地球防衛軍RR 番外編 木瀬怜香としての過去 | EDFニュード・フォトン汚染対策本部

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EDFの小説モドキが主で、ボーダーブレイクの戦果報告や単発SSをあげてます。PSO2も追加されました

※警告:今回は長すぎるしBBの話題は一切ありません。EDF小説オンリーでございます。




「…そういえばさ」

「どうしました? キスでもしますか?」

「仕事中に不謹慎だよ!」

「ああ、すいません。何せ自重をしないのは初めてと言っても過言ではなくてですね…」

「そう、それだよ」

「え?」

「怜香さんって普通の人と違うでしょ? そういう所もそうだけど、テクニックというか何というか…」

「そうですかね? まぁそーゆーテクニックに関しては自分で一流を自称してますけど」

「…それはともかくとして、怜香さんってどんな過去を歩いて来たの?」

「それは前にも言ったじゃないですか。家族と『姉さん』を失ってから色々あって、僕は今ここにいるんです」

「その色々がザックリし過ぎだよ! もうちょっと詳しくさ…」

「困りましたね。ここをきちんと話すと、僕は…」

「…怜香さんが?」


「詩焔さんを一生飼うしかなくなるじゃないですか」


「一生離さないとかじゃなくて、飼う!?」

「仕方ないね」

「いや、それは逃げる言葉じゃないから!」

「ああ、やっぱり今回もダメだったよ…」

「うん、話を聞かないのは私じゃないからね」

「決め台詞を取らないで下さい!」

「ボケがワンパターンなんだよ!」

「そんな事言われても… 自分、不器用ですから」

「キリッとしたってダメだからね!? そんな事じゃ漫才の頂点に立てな…」

「あれ、漫才をする気はないんじゃ無かったんですか?w」

「もー!」


詩焔さんは僕が整理してた書類を投げてしまった。ああん、ひどぅい…

せっせと整理しつつ、少し考える。


「…それで、結局何があったの?」

「困りましたね。ここをきちんと話すと僕は…」

「あ、ループはやめてね」

「……」


ボケを止められてしまった。ひ、酷いよ詩焔さん。何もそんな目をしなくても…

まぁ僕もループするつもりはないし、何よりボケのネタがない。

仕方がない。


「分かりました。僕の過去についてお話します」

「ホント?」

「ただし他言無用ですよ。真面目な話、これを暴露されると僕は総司令を辞職しなきゃいけませんから」

「そ、そんな凄い過去なの?」

「それはお楽しみです。言いふらさない約束ができるなら、キスして下さい」

「ちょっとは自重してよ!」


スリッパで意識を失いかけたから、仕方なく自重する。

…何でここまで自重しなくなったんだろう。謎だよ。



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…さて。


「ボケを再開しますかね」

「素直に過去を話しなさい」

「だが断る」


スパーン!


