昨夜、業務試写で観せて頂きました。
言わずと知れた、今年のアカデミー賞で主要5部門を獲得した話題作です。
1920年代末。映画がサイレント(無声)からトーキーへと転換しようとしていた頃のハリウッド。
大スターのジョージ(ジャン・デュジャルダン)は、女優を目指していたペピー(ベレニス・ベジョ)と偶然出会います。
ジョージの大ファンでもあったペピーは、彼のアドバイスを守ったおかげで、大スターへの道をとんとん拍子に突き進んでいきます。
その一方で、あくまでもサイレントにこだわるジョージは、時代の波に乗り遅れ、次第に没落していきます…。
当時の映画に模して、白黒&(ほぼ全編)サイレントというユニークな作りです。
ストーリーは、大雑把に言うと、
『スター誕生』+『サンセット大通り』+(ちょっとだけ)『雨に唄えば』
といった感じで、その点に関しては実にクラシカルです。
監督は、アカデミー賞の授賞式でビリー・ワイルダーへの謝辞を贈ったようですが、ジョージの運転手のクリフトン(ジェームズ・クロムウェル)のキャラは明らかに『サンセット』のマックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)へのオマージュだすし、途中で『失われた週末』を思わせるシーンも登場します。
難を挙げれば、ヒロインのベレニス・ベジョがあまり「20年代顔」に見えないこと。
それと、これは個人的な理由ですが、クライマックスでヒッチコックの『めまい』のラブシーンの音楽(バーナード・ハーマンの最高傑作)が丸々使われていること。理由が分からないこともあって、どうも腑に落ちません。あの曲が大好きだから、余計に気になるんでしょうね。
とは言え、実にうまい作りの傑作であることは確かで、作品賞をゲットしたのも頷けます。
上映時間も101分と実にコンパクト。
個人的には、ジョージの愛犬のアギーの“名助演”ぶりがツボでした。