巨大な蟻塚が立っている市街地:11/1 15:33
『巨大生物の巣を攻撃して下さい』
「消し飛べ!」
ドッカーン!!!!
ジェノサイド砲の銃口から出た光弾が、敵の巣を跡形もなく破壊する。
「「「「マテマテ!」」」」
「あ? どうした?」
リク以外の4人…来ていない2人以外…が、全力で突っ込む。
「おかしいでしょ? 何で私の出番を奪うのよ!」
「今日の隊長さん、とても憎く思えます…」
「リクさん、今回は僕もあんまりだと思いますけど…」
敵を殲滅したにも関わらず、何故かATの面々に怒られる隊長なリク少佐。
「ちょ… 何で俺が説教されねばならんのだ!?」
リクが正座から勢いよく立ち上がる。
…そう、さっき羽蟻も殲滅したために、今回の作戦は終了なのだ。
「だって、あたしだって活躍したいのよ!」
「わ、私もですぅ!!」
「僕だって活躍したいんです!!」
「……ふっ…」
リクは鼻で笑った。
「…リク! あんたここに正座しなさい!」
「隊長さん、今回ばかりは言いたい事がありますよ!!」
「大体、なんで活躍の場をリクさんがことごとく奪うんです!?」
「…お前等、うるさい」
ジェノサイド砲の銃口が、真下に向けられる。
「……」
「……」
「……」
みんな、味方の誤射で死にたくはない。
特に、全てを破壊すると噂されるジェノサイド砲では。
「…ま、あたしは近寄れば…」
「わたしもですぅ」
「…じゃ、僕は遠くに…」
「消し飛b…」
ビィィィィィィ!!(レイピア系×2)
「…ふぅ、危うく死ぬところだったぜ」
「ちっ… 仕留め損なったわね」
「全くです」
「…そうだ! ここいらで、ATの面々で勝負しましょうよ! 本部のシュミレーターで!」
章太郎が出来るだけ実戦を避けて言う。
…実戦なら、死んだらそこで終わりだからだ。
「そうだな… ま、誰が強いかを決めるのは良い事かも知れん」
と言うわけで…
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EDF極東本部:シュミレーター・ルーム 11/1 17:42
「じゃ、リアルなシュミレーターを始めますよ」
「ああ、初めてくれ」
途中で結城夫婦と合流し、みんなで戦闘を行う事になった。
と言ってもバトルロイヤル形式ではなく、市街地のマップを使っての一騎打ちとなっている。
初戦は、リクVSヒナ。
「さて、どう来るかな…」
リクはジェノサイド砲禁止、またみんなは支給された兵器のみに限定されている。
彼のがどんな装備かは、まだ分からないが…
対して、ヒナの装備は…
「あはははは♪ 私に勝てるとでも思ってるの?」
…AS-22RRを両手に構えている。
こうでもしないと、通常の状態ではリクを倒す事など出来ないのだ。
「始め!」
リクは…
「…意外に隙がないんだな」
なんと、AS-22RRから出る弾幕を全て回避していた。
隙間通しが出来る隊員は、これくらいは余裕だったりするのだが…
リクは、その中でも異常な能力を持っていた。
「…甘いっ!」
ズダダダダダダダダ!!
…Dモデルの連射だった。
しかも、何気なく全て急所…つまり、アーマーで覆われていない部分を狙っている。
だが、暴走補正のかかっているヒナには、そんな攻撃も意味が無かった。
「ちっ… だったら…」
ゴリアス-SSSを構えて、ヒナの近くにある電柱に「当てる」。
当然、ヒナは数メートル吹っ飛ぶ。
「今だ!」
リクが接近して、ヘルメットに向かってAS-21Dを連射し…
「シミュレーション終了です。…リクさんの勝ち」
みんなから、「あーあ」の声が上がる。
「な… 俺に負けて欲しいのか!?」
「「「「「……」」」」」
「あ、そ…」
さて、その後にあった試合を紹介しよう。
☆結城VS章太郎☆
勝ったのは… 章太郎。
まぁ、的確な射撃と回避によって、ダブルゴリアスの結城が冷静になれなくなった時点で勝敗は決していた。
…うん、結城も強いんだけどね。
●ユキVSミキ●
結果は… ミキの圧勝。
まぁ、最初は弾幕をことごとくユキに避けられてピンチだったんだけど…
誰かが放った蜘蛛のお陰で、暴走したミキが…
ま、後は語る必要もないだろう。
☆リクVS章太郎☆
結果、リクの勝ち。
陸戦兵らしく、非常に地味な戦いとなった。
トドメとなったのは、この戦いでレーダーが使えない事を利用した、リクのビル爆破だった。
粉塵で前が見えない章太郎に接近し、至近距離でAS-21RLを叩き込んだのだ。
ある意味当然とも言える2人の試合となる。
さて… 青コーナー、蜘蛛を見ると「この世界で」最凶(最強)のPW、ミキ。
赤コーナー、前大戦の英雄、リク。
「試合… 開始!!」
その一言で、リクはビルの影に隠れる。
「くそ… 蜘蛛が出てきたら俺の負けは確定だが…」
とビルから顔を覗かせると…
タタタタタタ…
リクの顔ギリギリを、粒子弾が通り抜けていった。
「…弾幕ってのは、陸戦兵に強いんだよな」
そう言いつつ匍匐モードに入り、精密射撃に入る。
ライサンダーFを構え、PEユニットを狙い…
ズダァン!
