撮っては干され撮っては干され…を繰り返す不憫な奇才・伊藤俊也監督、4年ぶりの新作。1968年に発生し迷宮入りした「戦後最大のミステリー」3億円事件を題材にしたサスペンス・ミステリー。


ベテラン(奥田瑛二)と若手(渡辺大)という『野良犬』以来のおなじみの組み合わせによる刑事コンビが、現代(設定は2002年)に発生した殺人事件の背後に3億円事件が存在することを突き止め、真相に迫っていくが…。


隠しテーマが“復讐”というあたり、さらにその最後の標的となるのが夏八木勲というところが、伊藤のデビュー作『女囚701号 さそり』と共通していて面白いのですが、彼と共に脚本を担当しているのが、ヒューマン系刑事ドラマの金字塔『特捜最前線』のメインライターだった長坂秀佳であるせいか、クライマックスの展開はほとんど『特捜』。大ちゃんが奥田のことをいつの間にか「おやっさん!」呼ばわりしているし。いつ大滝秀治が出てくるかとヒヤヒヤしました。


反体制作家としての伊藤の面目躍如。こっちの刑事映画の方が見応えあると思います。