先日、湯郷温泉旅館協同組合の方と湯郷温泉観光案内所の方とSAKU美SAKU楽の話をしていて、そこからさも当然のようにスルーされる姫新線の話に話題が飛びました。
因美線もあめつちが鳥取から津山までやって来るのに、なんだか置いてきぼりの姫新線。
風の噂だといよいよ厳しいという見方も出てきているとか…
そもそも姫新線の運転系統は現在、姫路〜佐用・上月、佐用〜津山、津山〜新見の3つに区切られています。
基本的には佐用又は上月、津山で乗り換えを余儀なくされるのですが、1日1本だけ佐用発新見行きが設定されており、津山で乗り換えずに直行できます。
佐用18:41〜林野19:18〜津山19:41-19:56〜新見21:38と姫新線の大部分を走破する2835D(津山→新見は873D)
林野駅で唯一見れる新見行きの表示。
で、そもそもの話、湯郷の重鎮たちはSAKU美SAKU楽を姫路まで走らせて湯郷温泉に誘客できないか?と考えていらっしゃるのです。
確かに、姫路から直通できるのであればかなり強いアクセス手段となること間違いないでしょう。
ただ、残念なことにそれはかなり難しいことなのです。
と言いますのも、JRの駅のホームの高さは3種類あるというのを皆さんご存知でしょうか?
これはかつて法令で定められていた事項で
電車1100mm
電車・気動車・客車共用920mm
客車760mm
という風になっております。
今は法改正でこの限りではないのですが、車両によって対応しているホーム高さがあるというのは今だ健在です。
写真は佐用駅のもので、ホーム高さは920mm。
キハ120のステップとほぼピッタリになるようになっています。
こちらは林野駅。
キハ120のステップより更に低い位置にホームがあるのがわかります。
これは客車時代から嵩上げされていない760mmのままのホームです。
で、またまた佐用駅に戻るのですが、キハ120がいる場所と奥にいる気動車、キハ122がいる場所では妙に傾斜があるのがわかるでしょうか?
キハ122・127は姫新線の姫路〜佐用・上月を走る気動車です。
気動車なんだから対応ホームは920mmかと思いきや、こちらは最近の電車と同じくステップ無しの1100mm対応となっております。
元々は姫新線の姫路〜上月が兵庫県と沿線自治体からの出資で高速化され、旧来のキハ40・47を追い出して電車とある程度設計を共通化してコストやメンテナンスの軽減を図ったキハ122・127に統一されています。
この際に同区間のホームが嵩上げされ、1100mm対応となっております。
写真は三日月駅で、760mmから920mm、現在1100mmと歴史を重ね、ホームが嵩上げされているのがわかります。
佐用駅のホームが妙に傾斜しているのは1100mmと920mmの2つのホーム高さに対応する為なのです。
最近は特にバリアフリーが重要視されてますものね。
キハ122・127が乗り入れる西限の上月駅もこのように1100mmと920mmに対応すべくホームに傾斜があり、車種によって停車位置が異なります。
つまり、ざっくりまとめると
姫路〜上月 1100mm(佐用と上月は920mmにも対応)
林野 760mm
津山 920mm
といった感じになります。
つまり、林野駅にキハ122・127が停車したら340mmもホームの高さの差があり、乗り降りするのに危険を伴います。
じゃあキハ120や同じ760mm・920mm対応のキハ40を姫路方面に走らせたらいいんじゃないか?ってことになりますが、これもこれで別の問題が発生します。
キハ120やキハ40は760mmや920mmのホームに対応する為、出入口にステップが設けられております。
これがあることにより例えば姫路駅に停車したとして
車内(1100mm)ステップ(920mm)ホーム(1100mm)
という感じで凹みたいな状況になります。
若い人ならまだしも高齢者にとっては非常に危険で、かつて山陽本線ではこの状況でキハ40の送り込みを営業列車として走らせていたのですが、お年寄りの転倒事故があったため、この運用は取りやめになり全区間回送に変更されました。
JR九州の桂川駅では今でもこの状況で客扱いを行なっているようですが…
つまり、現実的に姫新線において姫路〜播磨徳久にキハ120orキハ40、美作土居〜新見にキハ122・127を乗り入れさせるのは非常に困難な状況なのです。
なので現実的にSAKU美SAKU楽を姫路まで直通というのは物理的に困難なのです。
現状、佐用までが限界ですね。
かつて急行みまさかが走り抜けた姫新線が分断されているのはこういう側面があるからなのです。