Diary 8 は sorority(ソロリティ)という学校の社交クラブに入るための、intiation(イニシエーション)、入会儀礼について書かれています。
Diary 7 で出てくるギャングのように、ケンカをふっかけるとか危険なことはないとしても、自分の性生活を言わされたり、そのクラブのカッコいい男子に恥ずかしいことをされたりするのを、我慢して儀礼通過できた女の子だけが入会を許される、というけったいなルールがあります。
この生徒は、性体験がないので、幸い変な告白をしないで済みましたが、いっしょに参加した子は、相手のボーイフレンドを連れてこられて、みんなの前で恥ずかしい思いをさせられ結局入会をやめました。
The rest of the pledges and myself thought the worst was over. Little did we know the worst was yet to come.
「他の入会希望者も私も、最悪な場面は終わったと思った。でも、最悪なのはこれからだった」
the rest というのは「残りのすべて」、pledge は「誓い」という意味ですが、ここでは「新入会員」。後半の文は倒置になっていてちょっとわかりにくいです。
little 「ほとんど~ない」という副詞が前に出て、did が強調なので、本来の語順では、
We little knew that / We knew little that~ 「ちっとも知らなかった」
となります。また、yet to come は「これからやってくる」という意味です。
このあと、少女たちは夜公園に呼び出され、地面に寝て男子におしっこ(pee)をかけられたり、この子もビールや卵をかけられて、ぐしょぐしょになります
たいていの子はここで脱落するのですが、この子はせっかくここまで耐えたし、このクラブに入って仲間といっしょのトレーナーを着ることが一種のステイタスであり、居場所になるからと、最後まで耐えて入会しました。
他にも、文字を書くのが苦手で、文字が嫌なら絵を描いてもいい、とエリンに言われて喜ぶ生徒や(日記にはそれを文字で上手に書いていますが)、dyslexia(ディスレクシア)に悩む生徒が、エリンに励まされた様子を書いています。
ディスレクシアとは、「難読症」といって文字が記号のように見えてしまって、普通に読めない LD (Learning Disorder) 学習障害の一種です。トム・クルーズやスピルバーグがカミングアウトしています。
Diary 11 の生徒は、教科書が読めないのでさんざんからかわれたり教師にもバカにされたりしてきました。バカにされないよう、スポーツで体を鍛え、その後も不安を抱えながらこの高校に来るのですが、彼はエリンに出会えてラッキーでした。
"On my first day of high school, I met Ms. Gruwell. She's my English and reading teacher. I've learned a lot from her. She doesn't call me lazy or stupid. I have learned that reading can be fun. It is still diffucult at times, but I don't get that knot in my stomach when I read out loud."
「高校での初日、僕はグルーウェル先生に会った。国語と読解の担当だ。僕は先生からたくさんのことを学んだ。先生は僕を『怠け者』とか『馬鹿』とか呼ばない。僕は本を読むのが楽しいと思えてきた。まだ難しい時もあるけど、声を出して読む時に胃が痛くなることはなくなった」
なんか、ちょっと泣けてきます
みんな、それぞれ家庭や地域や心に問題と心配をかかえて、それでも心の平安を求めて、居場所を求めて、必死に闘っている。家庭に問題があったら、学校や友人に救いを求めるしかないのに、教師の心ない一言で、どれだけ生徒が傷つくか。
また、逆に先生の一言や、その子のいいところを見て伸ばしてあげたい、という気持ちで、生徒たちは変わっていけると思います。
この子は、字が読めないことで馬鹿にされてきたので、スポーツ(野球)でがんばってきました。エリンにもこう応援された、と書いています。
"Ms. Gruwell has also encouraged me in my one true love --- sports. She told me that a lot of dyslexic people do really well in sports to overcompensate for people laughing at them in the classroom. Now I know if I work hard in school and in sports, I can succeed in both."
「グルーウェル先生は、僕が唯一大好きなもの、スポーツでも僕を励ましてくれた。たくさんの難読症のスポーツ選手が、教室で笑われた経験を跳ねのけて活躍している、と教えてくれた。だから、僕も勉強とスポーツでがんばれば、どちらも成功できると思う」
compensate は「補償する、補う」です。over 「~を超えて」がついているので、辞書では「過度に補償する、過剰反応する」とありますが、笑われた屈辱の経験を補ってさらにそれを超えて余りある活躍、ということです。
素晴らしい。ホントに感動します。
「子供は褒めて育てる」…わかっちゃいるけど、忙しい親や先生はつい怒っちゃうんですよね。でも、その子によかれと思ってしつけているつもりでも、言われたほうとしては反発感しか湧いてこなくて逆効果。
言い方も、「~しないとXXXだよ!」ってこと言うと、XXX には否定的なことしかこない。でも、「~すれば〇〇〇だよ」って言えば、○○○には、いいことがきて希望が湧く。
私も今年は「怒らずに励ます先生」を目指します(去年はちょっと、いやだいぶ?うるさい男子に怒ってたから)…とりあえず、遠隔授業でよかった
You can do it! I can do it!
書籍版は売り切れたようです。こちらはkindle 版
こちらは映画(DVD) 。字幕、吹き替え、音声解説付き
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