2001.9/11、アメリカ同時多発テロ事件が起こりました。
マンハッタンの高層ビルに旅客機が飛び込むという衝撃的な事件であり、
あの事件をきっかけとして、世界情勢の「何か」が変わりました。
この事件より前の1996年に発表された
サミュエル・ハンティントン氏の『文明の衝突』という本があります。
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文明の衝突 [ サミュエル・P.ハンティントン ]
3,024円
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世界はいくつかの「文明」に分かれており、
文明と文明の軋轢が衝突につながっていく、という内容で、
出版当時から話題となり、物議を醸していました。
私自身は、この本の視点に対して、非常に恣意的で、アメリカ目線な考え方であり、
アメリカ自体がこのような考え方をとることで、軋轢を助長するだろうと考えていました。
一方で、1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・セン博士は、
『人間の安全保障』などの著作の中で、ハンチントン氏を激しく攻撃しています。
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人間の安全保障 (集英社新書) [ アマルティア・セン ]
734円
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「文明」という色眼鏡をかけて相手をみることで、
本来行われるべき対話も歩み寄りも放棄され、
むしろ対立を煽ることになる。
セン博士の抱いた危機感は、同時多発テロを経て、
『文明の衝突』を都合よく利用する人たちによって助長され、
現実のものとなりました。
アメリカは、この同時多発テロを支持率浮揚に利用して、2期8年続いたブッシュ政権の後、
バランスをとるように対話路線のオバマ政権へとchangeしました。
しかし、今、また、対立を煽ることで「取引」を有利に進めるトランプ氏が政権を担っています。
「文明」論などという、小難しい話より、「利益」で動くように見えるトランプ氏の破天荒な言動が、
よくも悪しくも、世界に混乱をもたらしていることは間違いありません。
同じ9.11を前にしても、それに対して憎悪を煽るのか、対話と解決を考えるのか、
それぞれの思想・信条・立場により、考え方は様々です。
しかし、まずは立ち止まって、亡くなられた方々に、哀悼の意を表し、
同時に、テロを許容するのではなく、それを根絶するために、<
そこまでの憎悪が育まれた背景に、思いを馳せること。
立場の違いを越えてそれは出来ることなのではないかと思うのです。