入居4日目の母

母の好きなあんぽ柿とアイスを買って施設に向いました。
すると、冷凍庫の中にアイスが、もうすでに入っていました。
昨日、義姉が、入れてくれたんだ…
母が、好きな「アイス最中」ちゃんと知っていたんだ…(有り難う)

今日は、テレビをつけて、ベットに、横になっていました。
目は、虚ろ…私は一瞬、ドキッとしました。進んでる…?

でも、やはり嬉しそうな笑顔で起き上がり、先ずは私の買って行ったアイスを食べました。
母も私も、大好きな丁度溶け具合の良い「雪見だいふく」

「美味しい!あんたも食べなさい!」と何時もの会話。

そして、何と、今日はコーヒーを入れた形跡があったのです。

「お母さん、コーヒー入れて飲んだんだね!」
すると、
「飲んでないよ!」
「……飲んだでしょう!? ほら!」
と、カップの中を見せると
「あら…本当だ…」

凄い!凄いよ!

そして、ややもすると、お昼ご飯のお迎えでした。
えっ?
だって、まだ11時を少し回ったばかり。

約1時間も前から移動を始めないと、12時の昼食時間に皆が揃うのに間に合わないらしいのです。私がいたので、後でもう一度迎えに来て下さる事になりました。
そして2度目のお迎えが来ましたので、私もどんな感じで移動するのか見せて頂きました。

食堂に入ると
「手を消毒して下さい」と言われたのに、母は聞こえないようで、自分の決められた席にまっしぐら!
スタッフの方が多目に見て下さいましたが、私は慣れてきた母の行動に驚きでした。もう、順応しています。

12時少し前でしたので、私は部屋に戻りました。1時間も前から座って昼食が出てくるのを待つのなら、これからは私がいる時は、その時間に連れて行ってあげよう…と思いました。

母の食事を、待っている間、少しばかりの部屋の清掃をしておりました。

母に買ってあげたのに、ほとんど書いていなかった日記帳が、置いてありました。

2月7日 頭がへん、書けない
2月8日…日付だけ…

混乱した中で、1人になった時に、一生懸命、書こうとしていたのです。
頑張ったんだな…

ややもすると母が、帰って来ました。

「あれ?1人で帰って来たの?」
「誰かと一緒に、来たよ。まずトイレに行ってくるわ」
と入った時、ドアがノックされました。私が出ると、そこには車椅子の女性がいました。

「帰れた?」と声をかけに来て下さったのです。
その女性が、私に不思議そうな顔をして
「お友達の方ですか?」と聞きました。
「娘です。入ったばかりなので、これからお世話になりますが、よろしくお願いします」と挨拶をすると
「お友達が来ている…と言っていたわよ」と教えてくれました。
何と私は《お友達》になっていたのです(汗)

その方は、施設の方から聞いていた母と同郷の方だったのです。

それから、小さな片田舎の町でしたので、私の昔勤めていた職場の名前を出すと知っているだろうな…と思ってきいてみたら、何と何と、縁とは凄いもので、その方は、私の昔の職場の社員食堂で、10年前まで働いていた方だったのです。

話が弾み、あの人知っている、この人知っているで盛り上がり、お部屋に入って本当は3人で話したらとても楽しいだろうと思いましたが、各お部屋に入ることは禁じられているのです。

母そっちのけになってしまったので、またの機会で…という事でお礼を言って別れたのですが、母はもう、その方に送って頂いた事も忘れているようでした。きっと、途中から自分の部屋がわかったので、車椅子の彼女に案内されている事も忘れさっさと1人で部屋に入ってしまったのでしょう。
まぁ、仕方がないか…

私は、編み物を持って行きましたので、話をしながら、母に編んであげた服の襟のお直しを仕始めました。すると、何と母も、あの籠の中から毛糸を出して、ほどきかけの服を取り出したのです。

4日目、やはり 何がが動いた!



このピンクの籠

もう45年程前に、母が、竹籠をみて、どうにかしたら編めそうだ!と、見様見真似で作ったものです。何個も何個も作って角の作り方、紐の締め方、最後の仕上げの美しさを研究していました。


そう言えば…私の子ども達が小さかった頃、おもちゃをこの籠の中に分けてお片付けをしていたなぁ…あのお気に入りのブロック、あのお人形、あのおもちゃ…何となく思い出してきました。でも、何処に行っちゃったんだろう…

きっと、何度か引っ越しをしているうちに処分してしまったのでしょう…


その時は母の思いに馳せる事もなく。

私もまた、自分の事だけで、精一杯だったのだろう…


母の人生の長い年月をすぐ側で寄り添ってきたのは、もしかしたら誰でもなく、この籠と毛糸達かもしれない。


多分、父が亡くなってから3年目くらいだった…

きっと無我夢中で、残された3人の子どもを一人前に育て上げなければ…と必死だった頃、母にもほんの少しの楽しみが、こう言う手仕事だったに違いない…


 

 


 

 


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「そろそろ何かを始めよう!」としている方…
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場所 札幌市清田区
日時 火、水、木 
基本 1ヶ月2回  午前 午後
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手編み(かぎ針、棒針)
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