1.年長者の病状経過について

 

移植せずに成人に達することができたという20年自己肝生存率は約44%。

40年前、30年前、20年前に治療を受けた方の成績を比べると約30%、約40%、約55%というように20年生存率は次第に改善してきている。成人に達した人の経過を振り返ってみると、大抵は最初の葛西手術で一旦は黄疸が消失している

しかし、成人に至るまでの経過は様々で、黄疸消失したままの人もいれば、胆管炎の為ときどき黄疸を繰り返す人、再び黄疸が持続したままの人もいます

さかのぼると約70%の人は少なくとも一度は胆管炎を、約20%の人は消化管出血という合併症を経験していた

こういった合併症に見舞われたとしても、治療が奏効して一旦病状が落ち着いた場合は成人まで移植せず生活することが出来る

結局、成人となった時点でみると、黄疸があったのは約4分の1の人のみで、それ以外は黄疸が無い状態。しかし、画像検査(腹部超音波検査、腹部CT、MRI)や内視鏡検査で調べてみると40%余りの人が肝硬変や門脈圧亢進症(食道静脈瘤など)ありと診断された

黄疸があればもちろんですが、黄疸が無くても肝臓が傷んで硬くなっている可能性があることになる

肝機能が低下すると小児では身体の成長発育が明らかに不良になってくるが、成人に達した年長例では身長も体重もほぼ正常

したがって、特に困った症状が無い方も、あるいは身体発育や血液検査であまり異常が見られない方でも、それだけでは本当に肝臓の病状の裏付けとは言えない

画像検査や内視鏡検査が定期的に勧められるのはこのため