1. Her elevator doesn’t go up to quite the top, doesn’t she?

2.Don’t  step in the shit, step over the shit.



この二つのフレーズは、今は亡きお姑さんが放った数ある名言の中で私達が特に気に入っているフレーズだ。


彼女の口から飛び出すフレーズは、とても英語的なリズム感があるのと、またそれとは逆に言語を問わないツボを端的に押さえる痛快さも併せ持っていた。


はっきり言ってTシャツにしたい🤩



“1”のフレーズは、夫が昔、彼女に新しいガールフレンドを紹介した後に彼女が言った言葉。

「あの子のエレベーターはどうも最上階に上がり切らなそうだわね。」要するに、簡単に言うと”頭が軽そう(air head)” というニュアンスだそうだ。
しかも、”her elevator”が主語なのに対して、文法的には付加疑問文なのに、”doesn’t she”とsheを主語扱いにして結んでいるのと、否定文が先行部に来ているのに後方のカンマ以下も否定形にしているところも面白い。

これは英語のテストだとバツになる。
でも会話だと、この間違いを敢えて混ぜ込むと粋になったりする😎 



“2”は、夫が姑と姑の住むアパートのエレベーターにもう一人の男と同乗していた時の話。

どうもその男は最初からとても感じが悪かったらしいのだが、降りる階がたまたま同じで、こっちはちゃんと場所を譲って男が先に降りるのを待っていてあげたのに、「退きやがれ、馬鹿やろ」みたいな文句を言って来たらしい。夫も普段こう言われて黙っているタイプではないので、ムッとした瞬間に姑が放った言葉だったんだそうだ。

「糞を踏むんじゃない、糞は跨いで越えなさい」

翻訳のセンスがないので私にはこんな粋じゃない訳が限界だけど、まぁざっくりした意味だとこんな感じ。要するに、バカを相手にするな、バカは適当にかわせ、という意味。
その時は、その男も夫も何を言われているか分からず一瞬キョトンしていたらしい。



亡くなる数ヶ月前から痴呆症が出てからも、彼女独特の痛快なフレーズはまだ時折飛び出して私達を笑わせてくれた。



普段は高い所が怖くて、雷にビクビクしていて、極度の心配症な小柄の女性、だけど、いざとなればジーザスの名において凛とした態度で怪獣でも黙らせる強さがあった。



そんな彼女の逝去を皆さまに報告するメッセージに夫は自分の母親の事を

”dynamite in the small bag 
(小さな袋に入ったダイナマイト)”

と表現した。


あの時夫が付けた母親の異名も、なかなか私のお気に入りである。