インボイス制度 ⑫免税事業者の対応の中で、免税事業者が課税事業者になる場合に、「簡易課税制度」の選択もできることを紹介しました。
今回は「簡易課税制度」の紹介をします。
(1)簡易課税制度とは?
消費税を計算する場合、通常は次のように計算します。
「課税売上に係る消費税額」-「課税仕入れ等に係る消費税額」
図の場合、70-50=20 となります。
これに対して、実際の課税仕入れ等の額を計算せずに、仕入額を売上額の一定割合とみなして(この割合をみなし仕入率といいます)、受け取った消費税から控除できる「簡易課税制度」があります。
例えば、上の図で、みなし仕入率を80%とすると
70-70×80%=14
と計算できます。
簡易課税制度を利用できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。
みなし仕入率は、業種ごとに定められていて、90%~40%まで6種類あります。
例えば、卸売業は90%、小売業は80%、製造業等は70%となります。
「簡易課税制度」は、「課税売上に係る消費税額」を利用して消費税額が計算できます。
実際の課税仕入れ等の計算をしなくて良いので、中小事業者にとっては事務負担が軽減できます。
「簡易課税制度」を利用すると事務負担が減りますが、原則の計算方法の方が、納める消費税額が少なくなる場合もありますので、どちらが有利になるか試算してみると良いと思います。
(2)簡易課税制度を利用する要件
①「消費税簡易課税制度選択届出書」を、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに税務署長に提出すること
※この届出書を出すと、最低2年は簡易課税を続ける必要があります。
②基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること
※基準期間とは、個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度となります。