今回のHASライブについては、想うところあって
当初はレポートはしないつもりだった。
ただ、当ブログへの、連日の尋常じゃないアクセス数を考えるに、
多くの人が気になってるということは、安易に推測できる。
そもそも、今回は異常なチケット争奪戦が繰り広げられ、
たまたま幸運にも『当選』という形でチケットを購入できた僕も
結局、誰にも『HAS行くの?』と聞くことができなかった。
たまたま会場で会った友人達も、同様の想いだったようだ。
そんな中で、あの空間を共有できた者として、
何かしらのコメントを発信すべきか、とも思うようになってきた。
実のところ、レポートは『しない』つもりだったのではなく、
『書けない』と言った方が、より正確だ。
音楽テクニカルライターを職業としながらも、
YMOが絡むと、どうも書けなくなってしまうのだ。
何を書いても『違う』と感じるし、
どう書いても自分の真意を正しく表現てきていない気がする。
まあでも、HASだしね。
そこが今回のライブの最大のポイントなんだろう。
だから、完全にプライベート・メモとして、
当日の記憶を記しておくことにする。
*****
このライブは、正直、
どんな手段を使ってても行きたいと思ってたし、
YMOの曲を演奏するであろうことや、
生演奏の要素が強くなることは噂として伝え聞いていた。
ただ、自分でも意外なほど、これまで冷静に対応てきていた。
少なくとも、当日の昼までは。
『今日は、HASのライブだ。楽しみだな~』という気持ちはあっても、
緊張感などは何もなく、『遅刻しないように行かないと』なんて
言語道断なことさえ考えていたほどだ。
ところが。
開演まで残り4時間を切り、そろそろ家を出る準備をするか、
と思い始めたころから、急激に緊張してきたのだ。
あれ?ひょっとして、YMOじゃねぇの?
YMOファン以外には理解し得ないところかと思うが、
それほど『YMO』という名前はデカイのだ。
それがギスギスとした形で実現してしまったのが、
1993年の再生XYMOだった。
歓喜と失望と感激と不満が入り混じった、非常に複雑な想い。
そしてこの再生のときも、YMO散開後の80年代後半と同じように、
東京ドームライブというハレの舞台を終えると、
YMOのことは『なかったこと』として、世の中では扱われた。
だからこそ、極自然な形で細野さんと幸宏がSKETCH SHOWを結成したとき、
2002年のライブに教授がゲスト出演したときは、
何のわだかまりもなく、手放しで喜べ、彼らが生み出す音を楽しめた。
そして2004年。
Sonar Festival(バルセロナ)、sonarsound tokyoで
Human Audio Sponge(Sketch Show+坂本龍一)
として3人がステージに立ったときも、
『YMO』ではないが故に、熱狂し、興奮した。
ただ今にして思えば、この2004年のHASの3人は、
スピリッツとしては、限りなく『YMO』に近かったように思える。
少なくとも、今回に比べて。
ほとんどメディアにも取り上げられなかった2004年のHASに比べて、
『元YMO』『YMO再結成』としてお茶の間レベルでも騒がれた今回のHASは、
彼ら3人が『YMO』であることを自ら遊んでいたように思える。
細野さんが左腕にyMoスカーフを巻き、
オープニングで以心電信を演奏し、ラストに教授がドラムを叩き、
アンコールでサポートメンバーがyMoシャツを着て登場するなどの演出は、
3人ならではのユーモアであり、サービスだろう。
1983年、当時は過激であったアフター・サービスは、
時を経て2007年、よりヒューマンなアフター・サービスになったのか。
*****
何を書いているのかわからなくなってきた。
ライブについても少々書くことにしよう。
JR桜木町駅から、ひとめでそれと分かる人波が
会場のパシフィコ横浜国立大ホールへと連なっていく。
ただし、予想していたよりも濃いお客さんは少なく、
yMoシャツを着た数名を見かけただけ。
もし赤い人民服で会場に来ていたら、
これは目立つどころか、きっと浮いてしまっただろうな。
それだけ、聴き手も大人になったということだろうか。
はたまた、当時の衣装が着れない体型になってしまったのか(笑)
ほぼ時間通りに開場。
パンフ等の物販はなく、すでにリリースされているHASのDVDが
オマケ付きで販売されていた程度。
それよりも、今回のイベント『Smile Together Project』の一環である
オーガニックなキャンペーンTシャツが大々的に売られている。
リリー・フランキーがデザインしたHAS Tシャツを購入。¥4,800円。
そうか、ライブの方がお値打ちなのね。
会場は、予想以上に広々とした、ちょっと厳粛な雰囲気。
こんなに客席が広いのに、すぐ近くの席に知人がいてビックリ。
また、数年ぶりにお会いする人もチラホラ。ファンの方も、再結成。
ステージを見ると、センターにドラムセットがっ!
教授のブースにProphet-5がっ!
