画像産経ニュースより
流氷や本名に帰し往生す
容疑者はまるで小説のような最後を迎えた。
世間の視線に怯えながら警察の捜査網を掻い潜り、海外までも逃避行を続けていたが、意外にも我々のすぐ傍に潜んでいた。
何度も偽名を変え、影となり目立たぬように渡り歩いてきた姿は、冷たい海を漂う流氷だった。
命の果てを知った時、自らの命を贖罪に差し出したのだろうか。
◇季語 流氷 傍題 氷流る・流氷期・海明け
◇季節 春
◇解説 シベリア東部から南下する流氷は、一月中旬に北海道の
オホーツク海沿岸に接岸し、三月下旬ころから一面に罅
が入って沖へ流れ出す。視界から半分以上の流氷が去る
と、海明(うみあけ)という。<合本俳句歳時記より>
例句
流氷や宗谷の門波荒れやまず 山口誓子
白炎をひいて流氷帰りけり 石原八束
流氷に靡きて雪の大地あり 斎藤玄
ふかき罅もちて流氷つながれり 津田清子
海明けの海目にしみる旅の朝 北光星