先週の木曜日に福岡で拝見させて頂いていたのですが、何やかんやと忙しくて、感想を書くのが今頃になってしまいました(苦笑)。
クマのキャラクターって、昔から人気ありますよね。最も有名なのはプーさんでしょうか。わが熊本からも、くまモンという超人気ゆるキャラが登場しました。
これがぬいぐるみになると、さらに(特に女性の)人気の的。テディ・ベアがその代表格でしょうか。
そんな、地域や世代を超えたクマ(のぬいぐるみ)人気を皮肉ったような、黒い『トイ・ストーリー』とでも言ったらいいでしょうか。
1985年。超内気で友達がいない少年ジョンは、両親からクリスマス・プレゼントにテディ・ベアをもらいました。大喜びのジョンはクマにテッドと名前を付け、ずっとベッタリ。そして、「テッドが本当の親友になれますように」と夜空の星にお祈りします。
するとビックリ、テッドには魂が宿り、人間のように喋り、行動するようになります。
“奇跡のテディ・ベア”はたちまち有名になり、テレビなどでも大活躍するセレブに。しかし、売れっ子子役と同様、テッドは“悪さ”が過ぎて転落の道を歩むことに。それでも、ジョンとの友情は変わりません。
そして27年後。ジョン(マーク・ウォールバーグ)もテッドも、すっかり不良中年に。特にテッドの悪行三昧ぶりは強烈。言葉は下品、大酒飲んで女(もちろん人間の)をひっかけまくる。キレたら(体だけは)大人の人間であるジョンすらボコボコにする乱暴者。おまけにドラッグは手放せない…。あまりの超ワルオヤジぶりに、映画自体もR指定を受けてしまいました。
特にビックリなのが、同僚の女性との●●●シーン。モロに出てくるではないけど、明らかに“実行中”なのがハッキリ分かります。ヌイグルミの●●●なんて、『チャイルド・プレイ』の何作目か以来の衝撃シーン(あ、あっちは人形か)。
そんなものすごいシーンもかなりありますが、物語の基本は結構クラシカル。長年付き合ってるカノジョとの生活にケジメをつけるため、大人になる(=テッドと別れる)ために努力するジョン…とくれば、まさに『トイ・ストーリー3』的な展開。
さらには、面倒のタネであるテッドに振り回されながらも、長年の友情から彼をなかなか捨てることができない、というのも、バディ(相棒)映画によく見られるパターン。
要するに、結構古典的な物語をファンタジーと毒で料理した、実に巧い語り口のコメディなんですな。実はハートウォーミングなのに毒が効きまくっている、不思議な味わいのファンタジー・コメディというわけです。
ノラ・ジョーンズが歌う主題歌は、まさしく、輸入盤サントラの解説書曰く「ジャームズ・ヴァン・ヒューゼン(『我が道を往く』など40~60年代のハリウッド映画の歌曲を数多く手がけた作曲家)風」の、ちょっとオールドファッションな曲ですが、まさしくこの映画の本質を表しているようです。
ちなみに、ノラも本人役で出演していますが、これがまたとんでもない設定…。
ちょっとマニアックな映画ネタが数多く登場するのも、映画ファンには嬉しいところです。特に、ジョンとテッドが繰り返しビデオで観ている『フラッシュ・ゴードン』ネタの引っ張り具合にはビックリ。そこまでやるか!?
あと、個人的に嬉しかったのが、全編パロディ満載のコメディ『フライング・ハイ』の一場面が、ほぼ完コピされていたこと。実は『フライング・ハイ』って、私の少年時代で一番楽しかった時期の思い出にダイレクトにリンクする作品(話せば長くなるので詳細は割愛)なので、別に感動的なシーンではない(そもそもそういう映画ではない)のに、ちょっとウルウルしてしおまいました。トシかねえ。
監督のセス・マクファーレンは、他にも原案や脚本などに加えて、何とテッドの声まで担当。この人、声優の他にも歌手やアニメーターなどもやっているらしく、テッドの喋りもお見事。来年のアカデミー賞の司会に内定しているということで、今後ますます目が離せない才人です。
来年1月18日公開。