「やっぱり、俺たちこれしかないぜ」
「やっちまえば簡単なんだよ、こういう話にだまされる馬鹿ばっかなんだよお前のいた、ねずみ講の世界ちゅうのはよ。」
「ねずみ講じゃないけどな」「ネットワークビジネスだぜ、いまどきねずみ講なんてなんて言ってたら馬鹿にされっぞ」
「ねずみ講だかネットワークだか知らねえけど俺から言やぁどっちも同じだ。」「欲の皮が突っ張ったばあさんの寄り合いなんだろ。」「お前はそんなばあ様の知り合いばっかなんだろ?」「簡単だよ、なっ、やっちまおうぜ」
と加納は緒方に持ちかけた。
緒方はいわゆるネットワーカーであった。
ネットワーカーとはネットワークビジネス(マルチレベルマーケティング)を職業としている人達のことである。それ自体は何ら違法性はなく、れっきとしたビジネスである。
【 】内は私の主観的な考えです。
【ねずみ講とネットワークビジネスとの違いは商品が介在するかまたその商品の価格設定が云々といわれるが要は誰でも人を紹介すれば簡単にお金が儲かるという触れ込みで買いたくもない商品を売りつけその上前を紹介料という体のいい言葉でうたった紹介ビジネスである。(真剣に本業をされまじめにやっている方、すみません)紹介された人間が今度は紹介する側になりこれを繰り返す。それが大きなグループを形成しそのトップにいる人間は左うちわというものだ。】
緒方はそのトップにいた人間である。一度この甘い蜜を吸ったものはこの甘美な体験が忘れられなくなる。楽して儲けたい人間が陥る大きな罠でもある。緒方もしかりである。
現在の緒方はその頃の贅沢三昧がたたり気が付けばグループは他のネットワークに移りそれまで安泰だと思っていた収入も全く入ってこない状況であった。収入は減る一方なのに今までの生活が忘れられず変わらず贅沢をして逆に借金を生む生活となっていたのだった。
「そりゃ、今でもオレが声をかければノコノコ着いてくるおばさんはいるけどな、ほんとに大丈夫かよ?」
「大丈夫だよオレが青写真書くからお前はそれをそのばあさんたちに見せてやりゃいいだけだ、おまえの最も得意とするものじゃねえか。」
「そりゃそうだけどな」
「じゃ、決まりだな、2、3日で資料そろえるから即実行だ。膳は急げだ」
今後とんでもない事件へと発展していくこのときの策略を私が知る由もありません。
当たり前です私はこの二人がこの世に存在していることすら知らないのですから。
(続く)