イギリス 現地時間 2019 7/2 9:29 地下鉄道
『こちら本部。今回発見した巣穴に攻撃をかける! 各隊員は周囲の巨大生物を殲滅するんだ!』
リース少将の声が聞こえる。と言うか、何で男言葉で通信するのだろう?
やはり理由があるのだろうか? まぁ、確かに女言葉だと通信が混乱しそうだけど…
「こちら神楽、攻撃を開始します!」
「こちらミキ、同じく攻撃を開始します!」
…ミキは置いてこようと思ったのだけど、本人が泣きそうになったので仕方なく連れてきた。
今はこっちが泣きそうに思えるのだけど… 何故かしらね?
「とりあえず正面からしか突破は出来そうにないわね」
「えっ? 少佐、後ろに反応はありませんよ?」
「少尉、ここは少佐に従った方がよさそうよ。…さっきから罠の匂いがするわ」
「じゃあ、中尉がPCで蹴散らした後、私がチャージする。その取りこぼしを2人がやって」
「了解」
「了解です!」
神楽隊員のPCから青白い光が迸る。
その光が着弾し、光が拡散すると同時に私は蟻たちへと突撃する。
その時、
『敵の罠に落ちたようです。背後からも敵が迫っています!』
「! 中尉、後ろの敵をやって!」
「了解!」
後ろを振り向いた神楽隊員のPCから、再び青白い光が迸る。聞こえた断末魔は…
『ボグワァ!』
「…(汗)」
「少佐? どうかしたんですか?」
「い、いえ。何でもないわ。…ミキは残りの蟻をお願い。良い? 絶対こっちを見ちゃダメよ!?」
「は、はいぃ!」
明確な脅しを行い、私は神楽隊員の元へと急ぐ。
案の定、近寄られて苦戦していた。
「中尉、下がって! あとは私がやる」
「りょ、了解…」
神楽隊員が下がり、私が突撃する。蜘蛛の死骸が盾となり、糸はあまり飛んでこなかった。
そこへM2レイピアを照射する。これで死骸が崩壊し、すぐに他の蜘蛛を攻撃できる。
間もなく、特に損害もなく殲滅したのだけど…
「…これは虐めかしら?」
密集した蜘蛛が突然現れた… ように思える。
「少佐、今ならPCが有効です」
言われるままにE5を撃つ。気持ちが悪くなるほど密集していた蜘蛛たちは一瞬で絶命した。
「少佐、大丈夫ですか… ひぃ!」
ミキが来ていた。だけど、暴走する兆候はない。
…どうやら、蜘蛛が生きていると暴走し始めるようで、今は普通に怯えていた。
『見ろ! 円盤だ!』
『新型か? まるで鏡だ!』
『撃てー!!』
パァン… パァン…
『う! ぐわー!!』
『どうなったんだ? なぜやられた!?』
『弾が…我々の弾丸が跳ね返されたんです…』
『馬鹿な!?』
ダァン…
『ぐはっ!!』
『攻撃中止!! おい! 撃つな! 撃つなぁ!!』
『ぐわぁぁぁぁぁ! ザー…』
「…何かあったみたいね」
「そうですね… 皆さん大丈夫でしょうか?」
「…そろそろ日本に帰れますね」
「え!? 神楽中尉、あなた日本人なの!?」
「…少佐、さり気なく酷い事言いますね。私は日本人です!」
蟻達も殲滅し、指示があるまでその場で待機していた私たち。
そこでやっと通信が入る。
『作戦は中止だ。総員、撤退せよ!』
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イギリス本部 ブリーフィング・ルーム
「…と言うわけで、我々はイギリスを放棄する」
「な、何故です!? ここで放棄すれば、市民が…」
「市民は海底トンネルで日本の地下避難所に向かった。ここを守る理由はない」
「しかし…」
「同時に、残ったPW隊員は君たち3人だけだ。…大丈夫だ。ここは陸戦部隊が守る事になっている」
私はリース少将に呼ばれ、ブリーフィング・ルームにいた。
私たちはイギリスを放棄し、日本へ向かうと言う事になっていたらしい。
…どっちみち、戦力の差が歴然としているため、ここで防衛していても無理があるのだけど…
「…君には嬉しい情報だが、英雄が生きているらしい」
「……え?」
「日本でソラスが確認され、それを倒した男が英雄らしい」
「…リクが… あの人が生きている…?」
「そうだ。…戸籍との一致は全くないが、本人はリクと名乗っている」
それ以上文句を言えず、私はボンヤリしたまま日本へ向かう事になった
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