「…家族と姉さんを失った僕は、とある団体に引き取られました。そこがそもそもの出発点です」

「団体って?」

「まぁ、いわゆる非合法組織ですね。具体例では暴力団と言ったら分かりますか?」

「そんなのまだあるの?」

「ごまんとありますよ。僕はむしろそれを使って…いえ、何でもありません」

「サラッと何か言わなかった!?」

「気のせいです。えーと、そこに保護された僕は、拳銃の扱いや対人の格闘術を少し学んでました」

「…そんなもんなの?」

「そんなものです。それで、昔から僕は説得とか交渉とかうまくてですね。いつの間にか構成員になってました」

「え…」


「僕のいた組では「極力血を流さない」が方針でしたから、僕がいて楽だったと組長が言ってましたよ。確か先週」


「今でも連絡取ってるの!?」

「そりゃ義理と人情は大事ですからね」

「その組の名前は?」

「知ってどうするんですか…」

「いや、怜香さんがお世話になってるならお礼を言わないと…」

「詩焔さんはこっちの世界に来ちゃいけません。来て良いのは僕の妻になってからです」

「じゃあもうすぐじゃん」

「…『山崎組』でしたっけ。言いふらさない約束だから教えますよ」

「……山崎ってどこかで聞いたような」

「ああ、吉崎さんの親族だそうです」

「何ソレ怖い」

「身内に色々まとまってるものですね。現実は空想より怖いです」

「もう突っ込むのも疲れたよ…」


「では話を戻しますね。そこから僕がEDFに入った理由ですが… まぁありがちなものです」

「大切なものを失った原因を潰したかったから?」

「いえ、ただ単純にお金が欲しかったんです」

「何で急にそんな強盗した犯人みたいなこと言うの!?」

「冗談です。詩焔さんの言った通りの理由ですよ」

「わざわざボケなくても… あれ、この世界では二次大戦の後、三次大戦まで何も無かったんじゃ…」

「いえ、巨大生物が地下から出てきてたんですよ。冬のある時期になると、一斉にです」

「そっか。だから三次大戦の時は判断が遅れたって言ってたのか」

「ええ。今でこそ母船の接近を関知できますが、当時はまだ出来ませんでしたからね」

「それで、後は?」

「組長にEDFへ入りたいと言ったらどつかれました。いやー、あの時の組長は怖かったですね」

「小指は無事だったよね?」

「そんないきなり手を見なくても大丈夫ですよ。ちゃんとありますから」

「ホッ」

「それで遂に「お前なんか巨大生物に食われちまえ!」となって、僕は山崎組を抜けてEDFへ入ったわけです」

「今はEDF士官学校があるけど、当時は無かったの?」

「あるにはありましが、体が資本ということで士官学校は見送りました」

「ふーん。そんなにあっさり入れるものなんだ…」

「先程も言った通り、巨大生物の問題がですね… 僕はさっさと入る必要があったので、一般公募枠です」

「…怜香さん。まさかとは思うけど、学校にはちゃんと行ってたよね?」

「ナニソレオイシイノー?」

「急にカタコト!? ってことは行ってないの!?」

「まぁ事情が事情ですから、僕の世代なら結構いるんですよ。一般公募であっさり入れたのもそれのお陰です」

「…ぇー」


詩焔さんが思うところも分かる。

僕自身、正直「小学校中退のヤクザ上がりが総司令」なんて驚きだからね。

ただ、僕の場合は状況が特殊過ぎたとも思う。


「そもそも僕が組に引き取られた時、人類がようやく文明を取り戻し始めてた頃ですからね」

「…そっか、経済が回り始めたのって丁度それくらいになるんだね」


詩焔さんが10年くらい前の書類を見ながら呟く。


「というわけで、現在に至るわけですよ」

「…いやいや、ただのヒラからどうやって総司令に登り詰めたの? そこの説明をしてよ!」

「だって面倒ですもの」

「えー…」

「……分かりましたよ。説明します」


くそ、こういう時に惚れた側ってホントにね…

そんな顔をされたら断れない…


「当時のEDF上層部については知っていますか?」

「えーと… 汚職とかがまだ蔓延してたんだっけ?」

「大体そんなところです。あの司令でも、彼だけじゃそれを正すことは出来なかったんです」


「…司令っていつからいるんだっけ」


「吉崎さんがたまに懐かしそうに話しますから、多分一次大戦の前からいますね」

「古株も良いところじゃん…」

「まぁこのままじゃ不味いと思ったのが二次大戦の後半らしいですからね… 話を戻しますよ?」

「はーい」


「インベーダーの残したものが巨大生物だけになった、というのは知ってますね?」

「それをEDFが毎年迎撃して、軽い負傷者しかいないところまではね」

「で、いわゆる前線の兵士達でクーデターを起こそうという流れになったんです」

「過程を教えなさい!」

「きちんとした指示も出さず、温々としている上層部にみんなが不満を持ってましたしねぇ…」

「巨大生物が毎年出る程度の今なら、上層部に殴りこんで体制を変えておくべきってこと?」

「そうです。みんなインベーダーは戻ってくると考えてましたからね。あの吉崎さんも参加してますよ」

「…それで、そのリーダーが怜香さん?」

「ご名答。そこの書類にある通り、クーデター後は上層部にいた大半の人間が汚職などで逮捕されています」

「一部残った面倒な輩を、司令が三次大戦の途中で排除したんだっけ?」

「吉崎さんも絡んでましたね。お陰で今の体制が出来ました」

「それで、リーダーだった怜香さんが総司令の椅子に?」

「色々を抜けばそんなところです。当時の…前総司令は抵抗しましたが、結局着服などで逮捕されました」

「他に総司令の器はいなかったの?」

「いたにはいましたが、国際的にEDFの存在が懐疑的になっていた状況でしたから」

「つまり、怜香さん程の交渉力もカリスマ性も無かったんだね」

「身も蓋もない言い方ですが、その通りです。それから数年後が三次大戦です」


「あのさ、この体制って一歩間違えば独裁者じゃない?」

「僕にそれができると思いますか?」

「…あ、そっか。怜香さんだもんね」

「僕は詩焔さんのためなら、喜んでEDF予算の半分を着服しますよ」

「おいバカやめろ」

「冗談です。…まぁ結城夫妻もいますし、あと少しアリスが成長すればこの椅子から離れることになります」

「EDFをやめちゃうの?」

「そうですね… だって僕、学生の時代が無いですから」

「…そうだよね」


「……で、これは提案なんですが…」

「? どうしたの?」

「…その、この大戦が終わったら、一緒にEDF士官学校に 行 か な い か ?とですね…」

「アッー!!ってネタを自重してよ! 私は女だよ!」

「それでも対応はしてくれるんですね… どうですか?」

「え… うーん。でもさ、あそこって学校っぽく無いんじゃ…」

「三次大戦終結後に大々的な改革をしましたよ。コンセプトは小説や漫画にある、活気溢れる学校です」

「オチは『私立EDF士官学校。そこは未来への希望が詰まった場所…』とかじゃないよね…」

「な、何でバレたんですか!? さり気なく私立にしていたことも!」 

「えー!? いやいや、私立じゃないじゃん! 何でそうやって…」

「まぁEDFは特殊法人ですしねぇ」

「…法人が運営してるなら、私立なの?」

「そこは僕も知りません。予算はEDFと日本政府の分割ですが、実際運営してるのは我々ですし」

「…文化祭とか、体育祭ってある?」

「あります。去年やってみて、近隣の方々からかなり高い評価をもらいましたし」

「ふーん…」

「とりあえず考えといて下さい。僕は失った時間を取り戻…失礼、電話です」

「あ、うん」


例によって会議の電話だった。

インベーダーのキャリアーが海岸に近づいてるとか何とか。


「…うん、分かった。じゃあすぐ行くよ。…すいません。今から会議が入ったので、書類の整理をお願いします」

「あ、はい。分かりました」

「では後ほど」






…また僕はフラグを立てたのか。



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作者コメント♪


リハビリも兼ねて、総司令の過去をざっくりと紹介しました。

というわけで、一番衝撃であろう「総司令は小学校中退の元ヤクザ」が明らかとなりました。

実際のところは人類文明が壊滅していたのですから、これくらいあってもおかしくはないと思うのです。