台湾ドラマなので、タイトル「倣」の字が「仿」です(作れないのでネットからコピペさせてもらいました)。 Netflixで約60分ものが全10話配信中。

 

 

 

 

大筋は同じものの、細かい設定はやはり日本のドラマと違いました。

 

 

まず、中心人物は犯人でもライターでもなく、検事のグォ・シャオチ。似たような(そして聞き慣れない)名前がたくさん出てきてワケわからないので、字幕と吹替を日本語で同時に出して観ました。← それでも最後まで名前は混乱汗うさぎ

 

 

台湾版ではグォ検事が事件の捜査を仕切り、刑事や警官は彼の指示に従い手足となって動きます。これって台湾では普通なのかなあ?

 

 

日本の検察も捜査はするけど、警察が逮捕した被疑者を起訴するかどうかのための捜査であって、刑事や警官に指示しながら犯人を探したりはしないと思うのですが…。

 

 

でも、確かに日本版では真犯人に気づいて追い詰めるのはライターの滋子でしたが、実際には捜査している警察のほうが自然だし安心な感じはありました(でも、だからこそ日本版は心理的にドキドキする)。

 

 

また、日本版で「一家惨殺事件の生き残り」だったのは、最初に手首を発見する塚田少年でしたが、台湾版ではこれがグォ検事になっています(塚田少年に相当する人物は出てきません)。

 

 

これが、まず違うなあと感じたところです。

 

 

それから、台湾版は全体的に画も話も暗くて残酷。日本版はテレビ用なのでそれほど残酷なシーンはなく、前回書いたように登場人物たちの心理が繊細に描かれていました。

 

 

最後に、犯人像。実際に手を下すチンピラ風の男は日本版も台湾版も似てる感じでしたが、彼を助けようとする幼馴なじみの設定は違ってました。日本版では知的障害があるカズ(満島真之介)でしたが、台湾版では障害はなく顔にヤケドの跡があるテレビ局のカメラマン。

 

 

ちなみに、台湾版のチンピラ役の俳優さんは、私が以前字幕担当した台湾映画『孤独 不倫の代償』(第17回 大阪アジアン映画祭出品作)の俳優フェンディ・ファンでした。やっぱり実力派俳優だったんだなあ。。。

 

 

 

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だけど、とにかく一番違うのはラスボスの正体とラスト。「え?驚き」って感じ。確かに自己顕示欲が強くて劇場型の犯人像だけど・・・「この人なの?」と思いました。意外というより設定的にありえるのか?と。それにグォ検事!いくら何でも・・・の展開に「え?ウソ」と声が出ました滝汗

 

 

この先、覚書兼ねていろいろ書きたいのですが、ネタバレになるのでこれから観る人は読まないでください。

 

 

 

***この先、進入注意!叫び***

 

 

 

日本版ドラマでは、主犯「ピース」は連続女性殺人事件を計画してヒロミを思うままに操って実行させ、カズの無実を信じる妹をもマインドコントロールして味方につけるサイコパス。

 

 

ドラマの後半、ヒロミとカズが逮捕されてからやっと出てきて、事件についての本を出し「真犯人は他にいる」と予言して世間の注目を集める。

 

 

台湾版では、Noh(「ノウ」能面を被っているから?)と名乗る主犯がテレビ局のニュースキャスター(ホーピン)だった、という設定。でも、あんなにテレビに出ていて顔が知られてる人が「ソドム」という店のSMショーに素顔で乱入して、残酷なことができるのかはてなマーク

 

 

すぐにネットに顔が晒されるかウワサになるじゃん!と思ってしまって、あとはちょっと興ざめ。

 

 

それに、日本版で演じた坂口健太郎さんの不気味さと幼少期に虐待されて壊れた心の闇・・・とか、その辺りの繊細な脚色や演技がなかったなあ。と残念。

 

 

逆に、繊細だったのはグォ検事。仕事熱心で毎日ほぼ徹夜で事件を追って犯人像を考え、被害者家族に寄り添って頭痛持ち。いつも静かに考え、薬を飲んでる姿にちょっと心を掴まれた。

 

 

なのに、なのに・・・あの冷静な検事が、愛する女性を殺されて我を失い、証拠もないうちにホーピンを殴り倒して、挙句の果てに発砲するというまさかの展開!煽り

 

 

いや、そりゃ刑事も検事も人間だから、感情に駆られてしまうこともあるでしょう。でも、グォ検事には私怨を排し、涙を呑んでホーピンを法でさばいて欲しかったなあ。

 

 

そうそう、リン刑事も娘を誘拐・監禁・乱暴されて我を失った。犯人ともみ合って現場で落とした拳銃を拾って隠ぺいしてくれたのはグォさんだったが、彼はその銃でホーピンを撃ったワケだよね。。。

 

 

本来なら弾や線条痕を調べられて刑事も責任問われそうなものだが、お咎めはなかった。というか、その点には触れてない。詰めが甘いぞ!

 

 

橋爪功さんが演じて感動を呼んだ被害者の祖父もさほどの存在感がなかったし、「模倣犯」の意味もちょっと違った。台湾版は、今のSNSで顔を隠し匿名で誰かを攻撃する社会を風刺しているメッセージもあった。

 

 

日本版ドラマでは、ライターの滋子が邦訳されていないアメリカの小説 "Just Because" をテレビで紹介し「犯人はそれを模倣したのだ」と言って(実際はハッタリだったが)、犯人網川の「模倣じゃない!」という自白を引き出した。

 

 

台湾版は、グォ検事と上司が筋書きを書き、上司が犯人と同じボイスチェンジャーを使って番組に電話をし「俺が本物の犯人だ。本に出てくるヤツは俺のマネをしただけだ」と言って、同じくホーピンの自白を引き出した。

 

 

最後、日本版では網川が逮捕されて終わるが、台湾版はホーピンが能面を被った誰かに刺されて死ぬ。法の裁きを受けることなく、自分が煽った大衆にやられて自業自得の最期を遂げる。

 

 

というわけで、日本版ドラマとはまあ別物と思って観ると面白いかもしれないけど、私としては日本版の方が全然よかったな。こうしてみると(ネトフリの10時間と比べれば)たった4時間なのによく深く掘り下げて描いたよな~と感動する。

 

 

で、2本観たらやっぱりオリジナルが知りたくなり、図書館で原作『模倣犯』をリクエストして取り寄せました。長いけど、頑張って読もうと思います!

 

 

 

 

 

 

ついでに・・・フェンディ・ファン出演⤵