久しぶりに息子のことを書きます。

 

 

先月から私と二人暮らしを始めたことは何度か書いてきましたが、自立に向けた生活改善は少しずつ進んでいます。

 

 

が、肝心の持病の発作が止まり切りませんでした。

 

 

私たちは、息子が9歳で突然てんかん発作を発症してから、15年間ずっと発作を止めるための薬を探して試行錯誤を続けてきました。

 

 

何しろ単剤では止まらなかったので、薬の種類と組み合わせ、量などが無数にあるなか、手探り状態で探していくので簡単には見つかりません。

 

 

中には、飲んだら逆に悪化して、歩いていて突然意識がなくなりバタンと倒れてしまう薬や、退行現象が出たものもあります(突然、幼児のように言動が幼くなる)。

 

 

脳の働きに直接の影響があり、しかも効果が徐々に出るので、合うか合わないか分かるのに時間がかかります。合わなかったと分かったり、症状が悪化した時の絶望感と悲しみと焦り・・・何しろ、日常生活や学校生活、受験などがありましたから、とりわけ本人には辛い日々だったと思います。

 

 

やっと試した新薬イーケプラ(レベチラセタム)が効いた時は本当にうれしかったです。それはすでに大学入試が終わってからでした。でも、その後も他に2種類飲んでいたので眠気と副作用はずっと続きました。

 

 

中でも、フェニトインという古くからある薬は息子には非常によく効いたのですが、副作用で小脳が委縮するためふらつきがひどく、毛深くなるので女性には使いづらい薬です。息子でも多感な時期に学校で「ゴリラ」とからかわれたくらいでした(随分あとになって知りました)。でも、文句もグチも言わずに飲み続けました。

 

 

それが今年の夏、コロナに罹り高熱で飲めず食べられず、おそらく私たちが見ていない時に発作にも襲われ頭の中がぐちゃぐちゃになり、薬も飲めずにいったんリセットされてしまったのです。

 

 

これまで息子は多剤を飲み続け、性格も生きざまも変わってしまっていたので、この際他の薬に切り替えるいいチャンスではないかと思いました。それまでは本人が頑なに「もう薬は変えたくない」と言っていたのです。

 

 

でも、医学はどんどん進歩しています。てんかんに効く治療法や新薬が出ているという話を聞くと、試してもいいのではないかと思っていました。

 

 

とりあえず、入院先の医師に相談しながらフェニトインだけは切って安定していたのですが、退院してきてから軽い発作が時折出ていました。

 

 

11月は2週間に1回程度。今週末は土日と昨日、3日連続で出ました。時間も発作の状態も全部違うので予測不能。しかも、昨日は昼過ぎ、事業所からの帰りに道路で起きて車道側に倒れてしまいました。咄嗟に支えられず慌てましたが、車が来ていなかったのは不幸中の幸いでした。

 

 

何と偶然にも警察の庁舎の前だったので、数名のお巡りさんたちが飛んできてくれて息子を歩道に移動させたり、車の交通整理をしたりしてくださって助かりました。

 

 

あちこちすりむいて少し頭を打ったので心配して救急車を呼んでくださいましたが、打ち身だけですぐに意識は戻りましたし、この日は以前からなかなか初診の予約が取れない「てんかんセンター」の予約が15時に取れていた日だったので、救急車には乗りませんでした。

 

 

でも、いろいろな方に助けられて本当にありがたかったです。何度もお礼を言って、マンションに戻り、少し休んでから夫の迎えの車で隣町にある「あさかてんかんセンター」へ。

 

 

静岡にある「静岡てんかん神経医療センター」は高校生まで通ったきり。その後は(先日事件のあった)戸田中央病院での検査を受け、近所のクリニックで薬だけもらっていたので、大きな専門病院は久しぶりでした。

 

 

予約の30分前に着いてクリニックからの紹介状を出すと、3枚ほどの用紙に今の状態や薬のこと、心配事などを記入して15時半過ぎに呼ばれました。月曜日のせいか待合には人が多かったのですが、その割には早かったと思います。

 

 

診て下さったのは、思ったより若い男の先生でしたが、9歳の発症時から病状や発育状態、発作の程度、薬のことなど時間をかけて丁寧に聴いて下さりながらパソコンに情報を打ち込んでいました。

 

 

その先生も静岡の先生と同様、すぐに「これは特発性(原因不明)の焦点性発作(部分発作)ですね」と診断され、今は副作用の少ない新薬がいくつかあること、もう1剤増やして止まらなくても迷走神経刺激装置(VNS)植え込み術などの外科的な治療法もあるといろいろ紹介してくださいました。

 

 

毎日たくさんの患者さんに接し、症例や薬剤の情報が多く、手術の実績も高い病院の先生なのでやはりお話を聞いてとても安心しました。次回の脳波検査とMRIの予約を入れて帰ってきました。

 

 

息子もVNSのパンフレットを熱心に読んだりして、その後少し穏やかな表情になったようでした。とりあえずは、外科治療をしなくても済むよう、先生が勧めて下さった新薬を飲んで、穏やかに過ごさせて様子を見たいと思います。

 

 

昨日は久しぶりに外で倒れて心配しましたが(小学生以来)、困っても周りの方が助けて下さったこと、いい専門医の先生に出会えたこと、とてもありがたいと思いました。

 

 

てんかんは100人に1人と言われる、割とよくある病気ではありますが(私の受け持ち生徒にも毎年いました)、脳神経の話なので、軽く済む場合も息子のように難治になる場合もあり、効く薬も組み合わせも十人十色でやっかいな病気です。

 

 

18歳未満で発症することが多いと言われますが、最近は高齢者でも増えているそうです。私も両親が2人とも脳梗塞に罹ったので、脳は心配です。何かあったらこちらに早めに相談しようと思いました。長いおつきあいになりそうです。

 

 

病院に入っているタリーズで、温かい「アイリッシュラテ」を頂きほっこりしましたほっこり