同業者(?)や音楽ファンからの評価は異様に高いのに、なぜか売れない。それでも20年以上にわたって活動を続けているヘビメタバンド「アンヴィル」の悪戦苦闘ぶりを描いたドキュメンタリー。あのマイケル・ムーアが絶賛したり、自らもバンドを率いているキアヌ・リーヴスが応援団長を務めたりと、この映画自体も海外での高い評価を受けていて、ようやく日本公開が決定しました。


映画としての構成もしっかりしてるし、バンドの連中に降り掛かる災難の数々が大映テレビのドラマ並みにとんでもないことばかりなので、人生の崖っぷちに立っていない人にも充分楽しめる(?)映画です。


高校受験を間近に控えて不安だらけの毎日だった中3の頃にテレビで見た『太平洋奇跡の作戦 キスカ』と『スミス都へ行く』。絶望的なまでの難局に直面した主人公が、己の信念を貫き通して戦い続けた末に奇跡を起こす、という点で共通していたこの2本の映画に、愚直なまでに純朴だった当時の私は大いに感動し、そのまま“心の映画”になりました。


それから約30年。あまり興味のないヘビメタバンドのドキュメンタリーという形で、まさか“3本目”に出会えるとは!


「映画系物書き」という生き方しかできない(と思い込んでいる)ゆえに自分の家庭を崩壊寸前に追い込んでいる今の私には、シャレにならないぐらい身につまされる映画ではあります。でも、「今、投げ出したら、何かすごく大損しそうな気がする」と思わせるパワーに満ちています。


それにしても、その人の人生のどんなタイミングで観るかによって、映画の価値は大きく変わるものだということを、改めて思い知らされました。


<『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』公式サイト>
http://www.uplink.co.jp/anvil/

<『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』応援サイト>
上の文章を基にした拙文も載っています。
http://anvilmovie.web.fc2.com/