す名作の語りべ芙美のブログに

お越しくださいましてありがとうございます

「伊勢物語」その二『東下り』を

YouTube にアップしておりますので

下のサムネイル画像をタップしてお聞きくださいませ

今後ともどうぞよろしくお願いいたします

 

 

 

スタンドエフエムにも朗読をアップしております

そちらものぞいていただけると嬉しく思います

 

スタンドエフエム

 
 
 
昔、男がいた
その男は 自分を 誰の役にも立たない人間だと思い込んで 京の都には住むまい 、東国の方に住むのに相応しい国を探しに行こうと思って、 旅立った。
 三河の国の八橋というところに着いた 。
そこを 八ツ橋と言ったのは 水流が蜘蛛の手のように 四方八方に流れていて、橋を八つ 渡してある ので 、八橋と言ったのである
 
 
らころも
つつなれにし
ましあれば
るばる来ぬる
びをしぞ思ふ
 
 
【八橋】
三河の国(現在の愛知県東部)まで来て
水流が入り組んで流れる湿地帯の八ツ橋で馬をおり
食事をとります
その食事は、ご飯を乾かして携帯用食材にした乾飯
(湯や水に浸し柔らかくして食べます)
その横の湿地にかきつばたが美しく咲いているのを見て
友人の一人が主人公に歌を所望します
その条件は【かきつばた】という五文字を
歌の五句の冒頭に置く【折り句】と呼ばれる技巧をこなし
旅の気持ちを読めというもの
共に旅を続けている友人からの親しみを込めた要望でした
主人公は見事にその条件にかなった歌を読みます
しかもその歌には
【なれ 】【褄つま(着物の裾)】【張る(洗い張りをする)】
などと言った「から衣」に関わる言葉が
「慣れ」「妻」「はるばる」などの意味の裏に
隠されて配されています
複雑な技巧をこなしながら
しかも人の心を打つ名作として知られた一首は
こうして生まれたのでした
京に残してきた妻を思い
遠く離れてしまった道のりを嘆く思いは
ともに旅をする一行全員に共通する思いでした
その気持ちを見事に表現した歌を聞いて
彼らは皆涙を流して泣いてしまいます
 
 
彼らが流した激しい涙が乾いたご飯にかかり
そのために湯も水も使わずに
それがふやけて食べられる状態になったというのです
 
 
参考文献 和泉書院「絵で読む伊勢物語」
 
 
 
本日の庭からの収穫【茗荷たけ】
皮をさっとむいて赤味噌で
パクパクといただきます
 
 
 
亡き愛猫
在りし日のピカソ