今年大流行の宇宙人映画の西部劇版、しかも、6代目ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグとインディ・ジョーンズのハリソン・フォードが共演とあって、どんなぶっ飛んだ活劇になっているかと思ってましたが…。


そういう期待をして観ると、若干肩透かしを食らうかも。基本的な雰囲気は、かなりまっとうな西部劇なんですな。


しかし、映画を観終わってから、ある重大な事実に気がつきました。


これって、ジョン・フォードの『捜索者』じゃん。


アブダクションに遭った連中を救出に行くという後半の展開は、まんま『捜索者』です。敵がインディアンからエイリアンに変わっただけ。


後半、主人公たち=白人とインディアンが共闘するのは、観ている間は「ああ、いろいろとうるさい現代の西部劇ならではだなあ」ぐらいにしか思ってなかったのですが、そう考えるとなかなか味わい深い。つーか、あの共闘の画ヅラ、個人的には結構燃えて気にいったんですけどね。


ラスト、救出は成功したのに、主人公は心晴れず孤独なまま…というのも、まさに『捜索者』のイーサン(ジョン・ウェイン)そのまま。
思い出の廃屋から出て行く時のカットなんか、明らかに『捜索者』のラストカットへのオマージュでしょう。


おまけに、その直後の酒場のシーンで演奏されているのは、(私の聞き違いでなければ)『捜索者』で効果的に使われていた、アメリカの古い歌『ロリーナ』という念のいれよう。


そういえば、クレイグは以前からスティーブ・マックイーンに似ていると評判だったですが、西部男の格好をすると、それがさらに増長。そういう意味では、マックイーンが両親の仇を捜し求めて旅をする『ネバダ・スミス』を連想しても可(?)。


そんな感じで、個人的には結構楽しめました。