EDFニュード・フォトン汚染対策本部 -15ページ目

EDFニュード・フォトン汚染対策本部

EDFの小説モドキが主で、ボーダーブレイクの戦果報告や単発SSをあげてます。PSO2も追加されました





「…そういえば、怜香さんって左利きなんだっけ?」


のんびりと呟いているのは、実質的に総司令の秘書である宝雅詩焔である。

総司令がある程度の人気を保持しているのも、彼女に対しての色ボケが半端じゃないからである。

それはともかくとして、声はのんびりしていても詩焔の動きは速かった。

目線の先には、ガラスが割れて2つ重なった人影が地面に落ちている状況があった。


「え、何!?」

「総司令の部屋からガラスと人影?」


詩焔と外で談笑していたPW隊員2人が後ろから驚きの声を上げていた。

そんな2人に、


「いつものゴタゴタじゃなさそうだから、ヒナさん達に緊急警報を出すように伝えて!」

「え…あ、分かった!」

「詩焔ちゃんはどうするの?」

「怜…総司令が危ない気がするから、あっちに行ってみる!」


それだけを言うと、詩焔はスーツの力を使って向かう。

このスーツは開発部の「本気の」プロトタイプであり、その性能はお察しの通りである。


重なった人影の間から強い光が出たと認識すると共に、音より早く地面に落着した。


「こりゃまた…整地するの大変そうだね」


EDFの修復技術なら1時間もかからないだろうけど、と思いながらクレーターの中に詩焔は急ぐ。

そう、落着した場所は直径50m程のクレーターになっていたのだ。


砂埃が晴れると、怜香が左腕を握りしめてソイツを殴ろうとしていた。

その顔は真顔だが、それ故に怜香が激しい怒りを覚えているのだろうと簡単に予想できる。

しかし、殴らない。


「総司令! …え、リクさん?」

「……そ、そうだ。詩焔、こいつを引き剥がしてくれ。まさかいきなり殴りかかられるとは思」


リクらしき人物が声を出すと、怜香は容赦なく顔を殴った。

殴られたリクっぽい人は苦悶の声を上げる。


「れ、怜香さん!?」

「お前が吉崎さんを離れないなら、このまま殴り殺す」

「…大きく出たな。しかし、お前がこいつに並々ならぬ好感を持っているのは既に知っている」

「僕は本気だ。もう一度言う。吉崎さんを解放しないなら、お前を殺す」

「……わ、分かっているのか?このまま殺すという事は、つまりこいつも死ぬという事だぞ?」

「一々うるさい」


怜香はもう一度殴る。

リクのような人は苦悶というよりも悲鳴に近い声を上げる。


「さぁどうする?このままじゃ死ぬよ?」

「…その手には乗らん」


その人物は怜香を何とか振り払い、ようやく立った。

…かと思いきや、すぐに詩焔によって殴り飛ばされる。


「…え、詩焔さん?」

「全く、感情のコントロールができてないなんてらしくないよ?」


詩焔は殴り飛ばしたソイツを拘束しつつ、怜香に近寄る。


「…それで、何があったの?」



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「…これまでは本気でなかったと言うのか!?」


司令は驚きの声を上げる。

その視線の先には、20代の総司令がいた。


「ホントはもっと遅くに反撃しようと思ってたんだけど…まぁ、みんな自分の生まれ育った場所は大事だよね」


答えになってそうでなってないことを言いつつ、総司令は立ち上がる。

そこまで背丈があるわけではないが、何か人目を引く風貌だ。


「放棄した場所に残って戦う隊員がいた。しかも善戦している。そうなったら援護しないわけにはいかないさ」

「…しかしだ、一体何故本州へ撤退させたのだ?」

「EDFには奥義として引き撃ちってものがあるし、大体各地区の司令部が麻痺してたらマトモに作戦はね…」

