『池上少尉、あと1時間です!頑張って!!』
「流石に無理がある…だろ!!」
あの無線から2時間が経過していた。
俺はと言うと、疲れていた。
いくら最新鋭の疲労回復の機器があるとはいえ、そこは一時的に少年となった俺の体力。
正直言って持たない。逃げ回るだけで精一杯だ。
機体はまだまだ行けると判断を出しているが、俺が先に倒れる。
『…光輝、分析すればするほど技術の塊だわ』
『どうされました、ヒナさん?』
『口内にプラズマのシャワーを発射する機構があって、そこにも物理運動反転シールドがあるの』
『一時的にシールドをオフにできるわけですね? そんなのは予想済みです』
『ああもう、なんでそんな冷静でいられるんですか?』
『…予想できるものはただの事象です。予想できない事象だからこそ価値がある、そう思いませんか?』
『宗教勧誘は戦争後にして下さい』
『…いつになく手厳しいですね。』
『博士、言われた通りの準備ができた。…しかし、こんなに準備してどうするのだ?』
『ありがとうございます。まぁ見てて下さい。これが私の答えですから』
鏡獣が俺に向かって何度目かのプラズマシャワー(仮)を吐いてくる。
真横に避けると、鏡獣の周りに何かが浮かんでいる。
『…池上少尉、退避命令です!鏡獣から300m以上離れて下さい!!』
「いきなり何だ!?」
敵がでかくて近づく気にもなれないのが幸いし、俺は260m程離れていた。
「よくもまぁ、今日はGに振り回される日だぜ!!」
嫌な予感しかせず、俺はフルスロットルで機体を鏡獣から遠ざける。
鏡獣は周りに浮かんだものに疑問を抱いたようで、俺のことは忘れているようだ。
『…さて、ショータイムの時間ですよ』
『本部へ、こちらヘビー1。指示座標上空に到着した。ロボット部隊の突撃を援護する』
『同じくヘビー2!焼夷弾をありったけ用意して来たぜ!!』
『本部、こちらサイバーX。合図があり次第、火炎放射器と高振動加熱装置を装備した部隊を降下させる』
『こちら本部。作戦は結城博士の主導で行う。私の指示は聞かなくて良い』
『皆さん準備が早くて助かります。では、いきます』
『プロト・フレア、発射!!』
と、目の前が急に真っ白になった。
何も見えない。赤外線に切り替えても、何も写らない。
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「…やはり、そうでしたか」
プロト・フレアが炸裂した場所では、赤外線モニターに変更できない障害が発生しています。
しかし、通常視界モニターに映る鏡獣は…
『…悶え苦しんでいる?』
司令の意外そうな声が聞こえます。
そう、膨大な熱量で揺らめく画面では、鏡獣が苦しんでいるのです。
実に簡単なことです。先ほど改めて試験を行って分かったことですがね。
…物理運動反転シールドは、一定波長のものと分子レベルのものは跳ね返せないのです。
つまり、赤外線なのです。
レーザーは「鏡」としての側面があるため反射しますが、火炎放射器の炎が反射しないのはそういう理由です。
『これなら…!』
「まだです。ではサイバーX、降下させて下さい」
『了解』
こういう事態を想定して、耐熱強化シールドを開発していて良かったですね。
今回のロボット部隊には、そのシールドを追加装備として提供しています。
最高10000℃まで耐えられるので、今回は大丈夫でしょう。
『…こちらサイバー1。目標を確認した』
「こちら結城。間違っても直撃を狙わないで下さい。反射されますから、付近の道路跡を狙って下さい」
モニターに表示される温度は1000℃。
溶岩くらいでしょうかね。その辺りは分かりませんが…
『…サイバー1より結城博士へ。アスファルトは油のようになり、鏡獣は……溶けかけています…!』
「やはりそうですか」
参考までに。鏡面円盤のアレは500℃で溶けることが確認できています。
三次大戦の大甲虫は…どれくらいだったでしょうか。
モニターでは、横に倒れる鏡獣を確認できました。今にも液体になりそうですね。
「では、早くトドメをお願いします。ここで面倒なことになっても嫌ですしね」
『分かりました。…おいバカ!直撃を狙うな!直撃させたら跳ね返し…て……こない?』
「…ふむ、まぁそうでしょうね」
溶けてくるとやはり効果がなくなる…もしくは薄くなるようですね。
これはまたあとできちんと検証せねばなりません。
「では、プランCで。ロボット部隊はそのまま後退し、HFで焼夷弾による清掃をお願いします」
『了解。サイバー1、総員後退だ!』
『目標から100m離れ次第、我々は焼夷弾による掃除を行う。いいな!!』
『イエッサー!!』
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…あれ? 俺は今まで何をしてたんだ?
俺はさっきまで総司令と…だがここはEDFのグラウンド…
ここ最近、俺の記憶に欠如した部分がある。
正確に言うと、三次大戦集結からちょくちょくだ。
何かがおかしい。俺の中で何かが少しずつ壊れていくというか…
寄生虫が蝕んでいくのが分かる感覚、とでも言えば良いのか?
「…なぁシオン、俺はどうなるんだ?」
当然というか、返事なんて無かった。
俺の残された時間は、少ないみたいだ。
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作者コメント♪
まぁうん、もうちょっと時間をかければよかったですね、ええ←
言ってもやらないから無駄なんですけども(ォィ