金融情報サービスで世界2位のロイターは、米カナダの金融情報サービス大手トムスンの買収提案を受け入れると発表した。金額は約87億ポンド(約2兆700億円)。 欧州・アジアに強いロイターと北米が拠点のトムソン、市場・速報ニュースが得意のロイターと経済統計や財務データに強みを持つトムソンの合併は互いに補完し合う関係にあり大きなシナジーを生むことが予想される。
また、この合併により生まれる新会社「トムソン・ロイター」は金融情報サービス市場での34%(英調査会社インサイド・マーケットデータ調べ)となり、米ブルームバーグを抜いて首位となる。そして、この二社で市場全体の7割弱のシェアを持つ世界二強体制へと入る。
「金融情報サービス」とは投資家や証券会社などに市況データや経済ニュースなどをパソコンなどの端末を通じて有料で提供する業務。英インサイド・マーケット・データ社によると世界の金融情報サービスの市場は2006年に前年比11%増の126億ドルであり、今後も世界の株式売買が増加することを受け、10%前後の高い伸び率が見込まれる。
近年メディア企業の再編が進んでいる。その動きは最初は映画やテレビなどの映像分野で進んだ。それに一歩遅れて、新聞や通信社、金融情報などの文字情報が絡むメディアである。この合併はそんな動きの一端であろう。
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以前はインターネットの普及により、情報の価値というものは下落の一途をたどるものではないかと考えていた。しかし、この合併や上でも示されている”10%前後の高い成長率”ということからもわかるように、まだまだ「情報」は商売として十分にやっていけることがわかった。同じ日の新聞に載っていた識者の意見を引用したい。
<膨大な情報が行き来するインターネット時代を迎え、メディア企業が持つコンテンツの価値は低下しているといわれる。しかし、トムソンとロイターの二兆円規模の経営統合は、質の高い情報には非常に高い価値が見込めることを示した。> (同紙同日7面より エイドリアン・モンク氏による)
しかし同時に、無料紙の躍進(デンマークやスペインでは新聞市場全体の5割以上)や、日本におけるホットペッパーなどのフリーペーパーの広がりなど無料で手に入れられる情報(コンテンツ)も増えてきている。そして先日グーグルに16億円で買収されたYouTubeに代表されるような自分で情報(コンテンツ)を調べたり制作したりすることなく、個人が発信する情報をサポートするだけの企業も力を伸ばしてきている。
この二つの現象は、世界的に見て、確かで信頼の置ける情報の価値は依然として大きいままであるが、ジャンクな情報や軽いエンターテイメントに関する情報・コンテンツに関しては価値を失っていく。つまり、情報の二極化がおきようとしているということなのではないのであろうか。
タイム・ワーナーのリチャード・パーソンズCEOは以前、「コンテンツと配信手段を組み合わせる垂直統合モデルが依然として最適と信じる」(日経新聞’07 5月19日朝刊 第7面より)といっていたそうである。この言葉が正しいかどうかはわからないが、情報の価値が、インターネットによる世界の情報格差の減少により、変わってきているということは言えそうだ。
5月22日 田中ひろゆき