ホントの誕生日は2週間くらいズレてるとか、キリスト様は実在していないとか、色々説があるよね。
それはこの2040年代に入っても変わらなかったよ。
…聖バレンタイン牧師の行いを曲解してお菓子業界が騒いだ2/14と同じで、日本ではイブを大事にする風習も。
「…珍しいな、詩焔さんが待ち合わせの時刻に遅れるなんて」
でも、こうして待ってる時間も割と好きなんだよね。
言わずとも分かると思うけど、僕の名前は木瀬怜香。
今はただの一般市民さ。いる場所もただの市街地。
「爆発しろ」と言われる対象だけども、氏ねと言われてるわけじゃないから良いよね。
「おや、総司令」
「…今はただの一般市民だよ、結城博士」
「そうですか。ならば、私もただの研究員ですね」
瓶底眼鏡と白衣を着こなす細身の男性がフラッと目の前に現れた。
と、その後ろから彼を追いかける人の姿がある…ように見える。
ガヤガヤと妙に多い人混みを抜けて、ようやくこちらに辿り着いた。
「ハァ…光輝、貴方はいつもそうやってフラッとどこかに行っちゃって…」
「すいません、ヒナさん。いやぁ、ただの一般市民さんを見つけてしまってですね」
「僕の名前は木瀬怜香だよ。どうもヒナさん、ご無沙汰だね」
「…誰かと思ったら、総司令でしたか」
「やめてよ、今は一般市民なんだからさ」
「あ、すいません、総司令殿」
「…わざとだよね」
「はい。…ほら光輝、若い2人の邪魔をしちゃダメでしょ?」
「分かっていますとも。…そういえば、アキラは格闘家になったんでしたっけ?」
「何を今更言ってるのよ…」
2人が遠ざかっていく。アキラっていうのは子どものことかな?
…子ども、か。
「貯金はタップリあるからニートしてても大丈夫だよな。後は…幸せな家庭を築くため、か…」
変人とはいえ、一応家庭を持っている結城博士。
三次大戦と四次大戦は、いつ家に帰ってるのか不思議になることもあったね。
家族サービスって大事だよな…
「…子ども、ねぇ」
「どうしたの、怜香さん?」
「! し、詩焔さん…」
「ん?」
これはまた……鎮まれ僕の本能とジェノサイド砲。
くっ、ここが家なら確実に…
「ど、どなたですか?僕の知り合いにそんな可愛い人はいませんよ?」
「自分で既に名前言ってるじゃん!!」
「いえ、あってる保証はありません。自己紹介をお願いします」
…あれ、僕は何を言ってるんだ?
勢いに任せ過ぎた気がする。
「…私の名前は宝雅詩焔。今はこの世界の総司令の秘書であり新妻です。夫はチキンヘタレな総司令です」
「悪意しかこもってないね…」
「ほら、早く」
「え?」
「私が自己紹介したんだから、早く自己紹介してよ」
「…あー、礼儀ですね。互いに相手をよく知るのは大事ですし」
肺が縮みそうな程に冷たい空気を大きく吸って、僕は言葉を吐き出す。
「僕の名前は木瀬怜香。今はただの一般市民です。目の前の自称:新妻さんの姿を見て欲情してます」
「…公衆の面前で言う言葉じゃないよね」
「……そうですね」
うん、僕は何がしたいんだろう。
乗ってくれる詩焔さんも詩焔さんだと思いたいけどね。
「じゃ、行きましょうか」
「うん。そういえば、今日はどこにいく予定なの?」
「ベタベタですけど、遊園地にでも行こうかと思っています」
「思いっきりだね… 私は家で過ごしたいと思ってたんだけど…」
「いや、僕の理性が外れかねないですからね。それは夜にとっておきたいんですよ」
「…私、明日も仕事だからね?あまり激しくしないでね?」
「覚えていて、自重しようと思う精神力が残っていたらそうします。…無理だと思いますけどね」
「ホント、怜香さんって自重を失ったんだね… 真っ昼間からそういう話とか、去年の怜香さんはしなかったよ?」
「時の流れとは早いものですね」
「いや、怜香さんが精神的に進みすぎただけだよ。しかも悪い方向に」
「目立つぞ詩焔。悪い意味で」
「そりゃね…朝っぱらからこんな夫婦漫才、嫌でも注目引くよ!」
「はっはっは、詩焔さんはお盛んですわねぇ」
「どこの人!?もう、行くよ!」
「ああ、そんな酷い…」
何だかんだ言って、一日フリーパスとか高級料亭に予約とか入れてるんだ。
ここで詩焔さんに別の場所へ連れていかれても困r
「今日は一日、家でベタベタするからね!命令だよ!」
「……」
「返事は?」
「了解しました、マドモアゼル」
「だから、新妻って言ってるでしょ!結構恥ずかしいんだからね!」
「これは失礼しました、ミストレス」
「…何だろう、あながち否定できないよ」
…うん、そうだね。マドモアゼルは未婚の女性のことだったね。
「…そういえば、詩焔さんは夜勤明けでしたね」
「そうだよ。実は結構眠いんだよ…」
「そんな状態でわざわざ朝っぱらから漫才を…タフですねぇ」
「誰のせいだと思ってるのさ!」
どこからか取り出したスリッパでスパーン!と叩かれる。
痛い頬をさすっていると、その手を握られた。
「…このままじゃ漫才で一日終わっちゃうから、一緒に帰るよ。怜香さん」
「はい、一緒に帰りましょう」
ああ、幸せだなぁ。
自分でも爆発しろって思うくらい幸せだよ
吉崎さんの一件は…今は思い出さなくていいよね。
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作者コメント♪
フヒー、爆発しろーい!(( 以上でございまする←