ミスターYKの秘密基地(アジト)


最近いろいろあったので(苦笑)、つい買ってしまったサントラCD。どちらも昭和50年代の邦画作品のもので、結構前に発売されていたものです。


まずは『女王蜂』。
『犬神家の一族』から始まった、監督=市川崑&主演=石坂浩二の金田一耕助シリーズ第4弾で、過去3作で犯人役を演じた大物女優(高峰三枝子、岸恵子、司葉子)が共演したり、往年の二枚目俳優・佐田啓二の娘・中井貴恵(貴一の姉)がこの作品でデビューしたりと、豪華絢爛とお祭り騒ぎの中間のような雰囲気がある作品です。
まあ、私の世代なら、ミラーマン(石田信之)と仮面ライダー2号(佐々木剛)と超人バロム1の片割れ(高野浩幸)と、変身ヒーローが脇役でゾロゾロ出てくる方が「豪華共演」でしたが。


実は、当時小学4年生だった私は、なぜかこの映画にハマってしまい(原因不明)、それが高じて何を血迷ったのか推理小説(らしきもの)を書き始めました。思えば、学校の授業以外で長文の文章を書き始めたのは、これがきっかけだったようです。もっとも、推理小説(というより、単に小説としても)と呼べるようなレベルのシロモノではございませんでしたが(恥)。
でもまあ、そう考えたら、私が「物書き」を始めるきっかけになった映画と言えないこともないですね。


音楽担当は、前作『獄門島』に引き続いて田辺信一ですが、貴恵さん扮するヒロイン・智子のテーマ曲を『アンパンマンのマーチ』(それを代表作に挙げるか?)の大御所・三木たかしが作曲。当時、シングルカットされたこの曲のドーナツ盤(笑)を買ったほど、この曲にもハマっていました。




そして、もう一枚は、知る人ぞ知る日本映画屈指のカルト作『幻の湖』。

黒澤明作品や『砂の器』などを手がけた、日本映画界を代表する大物脚本家・橋本忍。彼のオリジナル・シナリオを自ら監督した作品(過去には、オリジナル版『私は貝になりたい』も同様に製作)です。


詳しいストーリーはあえて書きません(書けません。難しくて)が、トルコ(現・ソープ)嬢をヒロインに、琵琶湖を舞台として過去と現在の物語が交錯し、最後は宇宙にまで話が広がります。ね?難しそうでしょ?

上映時間2時間44分(嘆)。東宝創立50周年記念作品として鳴り物入りで公開されましたが、こんな調子でやっぱり難解だったので、記録的な不入りの挙句、わずか2週間ほどで上映打ち切りになってしまいました。その後、映画館やテレビでもなかなか上映・放映されず、ほぼ封印状態でしたが、数年前に突如DVDが発売されました。私もそれでようやくこの作品を見ることができたのですが…確かに、ワケ分からん映画でした(笑)。
いや、言おうとしていることは、分からんでもなかったです。ただ、演出が冗長なので、やはりこれじゃ客入らんだろうな、とは思いました。


音楽監督を担当しているのは、『砂の器』や『八甲田山』あたりからの流れからか、芥川也寸志。全体として、フランツ・リスト作曲の交響詩『前奏曲』をベースにしています。ちなみに、芥川にとっては、この作品が映画音楽としての遺作になりました(再嘆)。
ただ、『前奏曲』自体はなかなか素晴らしい曲だし、この映画でも非常に効果的な使われ方をしていました、でも、この作品の後、この曲を使った映画ってないような…。やっぱり、映画史に残る大コケ作品に使われた曲だから縁起が悪いと思われてるのかいな?


両作品のCDは、同じレーベルから発売されています。公開当時発売されたアナログLPと同じデザインのジャケット、おまけに紙ジャケ。