そして、優しい『以心電信』で夢物語が始まる。
サポートメンバー(高野寛、権藤知彦、高田漣)の情報を聞いて想像した通り、
音の方は、牧歌的エレクトロニカをポップス・フィールドに持ってきた感じ。
わかりやすく言うと、
幸宏の『Blue Moon Blue』の音世界。
ただし、ラップトップを使ったインタラクティブなテイストより
生演奏の要素を多く取り入れることで、よりバンドの色合いを濃くしている。
正直言うと、僕はエレクトロニカが苦手なんだが、
幸宏のポップス・センスが絶妙に効いた『Blue Moon Blue』や
ミカバンドの新譜に収録された『THE LAST SEASON』などは自分的超ツボ中のツボ。
これに細野さんの弦ベース、教授のプレイ、
そしてライブ後半には幸宏の生ドラムが加わるのだから、
最強。
ま、ここれは好みの問題ですから。
それに、HASですから。
いずれにせよ、今回のプロジェクトが、
幸宏主導で進んでいったことがよくわかる。
歴史的なMCでも、
幸宏はサービス精神旺盛でたくさん喋る。
教授と細野さんは、相変わらずの
独り言のようなボソボソとした間の悪いMC(笑)。
それはそれで、何とも言えぬ微笑ましさと
懐かしさを覚える。昔と、変わらない。
細野さんのトリビュート・アルバムに収録されていた
幸宏カバーの『Sports man』やSKETCH SHOWのお馴染みのナンバーが演奏される中、
昨年の幸宏さんのツアーで演奏されたメルツ(Marz)のカバー
『Everything had a hard year』がここで演奏されたのには少々驚き。
ただし、幸宏ファン的にはラッキー気分。幸宏のボーカルが、心地よく響く。
そしてYMOファンなら、
盛り上がらないわけがない『Riot in Lagos』。
かつてのHASライブでも演奏されていはいるが、
今回は高野寛のギターのフィードバック音と
高田漣のエフェクティブなスティール・ギターが加わり、
より過激なパフォーマンスに。
頭の中で、故・大村憲司さんの寡黙で攻撃的なプレイが、
オートマチックにプレイバックされる。
この日のステージは極力シンプルに作られており、
何も装飾がないことで、そこに映し出される映像と凝ったライティングが
より一層、強いインパクトを与えた。
中でも、新曲(『Resque』というタイトル)ドット・グラフィックと
教授の『War and peace』のメッセージ性を強調した映像は秀逸。
これは是非、映像作品として見て欲しいところだ。
そして『Rydeen 79/07』。
幸宏はブラッシュでドラムを叩き、教授はトイピアノとProphet-5、
そして細野さんは弦ベースで、ほぼ配信音源と同じアレンジで演奏。
ところが、ふた回し目のAメロになると、幸宏のドラムが俄然力強くなり、
それに触発されるように、教授もフリーなバッキングを弾き始める。
あ、YMOだ。
一瞬、ハッとした。
不思議なタイムトリップ感。あの日が鮮明に蘇る。
そしての幻想が解き放たれると、3人は姿を消した。
え?もう終わり?
しかし、時計を見ると、開演から約80分。
すでに14曲が演奏されていた。
アンコールの最後の『Cue』では、場内は総立ち。
自然発生的に手拍子が起こる。
本当のことを言うと、この曲は、
静かに座席に座って1音1音をたっぷりと楽しみたかった。
まあそれは、ちょっと贅沢過ぎるか(笑)
そう思いながら、自分も手拍子をし、絶叫しながら、
イベントの終幕を楽しませてもらった。
この場に居ることができて、間違いなく幸せだった。

*****
ほらね。こんなに長くなっちゃったじゃん(笑)。
ま、最後はオマケネタで。
●その1
今回はチャリティーライブということで、多くの関係者の方々も、
招待ではなく、実際にチケットを購入して来場していたようです。
●その2
終演後、会場内ロビーで3人のパネルを見ていたら、
いきなり2人組の外人に
外『コレ、ダレ?』
と話しかけられました。
一瞬意味が分からず、ただ写真がよく見えなかっただけかと思い、
今、ステージでパフォーマンスしていた3人だと伝えたところ、
外『デ、ダレ?オンガク?』
と再びクエスチョン。こちらの頭の中もクエスチョン。
まさか、と思い、
僕『どぅーゆーのーいえろーまじっくおーけすとら?』
と言ったところ、わかったのかわからんのかよくわからん反応。
すると再び、3人の写真を指差し、
外『オジサンねぇ~!』
とひと言言い放ち、笑いながら立ち去って行きました。
オマエダレ?ちゅうか、YMO知らないヤツが、何でココにいるの?
ヤツらがニッセンの分厚いカタログを
喜んでもらって帰っていたことは言うまでもない。
●その3
ライブ中、3人の姿を見て僕の隣で狂喜乱舞していた某女史。
そのライブ後に会場で竹中直人さんを目撃し、追っかけて握手をしてもらった途端に、
彼女はもう、竹中直人のことしか話さなくなりました。
3人の姿は、彼女の記憶から消えたに違いない( ̄w ̄)ぷ
●その4
で、この増殖人形、マジでか?
