先週はホラー映画の翻訳をしたのですが、初めてのメキシカン・ホラーでした!
メキシコと言えば、あふれる太陽、マラカスにギターにソンブレロ
何だか、とても陽気なイメージ。食べ物も、タコスにタコライス、メキシカンピラフなど、ちょっと香辛料の効いた美味しそうなものが多いですよね。
一方、治安はイマイチと聞きますし、最近お知り合いになれたメキシコ在住のブロガーさんのブログを読むと、いい加減な のんびりした国民性に笑っちゃったり、住むのにはちょっと覚悟がいるのかなとも思います。
そしてダークな一面として、15~16世紀に栄えたアステカ文明では、神への祈りを捧げる儀式で実際にいけにえを使っていたようで、健康な若者や子供の心臓を抜き取ったとか、敵の皮を剥いだとか伝えられています(映画より怖い現実…)
証拠の人骨が大量に発見されたというナショナルジオグラフィックの記事(2012)
なんと、メキシコには「死者の日」があってその日に食べる「死者のパン」というのがあり、それはいけにえとして捧げた心臓に似せているとな?
現在でも不思議な神話や民間伝承がいろいろと残っているようで、呪いや黒魔術、魔女が大鍋でぐつぐつ煮ているような世界が、中南米ならどこかにありそうな気がしてしまいます。
今回の映画も、村にまつわる古い言い伝えが元になっていたのですが、結構ホラーを見慣れてきた私でも、鳥肌が立ちました。ぞわぞわぞわ〰〰
ところで、鳥肌が立つことを「身の毛もよだつ」と言いますが、「よだつ」って何だろう鳥肌は「立つ」なのに「身の毛」は「よだつ」…なぜ
と思って調べたところ、「よだつ」は「弥立つ」と書くそうです。元々の読み方は「いやだつ」「いよだつ」
《「いよだつ」の音変化。多く上に「身の毛」を伴って用いる。恐怖または寒さのために、ぞっとしてからだの毛が立つ》(『デジタル大辞泉』)
すでに、平安時代後期の『今昔物語集』には出ていた古い言葉のようです。
また「弥」の漢字の意味は、《①あまねし。ひろくゆきわたる。「弥天」「弥漫」 ②時を経る。ひきつづく。ひさしい。わたる。「弥久」「弥月」 ③つくろう。とじつくろう。「弥縫」 ④おさめる。やめる。 ⑤いよいよ。ますます。いや。「弥栄(いやさか)」》(『日本漢字能力検定協会漢字ペディア』)
とあるので、⑤の「いよいよ、ますます、いやます」の意味なのかなと思いました。怖い話を聞いているうちに、ますます身の毛が逆立つほどの恐怖を感じる、という強調的なイメージ?
とにかく、欧米のホラーによくあるような、人が襲われてどんどん死ぬって話より、呪いやまじないなど、人知を超える神秘的な力というのは日本でも古くからの伝承で残っているせいか、身近で恐ろしい感じがしました。
この映画、翻訳が仕上がったばかりなので形になるのは半年くらい先だと思いますが、またDVDなどになったらご紹介したいと思います。