僕の自己疾患である“肝・胆道疾患:先天性胆道閉鎖症”についてこれから色んな事を投稿していきます

 

先天性胆道閉鎖症

 

1:先天性胆道閉鎖症とは、どんな病気?

 

胆道閉鎖症は、生まれて間もない赤ちゃんに発症する肝臓及び胆管の病気

胆汁は肝臓で作られ胆管に通って十二指腸に流れ、ここで食物と混じって栄養素の吸収を助ける、胆汁の通り道である胆管が、生まれつきまたは生後間もなく完全に詰まってしまい、胆汁を腸管内へ排出出来ないのがこの病気の原因

腸管内では胆汁は有効に作用しますが、肝臓内に溜まると黄疸を引き起こし、あらに肝臓の組織が破壊され線維が溜まって硬くなる「胆汁性肝硬変」という状態になるともう治る事はありません

胆管の閉塞部位によってⅠ(及びⅠ cyst)、Ⅱ、Ⅲ型に分類され、肝臓のすぐ外側の胆管が閉塞するⅢ型がもっとも重症で、全体の9割近くがこの型に属します

この胆管の閉塞を解除する手術が成功すると黄疸が改善しますが、成功いないと胆汁性肝硬変さらに肝不全へと進行する

そしてこの状態になった患者さんでは肝移植が唯一の救命手段となる

 

 

 

2:この病気の患者は、どれくらいいるのか?

 

日本ではこれまで出生10,000人に1人の発生頻度といわれてきましたが,これよりやや頻度が高いことがわかってきました.現在国内に少なくとも3,500名ほどの患者さんがいて,このうち1,500名程度が成人期に達しています.

 

 

3:この病気の人はどのような人が多いのか?

 

男女比は0.6対1と女児に多く発生しています.合併奇形の頻度は他の 先天性 小児外科疾患より低く,全体で約10%程度の割合で合併がみられます.特に頻度の高い合併疾患に脾臓の異常(多脾症候群)があります.

 

 

4:この病気の原因はわかっているのか?

 

原因はいまだ不明ですが,お母さんの胎内で内臓が作られる経過中のトラブルで生じる他の先天性疾患と異なり,胎内で一度作られた胆管が,ウイルス感染やその他の何らかの原因による 炎症 で閉塞するものが多いと考えられています.

 

5:この病気は遺伝するのか?

 

遺伝性は明らかではありません.一般的には遺伝しない疾患と考えられますが,親子,兄弟等家族内に発生した例があり,その頻度は偶然に発生するよりやや高いため,何らかの素因が働いている可能性が考えられています.

 

6:この病気では、どのような症状が起きますか?

 

 

赤ちゃんの皮膚や眼球結膜(白目)の黄染(黄疸)と白っぽい便の色(灰色がかった白色、クリーム色やレモン色のこともある)、濃い黄色の尿がみられ、病気が進むとお腹の右上に肝臓が硬く触れるようになる

またお腹の左上にある脾臓も徐々に大きくなり、外から触れるようになる

胆汁が腸管内へ排出されないと、脂肪の吸収が悪くなり、これと一緒に吸収されるはずのビタミンにも欠乏が起こります

ビタミンkが欠乏すると出血しやすくなり、脳出血などを引き起こすこともあり、この症状で見つかる場合もある

 

7:この病気には、どのような治療方法がありますか?

 

手術法には胆管の閉塞部を取り除いて胆汁の流出をはかる方法と肝臓自体を取り替える肝移植術がありますが、まず患者さんの胆汁流出をはかる方法を行うのが一般的です

この病気の胆管閉塞には色々なタイプがあり、肝臓からの胆汁の出口となっている胆管(肝管)が十分開いているような場合は、これと胆管とをつなぐ手術が行われます

しかし、多くの場合には肝臓からの出口で胆管が既に閉塞していて、肝臓の外の胆管を全て取り除き、肝臓側の断端を腸管で被うように、肝臓そのものと腸管とをする方法(葛西手術)が行われます

 

 

8:この病気は、どのような経過をたどるのですか?

 

わが国の主な小児外科専門施設の最近の成績を総合すると、手術を受けた患者さんの約60%が術後1年目で肝移植を行う事なく黄疸なく生存しています

手術による良好な胆汁排出が得られ、肝臓の病変の進行が食い止められれば、その後の正常と変わらない生活ができますが、手術後極めて長期間を経過した後での合併症出現もありますので、定期的な通院によるチェックが必要

一方で手術後も黄疸が無くならない場合や黄疸が無くなっても肝臓が徐々に硬くなるような場合には、やがて肝硬変となり、さらに肝不全に進みます

このような場合は腹水が溜まったり、栄養状態が悪くなって成長できなくなったりしますので、現段階では肝移植以外には治療法はありません

成人に達するまでの間に半数程度の患者さんで肝移植が必要となる

 

9:この病気で日常生活はどのようにして注意が必要ですか?

 

手術後長い期間にわたって気を付けなければならない主な合併症として、肝臓の中の胆管に細菌感染が生じることによる胆管炎と肝臓に線維が溜まって硬くなり血液の流れが滞って生じる門脈圧亢進症がある

門脈圧亢進症には肝臓を迂回した血液が食道の壁内を通るため生じる食道静脈瘤が腫れて血液の成分、特に血小板が破壊され出血が止まりくくなる脾機能亢進症などがある

それぞれ重症な場合には個別に治療が行われる

これら以外にも肝内結石症や稀ながら肝がんなどの発症も知られていますので、生涯に渡って定期通院を行う事が勧められる