久々に美術館に行きました。
午前中、家からオンラインで授業をしたあと、軽くランチをしてから上野の森を散策。現在、東京都美術館で開催中の「イサム・ノグチ / 発見の道」展 に行ってきました。
イサム・ノグチ(1904-1988)は、日本人の父と日系アメリカ人の母を持ち、自分のアイデンティティーに悩んだ上、戦争中に両親の祖国が敵国同士になるというつらい体験をします。
私たち夫婦がニューヨークに行ったのが、1988年でした。当時、私はまだ彼の名前を知らなかったのですが、よく現地の新聞の特集で取り上げられていて知りました。亡くなったばかりだったんですね。
彼の作品は、とにかくダイナミック!
ニューヨークのウォール・ストリートから少し北のブロードウェイ沿いにある、有名な Red Cube(レッド・キューブ)など、その大きさに圧倒されます。
画像はネットからお借りしました。私のは車から撮ったピンボケで…
コチラの方が人との対比で大きさが分かりやすいですね!
四隅の1点だけですべてを支えているそのバランス感覚にも驚きますが、この大きな作品が1968年のものだということも衝撃的です。今なら、たくさんのアート作品があって、ポップなNYの街になじんで見えますが、当時としたら、かなり前衛的な作品だったと思います。
私は絵画は好きなんですが、前衛的なアートや場所を取る彫刻などは苦手で、今まであまり見に行ったことがなかったのですが、帰国後、イサム・ノグチが高校の英語の教科書に取り上げられていて、調べてから興味を持ちました。
むしろ、彼の戦争体験や、日本にいる父親とは離れて育てられたこと(一時は母親とも離れていた)、コロンビア大学の医学部(!)に入学したのに、野口英世に才能を認められ芸術家になったこと、などその生い立ちや経歴に興味を持ちました。
広島平和記念公園の慰霊碑デザインでは「原爆を落としたアメリカの人間」だということで選考から外され、晩年アメリカ大統領の慰霊碑をデザインした時には「日系人」ということで採用されず・・・特に戦争があった時代に生まれたために、二国間の狭間でとても辛い思いをしてきたのですね。
それでも、生まれた境遇をなげいて世を恨むでもなく、常に世界平和を祈りながら活動されていたそうです。広島の慰霊碑には採用されなかったけれど、近くの橋の欄干をデザインしたとのこと。それについては、詳しい情報がこちらに載っていますのでご覧ください。
さて、美術館の方は閑散として静かでした。作品もそんなにたくさんはないので、すぐに回れてしまいました。
「あかり」のインスタレーションはやはり写真よりも実物の方が迫力があります。(B1と1Fの展示は写真撮影OK)。
電気屋さんみたい?いえいえ、アートですよ~
この椅子、実際に座れます。
これは遊具。他にもたくさんの遊具をデザインしてますが展示はこれだけ。
「不思議な鳥」、なんだかユニークでかわいい。
「淑子さん」。奥様で女優の 山口淑子(李香蘭)さんがモデルなんですね♡
そして、「黒い太陽(Black Sun)」
2Fは、晩年のイサム・ノグチが香川県牟礼町のアトリエで取り組んだ、花崗岩の石彫作品があり、こちらは撮影NG。大きな石の世界に圧倒されます。各階にNHKのインタビュー映像もあり、野口さん、日本語も上手だったんだ~と分かりました。
極めつけは、1Fのカフェで頼んだ「イサム・ノグチ展」特別スィーツ 土台の「石彫」はティラミス、「黒い太陽」はドーナツでした。もう本物もドーナツにしか見えなくなった・・・
ちょっと量が多め。でもメッチャ暑かったので、アイスが食べられて満足~
心もお腹も満たされてよい半日でした。しっかし、この暑さ、今年の夏も思いやられます