月曜日に観せて頂きましたが、感想を書きそびれているうちに公開日も迫り、今朝の熊本日日新聞に拙文が掲載されました。
アンジェリーナ・ジョリーの新作は、いかにもアンジー姐さん向きのド派手なアクション…なんですが、今度はちょっと違うかも。
ロシアの大物諜報員によって、ロシア大統領暗殺のために送り込まれたスパイであると名指しされたCIAの分析官イブリン・ソルト。二重スパイの疑惑をかけられ、夫にも生命の危機が迫ったと思った彼女は、得意のスキルを駆使して逃走するが、かつての仲間たちに追われるハメに…。
「汚名を着せられた主人公が、追われながら事件の真相を追究する」という、この映画のストーリーの根っこは、サスペンスの神様ヒッチコックお得意の“巻き込まれ型スリラー”を思わせます。その代表作『北北西に進路を取れ』を思わせるシーン(主人公が窓伝いに建物の外壁を通って脱出)もあります。
いや、それだけではなく、ロシア(=ソ連)の二重スパイ(『トパーズ』)やら、ヒロインが髪の毛の色を染め替える(『めまい』や『マーニー』)といった、ヒッチへのオマージュ的シーンが結構あって、個人的には◎。あ、ストーリーのもう一つの根っこは、フランケンハイマーの『影なき狙撃者』だなあ、モロに(苦笑)。
今までのアンジー・アクションはどちらかというと正攻法、悪く言えば勢いばかりが目に付く作品が大半でしたが、この作品はストーリー的にかなりヒネってあります。と言うか、後半は「ヒネリ過ぎだろ!」とツッコミたくなるぐらい。しかも、上映時間100分弱。凝縮されてます。