『別れてください』
今日でこの関係が終わりだと思うと悲しかったが涙は出なかった
前から決めていたからなのか、好きという感情がなくなってしまったのか
考えたが後者の考えに首を横に振った
まだこんなにも好きだ
好きという気持ちを諦めることを何回も試したが理佐を嫌いになることはできなかった
諦められないけど終えることはできる
信じられないような表情で固まる理佐にもう一度同じ言葉をつげた
「理佐、私と別れてください」
言葉の意味はわかるが理解したくないような表情に心が揺らぐ
なんでとかすれ気味に発した理佐の声に涙が溢れそうになる
ごめん、ごめんなさい
何度も心の中で謝り続け、理佐から目を逸らした
あんなにひかると練習したセリフもなかなか出てこず黙っていると理佐が
「どうして…理由を教えて…」
と震えた声で言った
今度ははっきり聞こえてくる理佐の声が耳に届き胸が押し潰されそうだった
こんなにも傷つけてしまってごめんなさい
それでもこれから私のことで傷つくことはもうないから今日だけ許してと爪が食い込むほど拳を握った
「…好きな人が、できたの…」
目を見て伝えなければいけないのに思わず俯いてしまう
今すぐ抱きしめて大好きだよと伝えたいけれどそれはいけないと思い泣きそうな理佐に優しく微笑む
「今までありがとうございました」
と言い捨て理佐に背を向けた
これ以上理佐の前にいたら泣いて縋ってしまう
理佐大好きだよ
だれよりも
理佐を一番愛してる
今までも、そしてこれからも
そう伝えたい気持ちをグッと抑え込み何もいない理佐に頭を下げて小さくごめんなさいと呟きその場を逃げるように去った