「かといって、この状況で反撃に転じるのも訳が分からないが…?」

「表向きの理由は残留部隊の善戦、そしてCBの量産が何とかなったこと。…裏向きの理由は」


総司令が続けようとしたその時、部屋のガラスが割れた。

咄嗟に司令が体を守る中、総司令は割れたガラスの方を振り向く。


「……やぁ、吉崎さん。いや、今はインベーダーの首領かな?」

「…ふん、実に食えない顔をしているな」


姿と声はリク、しかし中身はアポ。そんな状態の彼が窓ガラスだったものの向こうにいた。

身構える司令を尻目に、彼は総司令を睨む。


「このタイミングで撤退させていた軍勢を攻撃に転じさせたのは、私が来ることを予想していたからか?」

「それが半分。もう半分は末端の隊員の方が司令部より頭が良いって確認できたからさ」

「訳が分からないな。私なら、撤退させて防衛戦に持ち込むが…」

「そうだったから3回も母船っぽいものが撃墜されてるんだけどなぁ」

「抜かせ。その最たる原因は私自身が今使用中だ。…この力は実に素晴らしいものだ」

「力が全てだと思わない方が良いよ。その力を生み出すのは結局頭だからね」


総司令は笑顔で怒っている、司令はそう思った。

司令もリクには個人的な感情があってアポに怒りは覚えるが、総司令ほどではない。

何故総司令はこんなにも怒っているのか。


「…苛つく顔だな。ちょっと思い通りにして…?」


アポの顔が驚きの表情に変わる。

対する総司令はそのまま変わらない表情のままだ。


「…貴様はどうして支配できないのだ?」

「簡単さ。場数が違うんだよ。今でこそぬくぬくしてるけど、僕は元々シャバの人間じゃない」


そういうと、総司令はアポに向かって飛ぶ。

驚いたままのアポはそのままなるがままだ。


「とりあえず、一発殴らせて貰うよ」


司令が自意識を現実に戻せたのと、総司令の左手が光ったのは同時だった。



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「…って事がありまして」

「成る程ね…」


詩焔も鋭い視線でソイツを見る。

一時的にとはいえ、詩焔も以前のシオンと同じく体の自由を奪われて逃げられたのだ。


「…予想以上に食えない奴だな、貴様」

「大人しく吉崎さんを返してもらおうか」

「そう言われて素直に返すわけにはいかない。そうだろう?」


アポが顔から右手を横に払うと、弾丸の嵐が起こった。


「な…!」


総司令と詩焔は何とか弾幕を回避しながら逃げ、2人はたまたまあった岩の物陰に隠れる。

リクの倉庫へアクセスできたのかは分からないが、フィリスと同じ攻撃方法なのは見て分かる。

と、岩のそばをゴリアスの砲弾が通過した。岩に当てて爆破範囲に巻き込もうとしたらしい。


「ゴリアスまでアクセスできてるのか… しかしG兵器に手を出してないからまだ完璧じゃなさそうだ」

「怜香さん、私が一か八かあいつに殴りかかるから、その間に逃げて」

「ダメです。僕は大切なものを置いて逃げるような事はもうしたくありません」

「で、でもさ、ここで総司令が死んだら後々面倒じゃ…」

「大丈夫です。例え僕が死んでも、司令とヒナさん辺りが何とかしてくれます」

「……イチャついているところを悪いが、そろそろ終わらせてもらうぞ」


何だかんだで外しまくっている辺り、こいつもまだ可愛げがある。

アポはある程度感覚を掴んだらしく、次は当てると宣言した。

本来なら岩は粉々でアーマーもかなり損傷しているのだが、ここで奴が現れた。



「…誰だ、貴様」


グルグルな瓶底眼鏡、いつもの白衣、そして見ただけで変人だと分かるその風貌。


「博士!貴方はまだ九州じゃ…」

「何となくこんな予感がして戻ってきました。…そして、対策も思いついてるんですよ!」


結城は浮いているゴリアスの砲身にハンドガンを当てて軌道をズラしていた。

