ジョニー・デップが伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーに扮した実録もの(かなり脚色ありとのこと)。彼らを追い詰めるFBIの敏腕捜査官パーヴィスにクリスチャン・ベイル。ジャック・スパロー対バットマンですな。

デリンジャーといえばジョン・ミリアスのデビュー作の印象が強い。この時に彼を演じたウォーレン・オーツは本物のデリンジャーに激似みたいだし、パーヴィス役は激渋ベン・ジョンソンという無敵の布陣(クレしん劇場版『カスカベ・ボーイズ』でもパロっていた、『ワイルド・バンチ』の兄弟役同士の対決)。だから観る前は「ジョニデでやるの?大丈夫?」と心配してましたが、映画毎にきちんと“化ける”彼のデリンジャーも、これはこれでありでしょう。

あれこれ詰め込んだせいでちょっと散漫な感じもするし上映時間も141分になってしまいましたが、マイケル・マンの演出は重厚だし、例によって銃撃戦も気合い入りまくり。ただ、やはりHDカメラの映像がどうも違和感を・・・。鮮明過ぎて画に深みがなく、逆に安っぽく見えます。ビデオ録りの最近のテレビの時代劇と同じです。ここだけが惜しかったですね。

パーヴィスが呼び寄せたベテラン刑事トリオのリーダー格・ウィンステッドのキャラが実に良い。寡黙だが、常に的確なアドバイスで捜査に貢献する切れ者。しかも人情味があり、ラストを完全にさらっている。彼のおかげで、映画を観終わった時の感じが大きく変わりました。