肝硬変症・門脈圧亢進症とは?

 

肝硬変症とは

 

肝臓の正常細胞が様々な理由で障害を受け脱落した後に組織の修復過程で線維化を起こした病態

その初期には、正常肝細胞も数多く残存しており線維化の程度も軽いためにあまり症状が出ませんが、進行してくると正常肝細胞が不足して肝臓の機能が低下し、また肝臓が線維化の結果固くなるために門脈という血管の血流が低下して門脈圧亢進症という事態を引き起こす

 

胆道閉鎖では治療開始前には胆汁の排出がないために胆汁鬱滞が起こり肝臓に溜まった胆汁が肝細胞を傷害する

手術療法お行った後は胆汁鬱滞が持続した場合には同様の肝細胞障害断続しますし、また新たな胆管炎を起こすと炎症による肝細胞障害が加わる事がある

肝臓は、生体に必要なたんぱく質などの成分合成を行う機能と、生体で不要になった老廃物や消化液を腸管内への排出する機能がある

肝硬変ではこの二つの機能が低下して様々な症状が出現する

合成能に関しては、生体に必要な成分の一つとしてアルブミンというたんぱく質の低下が出現する。このたんぱく質は血液の正常な分布を維持し、重要物質の運搬などをつかさどる重要なたんぱく質で、不足するとむくみや腹水、必要物質の不足などが出現する

また、血液を固めるのに必要な擬固因子という物質も不足する

すると体のあちこちで出血傾向が出現する

胆道閉鎖症と診断される前にこのような病態が出現して重度な脳内出血が起こる事も経験されます

門脈圧亢進症では食道や胃の静脈が拡張し出血の恐れがありますがそのような病態に疑固因子の不足が輪にかけて出血が大量になることもある

排出能の低下に関しては、ビリルビンの排出が低下して起こる黄疸が代表的な症状

また胆汁酸が排出障害を起こすと難治性の痒感が出現し悩ませる

胆汁の腸管への排出障害は脂肪吸収を阻害するため、乳児期には特に大切な栄養素である脂肪が不足したり、ビタミンA、D、K、Eなどの脂溶性ビタミンの不足なども出現する

 

門脈という血管は、腸管、脾臓からの血液を一つにまとめて肝臓に入る一本の太い血管(図1)

 

この血管は、腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ役割を果たしており、なくてはならない重要な血管。肝臓が炎症などで固くなるにつれてこの血管が徐々に低下する。そして門脈や腸管・脾臓内に血液が鬱滞して圧が高くなる。これを門脈圧亢進症と呼ぶ。

その結果、鬱滞した血液は門脈以外の別の経路を使って心臓にも戻ろうとし、このような経路を側副血行路と呼ぶ

 

主な経路は6つある(図2)

 

1:胃の血管を経由して食道に向かう経路

2:臍から放射状に腹壁を経由して心臓に向かう経路

3:脾臓から左腎臓の静脈に向かう経路

4:後腹膜という腹部の背中側から心臓に向かう経路

5:直腸方向に向かう経路

6:空調腸間膜に流れる経路

 

門脈圧亢進症ではこれらの正常で見られない、血液の鬱滞や新たな血流の増加が様々な症状を引き起こしてくる。例えば、脾臓に血液が鬱滞すると脾臓が大きくなり脾機能亢進症という病態になる

血液の成分である、赤血球、白血球、血小板などが脾臓に溜まってしまい全身の血液中ではこれらの成分が不足してくる

特に血小板数が減少すると出血が起こりやすくなる

食道や胃に血液が鬱滞すると、食道静脈瘤・胃静脈瘤、門脈圧亢進胃症などの所見が出現しそれぞれの血管が高圧で破錠すると大出血の原因になる

肝臓を経由しないで心臓に血液が環流する割合が多くなると本来肝臓で処理されるはずの不要な成分が血液中に多くなる

脳内に不要成分が増加して肝性脳症という病態になる事がある