そして、そう言ったかと思うとアポにナイフを突き刺していた。

一瞬で距離を詰めた勢いのまま、背中からブスリと。


「な…」

「え…」


アポと詩焔が反応して声を上げる。

すぐにアポは大きな声を笑う。


「は、博士?」

「こんな金属片で私を倒そうと…?急所にも当たってはいないのだが…?」


笑いを堪えているアポだが、流石に総司令も困惑している。

ナイフでどうにかできる相手じゃないのは明白だからだ。

結城は実に冷静に答える。


「このナイフはアポロ落着地点に落ちていたナイフです。何もかもが崩壊していたのに、これがあった」

「…すいません、意味が分からないです」

「恐らく、この人物はナイフに自分の意識を込めてリクさんを刺した。そして今こうなっている」

「……ふん、ご明察だ」

「えーと、逆のことをしたら何とかなるんじゃないかと…?」

「無駄だ。この体の持ち主の意識は私が封じ込めたのだからな」

「…それに、私自身がリクさんの体を使って色々されるのは虫唾が走るので」


そういう結城の顔は、珍しく怒りの表情を持っていた。


「…EDFの一隊員として怒りがありますし、EDF開発部の人間としては興味がありました」

「だ、だからって刺すのは…」

「ぐ…」


苦痛の表情を浮かべるアポ。結城は内部でグリグリして痛覚を刺激したらしい。

しかし、その表情はやはりリクそのものである。

詩焔がどうしたものかとアタフタしていると、結城が横に吹っ飛んだ。

アポが結城を蹴り飛ばしたのである。ナイフと一緒に。


「少し油断したか…だが今日は挨拶程度だ。さらばだ、総司令!」


それだけを言うとすぐに消える。

結城は何事もなかったかのようにむくりと起き上がり、ナイフを拾い上げる。


「おい!何があった?」


気配を察知してか、EDFの作戦を手伝っていたシオンが空間転移して駆け寄ってくる。

結城は赤黒く染まっている金属片をじっと見つめ、そしてシオンの方を向いて聞く。


「シオンさん、前回リクさんの肉体を再構築した時のものはありますか?」

「……そのナイフに、あいつが入っているのか?」

「まだ分かりませんが、可能性はあります」

「…今回はあいつにあいつ自身を消す依頼を受けただけだから、再構築のものは無い」

「そうですか…」

「だが、お前なら簡単だろう。最狂の結城博士」


結城は一瞬豆鉄砲を食らった鳩のような顔になった。

だが今度はニヤッと顔を歪めて言う。



「私だってたまには情に振り回されます。だから、その称号はまだ貰えそうにありませんね」





総司令と詩焔は2人揃って溜息を吐きながらこう言うしかなかった。


「訳が分からないよ…」



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作者コメント♪


珍しくそれっぽいコメントをします。

今回、実は展開の関係で何度か書き直してます。


①怜香TUEEEEEEEでアポカワイソス

②怜香カワイソスアポカワイソス詩焔っょぃ

③怜香KAKKEEEEE詩焔TUEEEEEEEEアポカワイソス


…といった具合に、アポがカワイソスな路線しかなかったわけです、はい。

今後の展開的にちょっとソレじゃ不味い、ということで泣く泣くボツです。

PCのエラー以外で書き直したのは何ヶ月ぶりなんだろう…多分、自分の意志だと初めてのことです。



でも、実は今全く違う状況で新しく書き始めたいものがあったりなかったり。

EDF2Pなんてあったよね!OPED合わせて80くらいになるけどね!

…まぁでも、そうしてやってみようとした結果がEDF3の方なわけで。

何にせよこれを終わらせる必要があるし、中途半端に終わらせるんじゃなくて最終話で終わらせたいのです。

かといってペースアップもできませんがね!これじゃ何もできないよー(棒