先週の火曜日に観ましたが、熊本日日新聞に作品紹介を書かせて頂くことになっていたので、感想を書くのをしばらく控えておりました。

他の地域の方には、そちらの記事は(たぶん)お読み頂けないと思いますので、掲載して頂いた文章を基に、そこそこいじってこちらにアップさせて頂きました。



ハリウッドを代表する大スターの一人、トム・クルーズ。宣伝でよく来日しますが、毎回しっかりファン・サービスしてくれることでも有名です。おまけに、結構出演作が多いですよね。そのジャンルも多彩ですが、今回は近未来の世界を舞台にしたSFです。


エイリアンからの侵略を受けた人類は、その戦争に辛うじて勝利したものの、核兵器を使ったため地球は荒廃し、人が住めなくなってしまいました。それからから60年経った2077年。人類は土星の衛星タイタンへと移住を開始していました。
ジャック・ハーパー(トムさん)は妻と二人で、無人となった地球を上空から監視する任務に就いていました。エイリアンの残党がいて活動を続けているのに加えて、海水をエネルギーに変える装置があるからですです。ある日、彼は墜落した宇宙船に乗っていた女性ジュリア(オルガ・キュリレンコ)を保護します。だが彼女は、初対面であるはずのジャックを知っていました…。


基本設定がどことなくピクサー・アニメの『ウォーリー』を思わせるのはご愛嬌(偶然の一致でしょう)。ジャックは、機密保持のために過去の記憶を消されているのですが、映画が進むに従って徐々に甦ってきます。それと同時に、物語に張り巡らされた数々の謎も解明されていきます。つまり、これ以上詳しく書くとネタバレになってしまうのです(苦笑)。


『トロン:レガシー』のジョセフ・コシンスキー監督が、自作のグラフィック・ノベルを映画化した本作。独特の映像センスと迫力あるアクション・シーンには、さらに磨きがかかっています。後半の戦闘シーンなど、カメラワークも凝っていてなかなかの臨場感です。


ミステリアスなヒロインのキュリレンコは、『007/慰めの報酬』のボンド・ガール。何だか、若い頃のソフィー・マルソーを地味めにしたような感じ(ビミョーだな笑)だと思うのは私だけでしょうか?「彼が出ている映画なら当たりだろう」と観る前から思わせる“品質保証俳優”モーガン・フリーマンも、物語の鍵を握る男の役で登場(でも、最近はちょっといろいろ出過ぎなので、その神通力も薄れてきた?)。


「猿の惑星」など名作SF映画を思わせる要素が要所で登場する一方、何と恋愛映画の古典的名作「めぐり逢い」を彷彿とさせる場面もあります。実は本作には、恋愛映画としての一面もあるのです(これくらいのネタバレは大丈夫かな)。

そうなると、いよいよもってトムさんの独壇場。SFアクションのヒーローに恋愛映画の主人公、さらに後半では意外な形で…と、ファンにとっては一粒で何度も美味しい、まさに「トム様祭り」状態。



いや、もちろん、彼のファンでなくても十分に楽しめる作品です。本格派SFと“スター映画”が見事に両立している映画と言えるでしょう。