しかし、その弾丸はヘルメットを掠めただけで、ちっとも当たっていなかった。
「…あの驚異的な回避能力は何なんだ?」
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その後も、ちまちまと戦闘は続いている。
「むむむ… 何でこそこそライサンダーで狙うんですか!? 卑怯ですよ!」
そう言いつつ、イクシオンマーク3でしっかり狙う。
…出てこれない理由は、この弾幕が原因なのだが。
「…! あと30秒で蜘蛛が… はわわ、どうにかしないと…!!」
この戦闘が始まる前、ユキから釘を刺されていた。
『ミキ、戦闘開始から7分たっても勝敗が決まらなかったら、蜘蛛を投下するわ』
『ええっ!? な、何でですかぁ? わ、私が蜘蛛嫌いな事、知ってるでしょう!?』
『リクに勝つためには… これしかないのよ! …分かって頂戴』
『ど、どういう経路でそう言う結論に…』
『とにかく、頑張ってね♪』
『うう… が、頑張って来ます☆(泣』
まぁ、そんな状況であった。
「いやぁ… 後5秒!?」
「…なんか、嫌な予感がするな」
そして… 戦闘開始から7分後…
ソレが、空から投下された。
リクも何故か撃てず、それはミキの目の前に着陸した。
8本の脚、特徴的な尻とも腹とも言える糸を出す部分、そして… 赤い多眼…
蜘蛛型巨大生物、だった~(某滞在記風に)
「…ぃ、ぃゃぁ! 嫌ぁぁぁぁ!!」
「…あ、俺死んだな(汗」
まぁ、その後の事は語るのも野暮ってものだと思う。
最終的に勝ったのは…
リクだったから。(ぇ
「…はわぁ!? わ、私どうしちゃったんです!?」
ミキは、結局やられて気絶させられていた。
「…あ~、ゴメンね。ミキの負け。結局、秘策も無理だったみたい…」
「ったく、俺だってあの状況で生き残るのは難しいんだぜ?」
そう言うリクは、結構疲れていた。
まぁ、勝った… と言うよりは、蜘蛛が思ったより粘ったから、その隙に頭部にライサンダーを撃ち込んだのだ。
そこに撃ち込む技術を持っている事にも驚きだが、同時にミキの暴走は蜘蛛を殲滅してから人を襲うと言う事だ。
んな訳で今回の作戦と模擬戦で分かった事は、ミキが蜘蛛→人と移行するには、多少タイムラグがある事だ。
「はぁ… ま、みんなで飯でも食いに行くか?」
「そうですね… 僕は良いですよ?」
「あたしも行くわ。…勿論、リクの奢りよ♪」
「あ、あたしも行きます!」
「ヒナさん、どうする?」
「今日くらいは良いんじゃないかしら? …リクさんの奢りだし♪」
「お、俺の奢りは確定しているのか…」
orz…となったが、ほぼ一瞬で復活。
リクはみんなに振り向く。
「俺の知り合いがやってる居酒屋に行くぞ。…味は保証するぜ。好きなだけ飲食しろ」
「「「「「はーい」」」」」
「ふぅ… 俺の財布が軽くなるな…」
「え? リクって今も軽かったっけ?」
ユキが何気なく聞く。
「ん~まぁ… これだけだからな」
リクの財布には…
10万8666円と、国家予算の一部が入ったと思われる小切手が入っていた。
「っ!? なにこの馬鹿みたいな数字の小切手!」
「あ? それは義父さんがくれたんだぜ?」
「何で?」
「…俺が英雄だから?」
あ~、と全員納得…はしなかった。
「何で!? 英雄って言っても…」
「そうですよぉ! いくら英雄だからって…」
「納得は行かないんですけど…」
「……」
「……」
あ、と全員言う事が止まる。
そうだよな、僕たち(私たち)がおかしいのかも知れない、と。
…彼がいなかったら、今はEDFも壊滅していただろう。
もっと言えば… 前大戦に勝つ事も出来なかっただろう、と言う事に。
「…? ほら行くぞ、お前等」
リクは、いつもと変わらぬ…
全体戦時と変わらぬ皮肉めいた微笑をしている。
…今大戦も、きっと勝てる。
そう言う希望を改めて感じたATの面々だった。
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作者コメント♪
…サイドストーリーにシフトしちゃいました。
まぁ、48話だからの~。
良いかな、と言えば悪いんだろうけど…