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岐阜のはずれに家を建てる

岐阜の工務店エムズアソシエイツで建てる家づくり。

外壁の色はおそらく黒で決まりなのですが、いまだに深く悩んでいるのが、外壁を張る向きです。


間取りを打ち合わせている段階から、佐野さんからはガルバリウム鋼板の横張りを提案されていました。

エムズさんの事務所は、いわゆる角波(細かい凹凸がある)の縦張りです。

一般的にガルバリウム鋼板の外壁と言えば、このタイプが思い浮かべられると思いますが、最近は凹凸のないフラットなタイプで施工されることも多く、僕も何軒か見たことがあります。

これは単純な好みの問題で、もし横張りを提案されていなかったら、僕は角波のタイプを選びたいと思っていました。


佐野さんが提案してくれている横張りは、フラットなタイプの鋼板を張るのですが、縦張りの場合は隣り合った鋼板同士が干渉しないところ、横張りの場合は上の鋼板の下端が下の鋼板の上端の外側になるよう、下から順に重ね合わせられていきます。

古い家屋だと、杉板を上下に重ね合わせながら横張りにしたものが今でもたまに見られますが、風情があって僕はすごく好きです(鎧張りと呼ばれることもあるそうです)。

横張りの中には、真ん中付近に折りが入った鋼板を重ね合わせたものもあり、昔の蔵なんかだとそういった意匠の外壁を見かけることがあります(僕が実際に見たことのある蔵には銅が使われていました)。



横張りの良いところは、昔の日本家屋の意匠を残しながら、その一方で、色や素材によってはアメリカの住宅をも思わせるという、デザイン上の振り幅の大きさで、いずれにしてもガルバリウム鋼板のデメリットである倉庫っぽさが緩和されるところだと思います。


逆に横張りの心配な点として、

①経年や気温によって鋼板に歪みができ、波打ったように見えることがある

②鋼板を上下で重ねているため、雨仕舞いが縦張りよりも劣ると言われている

③僕自身が黒いガルバリウム鋼板の横張りで施工した家(特に軒の深い屋根が乗っている家)の実物を見たことがない

があります。


①の鋼板の歪みは、実際に張ってみないとわからないとしか言いようがありません。

佐野さんにその点を確認すると、エムズさんで使っているものはペラペラではない(厚みの数値は失念)ので、グニャグニャになるほどは波打たないとのことでしたが、近所に黒以外の色で、気の毒なくらい波打ってしまっているお宅があるので、あれを見てしまうとなかなか踏み切れないというのが正直なところ。

佐野さんは、その歪みが「味」なのだと笑顔で推してくれており、僕も多少の歪みであればそう解釈できるのですが、許容できる範囲は人それぞれなのが、また悩ましくさせられます。


②の雨仕舞いは、素人の僕にはなんとも言いようがありません。

やはり鋼板を重ねている分、強風によって雨が外壁の裏にまで回る可能性は捨てきれず、縦張りよりも防水性が劣ることは間違いないようです。

ただ、その点も佐野さんに確認すると、エムズさんでは外壁の裏にも防水紙を張るため、壁の中に水が入る心配はまずないとのことでした。

佐野さんからそういう回答をいただいた以上、そこはもうエムズさんとの信頼関係に頼るほかなく、僕が口出しする領域ではありません。


③の実物を見たことがないという点が、僕にとってはいちばんの問題です。

エムズさんのサイトを見る限り、これまでにガルバリウム鋼板を横張りした施工事例はなさそうです。

ネットで探すと、それなりに黒の横張りで施工した画像は見つかりますが、建物の形状や屋根の大きさなどで印象はがらりと変わりますし、画像と実物の違いが思った以上だったという話はよくあるので、あまり鵜呑みにもできません。


外壁の色を決めた時の話でも書いたとおり、エムズさんの事務所のように身近なサンプルがあれば安心して何事も決められるのですが、今回はそれがなく、この保守的な夫婦には難題に過ぎるため、妻などはすでにこの件を僕に丸投げしている始末です。

そもそも佐野さんから提案されたからこそ検討しているのであって、そうでなければ横張りなどは考え付きもしなかったことでした。

上で挙げた問題点は、どれも縦張りなら存在しないことなので、それでもなお検討する理由があるとすれば、全ては横張りの「味」を欲するかどうかなのだろうとも思います。


そんなこんなで、地鎮祭を目前にしていまだ結論が出る気配もなく、ある日突然パアッと悟る瞬間が来るのをじっと待ちながら、問題を先送りにし続けている毎日です。