2年前から始めた「”エセ”ピアノ弾き語り」。


そいでこの間、オープンマイクなるものに出て来ちゃったよ。

インチキでも、楽器を鳴らしながら歌えば弾き語り。

例えば、どんなショボい毛糸でボコボコの編み目だって、とりあえず形にしちゃえばクリーニング屋さんに持って行った時には「セーター」扱いになるように、どんな「エセ」だって「弾き語り」ってことになっちゃう。ちょっと申し訳ない気分だ。


私が最後に人前で歌ったのは日本で20年以上も前の話、そして今回弾き語りとして、しかもこの国では人生初。

ただのオープンマイク、たったの2曲で大騒ぎさ〜🤪


場所は私達夫婦が長年姉貴分と慕っている近しい友人の行きつけの店。彼女もここで毎週のように歌っているので、最初は姉さんを観ながら食事を楽しむだけだった。


その店のオープンマイクナイトは毎週水曜日。
屋外で、お客さんはパラパラしかいなかった。
出演者も”ふらりと入って来て気ままに演奏”するって感じ。

 
私はというと、元々、人に注目されるのが苦手。
道を歩いていても、誰かに私の名前を呼ばれた途端に躓く。一番座りたくない場所はお誕生日席。脇役をこよなく愛する体質。鬼ごっこでは「みそっかす」レギュラーで本人も満足。
ただ、音楽という性質上、上達を望むならば人に見せる緊張感はいずれは必須となる。なのでこれまでは時々動画をSNSで投稿するくらいはしていた。ビデオならやり直しもきくし♪


そもそも人前に出るという案は夫とその姉貴分(行動力の塊のようなコンビネーション)による発想で、私の演奏がのらりくらりと幾つか曲っぽくなってきたあたりから、出ろ出ろ言われ始めたのだった。そして、その後のパンデミックを経ても彼らは忘れていなかった😅
もっともパンデミック中に私の意識も前とは少し変わっていた。娘が親元から離れたので空の巣症候群にならないよう自分自身を忙しくしなければ、そしてそんな話を聞いた日本の母もビデオを楽しみに待っていた。


それでもやっぱり元来引っ込み思案なんで、心のどこかでまだ逃げ腰。


そんな私だから、イェーイ!ここならプレッシャーゼロ🎶初めて公共で演奏するには気軽でパーフェクトな環境🎶
お客さんの注目の度合いが“なんかやってるな〜”程度っていうのが理想的!
最初はこういう場で徐々に人前に慣れていこう🎶

安心してかなりその気にになったので、帰り際、オープンマイクのホストと出演までの手続きのステップを確認しに行った。「手続きなんてもんはないよ、いつもこんな感じだからさ、来たら、はい、どーぞってな感じだよ」、うほ〜そのユルさが益々いい!「じゃあ、来週やりに来るからね〜🎶」と笑顔で手を振りその日は退散。


そして当日がやって来た。

行きの道路は渋滞気味だったが、気にするこたぁーない。なんせ気ままに行って気ままに演奏するだけなんだから🎶

夫と車で現場に到着。車を駐車するのに空いているスペースを探してっと。


、、って、、ん?、、何で探す必要あるの?ここ、先週はガラガラだったじゃんか、、、😨


更には屋内から聞こえる音楽とワーワー言う人々の声。

身体のあちこちからピキピキと氷結音が鳴り始めた🥶

敷地に入ってみると、この間使っていた屋外のスペースには誰もおらず、屋内に入ると混雑こそしていないまでも決して「パラパラ」ではないお客さんの数、しかも”ステージ”なんていう余計な物まであったりして、出演者は順番待ち。


先週の「ふらりと入って気ままに演奏」は一体どこ行った?😨

    
     うそつき
       

神様、味なアレンジじゃねーか。
先週見ていたらパスしていたかもしれん状況。
おまけに先週お気楽に「来週出るね〜」なんて言ってしまったもんで、ご丁寧にもその宣伝がお客さんに多く知れ渡ってしまってもいた😅


いらっしゃっていたお客さんは「あなたを観たくてやって来たんだよ!」とか、「初ライブおめでとう!」とか、わざわざ言いに来て下さったり、中には「君は今夜スターなんだから、セッティングが準備万端になって呼ばれるまで、ここでデンと座ってればいいんだからそれまで動くなよ!」なんて、情熱的なお言葉をかけに来て下さる方がいたり、有難いやら恐ろしいやら😭


普段はほろ酔いにちょうど良いジントニックが今夜は全く効きもしないし😑


そしてとうとう私の番。
皆さんお馴染みのシンプルな曲をたったの2曲。
1曲目を歌い始めてしまってからマイクが遠過ぎた事に気付き内心パニック!まずい💦こんな時、たったの数秒だって永遠にも感じる。どうにでもなれとそのまま歌っていたら途中からミキシングの人がマイクとキーボードのバランスを変えてくれたらしく、自分の声が立って来た。音響エンジニアを生業にしている夫はよっぽどミキシングに割り入ろうと思ったらしいが、有難い、そうなる前に気付いてくれた。良かった😭
しかし一番大事だと思って完璧になるまで何百回と練習しておいた箇所に限って間違いまくり😑


自己採点は50点、だけど少なくとも完走はした。
幸い、お世辞なのか何なのか、お客さんからの反応は思いの外とても良かった。とにかく人々の温かみに触れ、恵みの夜だった事には間違いない。


その晩、早速ビデオをLINEで母に送った。翌朝目覚めたら母から「楽しみがまた一つ増えたよ!どんどんやってちょうだい!」と喜びの返信が。歌好きだった亡き父への供養も含めて再開した音楽。親から離れた所で自分の苦手を克服するべく現実と闘っている娘とも気持ちを共にしたい、そうか、だったら例え”エセ”でも、ほんの細やかでも、出していく価値はあるか。


そして日課にしている朝イチの体重測定。
はは、たった一晩で2キロ減ってるぜ😅


相変わらず余裕なんて一切ない「血だらけのボクサー」な私。


たった2曲で大騒ぎさ。