数週間前に観せて頂いたのですが、なかなか感想を書くヒマがありませんでした。
普段あまりテレビを見られないので、ドラマの存在も知りませんでした。
つまり、予備知識ほぼゼロ。
“日本のCIA”などと呼ばれている(らしい)警視庁公安部外事課。
国際的で大がかりな犯罪とかテロに対処し、普通の警察組織とは捜査方法もまるで違う。存在自体もかなり秘匿されている。
そんな組織に徹底取材したという、リアルな国際陰謀もの、といったところでしょうか。
いやあ、久々に硬派な日本映画を観せて頂きました。
日本国内で核テロの危機というとんでもない事態ということもあって、追う方も必死。
疑惑の人物の妻に協力をさせるなど、実に非情というかクールな捜査の数々。
余計な色恋沙汰は当然なし。
韓国のエージェントもからんで、虚々実々の駆け引きが最後まで続き、映画が終わるまで緊張感を見事に持続させています。
ワケありの主人公に扮した渡部篤郎(私を筆頭に優秀な人材が揃っている「栄光の68年組」の一人)(←ハイハイ)は、映画の中では何だか老け込んで見えましたが、わざとそういう風に撮ってあると推測。
いろんな辛酸をなめてきた主人公にふさわしい雰囲気がでていると思います。
彼にそそのかされて(?)疑惑の人物である夫の秘密を探る妻に真木よう子。好きですねえ(笑)。
渡部さんの部下に『カーネーション』で一躍メジャーになった尾野真千子。
『クライマーズ・ハイ』の時の役柄を思い出させる、やっぱり硬派なキャラ。いいです。
そういえば、『クライマーズ』の時に彼女にインタビューしましたが、実物も実にきれかわいい。
それに輪をかけて、ネイティブの関西弁がまた何とも言えずいい雰囲気でした。
最近の日本映画にジャンルを問わず出まくっている感のある余貴美子が、ここではとうとう官房長官に出世。数年内に総理役をやりそうな勢いです。
内閣情報調査室(この名前が出てくると、70~80年代のSFパニックやポリティカル・サスペンスを浴びるように観た私みたいなヤツは思わずニヤリ)のお偉いさんに石橋凌。
すっかりこの手の役が板についてきましたが、もともとミュージシャンでしたよね?この人。
警察庁警備局長に、「予告編の人」こと遠藤憲一。相変わらずです。
この3人の3ショットが頻繁に出てきますが、「いかにも」な組み合わせなので観てるとだんだん顔がニヤけてきます。
他にも、いい味出してる俳優さんたちが適材適所でたくさん出てきて、作品の雰囲気と緊張感をさらに盛り上げてくれています。
ところで、警視庁の外事課って確かに我々一般庶民には馴染みが薄いのですが、東宝特撮映画マニアには実は覚えがある名前。
怪獣ものとギャングものをドッキングさせた異色作『宇宙大怪獣ドゴラ』(64年)。
国際的な宝石強盗団が暗躍するというのが物語の縦糸なんですが、それを追う主人公の刑事(夏木陽介)が所属していたのが「警視庁外事課」。
この『外事警察』とは、扱っている事件も組織の雰囲気も全然違いますが、とりあえず“国際犯罪”ではあります。