しいんじゃ。下駄箱に入れといてくれりゃあええ、あて先は書いてある。君と同じ小学校じゃ、頼まれてくれるかの?」

ぼくはそれを受け取った。手紙だった。スライムのシールで封がしてある。
「わかりました。四年三組、同い年か。必ず届けます。それじゃハカセ!」

「ありがとう。気を付けて帰れよ!」

ぼくはハカセの家を出た。

「げほっ!!」

咳が出た。

「少し肺に入ったか?」

ぼくは独り言をつぶやいて家に向かった。





つづく……かも。


「オッス!オラまさお!ひゃーおでれーた!!

結論出ずだもんな!!それにまさかハカセの弟子になっちまうなんてよ!

でもよ、オラなんかわかんねーけど、ワクワクすっぞ!

それにしても、最後に渡された手紙、なんだったんだろうな?

一応届けてやっけど、相手が女だからな、

下駄箱に入れてるとこ見られたら学校行けなくなっちまうぞ!気を付けねえとな!

さて、次回のドラゴンボール考察なんだけど、

実はやっぱり更新日もネタも未定なんだ!デジャブだろ!!

前にも言ったけどトルコネのやつ、

基本的に「アタマ空っぽ」だからどうにもならねーみてーなんだ!

でもよ、その方が「夢詰め込める」って言うだろ?

そのうちまた続編を更新するから、

みんな、ちょっくら待っててくれよな。

じゃあ、コンゴトモヨロシクな!!」



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