ー良いことをしてれば、回りまわってきて、必ずどこからか良いことが舞い降りてくるー
母に言われてから、私は幼少期から一日一善を始めた。それが1つから2つ、3つと増えていくのである。気づけば、他人のために尽くすことや正義心がかなり強くなっていた。それにより、味方を増やすと同時に敵も増えていくのである。敵にするのは、もともと誰かに悪いことをした者である為、そんな腐った人とは仲良くする必要は微塵もない。
もうおわかりだろうが、私は白か黒かの人間なのである。
よって、逆恨みの被害はよくあることなのだ。
さて、話を戻そう。
真冬の外でにアイスを食べる私に機嫌の良い浩子が付き合ってくれる。先輩の番号を手に入れたお礼だったのであろう。
そんな浩子を見ていたら、とても良いことをした!と私は満足していた。大仕事をして疲れたら、あとはもう寝るだけだ。私の中のスイッチがoffに切り替わった瞬間だった。
「さぶっ!」
年上の男性の声が耳に入ってきた。
コンビニの前で座り込みレモン味を噛みしめていた私にそう言って、男性が近づいてきたのだ。私はとっさにその男性を視界にいれまいと逆の方向を見る。
なぜって?知らない人とは関わりたくないからだ。ましてや、女の子に気軽に話しかける男性には要注意人物でしかない。
無視した私をすぐに諦めて、コンビニに入っていくのがわかった。すぐさま確認しようと振り向くと続々とどこからか男の人がコンビニに集まってきたのだ。すぐに友達同志であることがわかった。大勢ならば、更に厄介である。テンションが上がって調子に乗るからである。
「帰るで!」
浩子にそう言って、私は自転車にまたがった。
「待ってや!さっきの人…やばいって!」
と言って浩子が動かない。私は苛立っていた。
「もうええって!はよ、帰んで。」
私は慌てて、移動しようとする。
浩子はそれを制止して、こう言った。
「待って、待って!」
コンビニから、先程の男性がやって来たのだ。私には服の色と形しか認識していなかったのであるが、すぐに彼だと理解した。
「自分等が食べてるから、俺も食べたくなって買うてもうたわ(笑)」
そう話しかけてくる彼をよそに、私は浩子に帰ろうと迫る。
「そのアイス、美味しいやんな~❤」
問答無用に見向きもせずに浩子が彼に言った。二人は近づき、話し始めた。
彼の友達はというと、コンビニの前で散って、それぞれ話し込んでいたので自由行動のようだ。服装はバラバラでスーツを着ている人もいれば、ジャージの人もいる。こんなに服装の種類が被らずに、似てもいない団体が他にあるのか?まるで、人間図鑑だった。待ち時間の間にどれだけ暇だったことか…
ダル…眠い…寒い…帰りたい…疲れた。
しまいには、頭のなかにぐるぐると思いが巡っている。気づけば、20分も待たされていたのだ。限界を感じた私は、楽しむ浩子にこう言った。
「悪いけど、うち、先に帰るわ。まぢで眠いねん。」
もう思考回路は停止していたし、身体がもう動けないと悲鳴をあげているかのようにふらふらしていた。
「うちも帰る。」
とようやく浩子が動き出す。辺りは暗く、身体は芯まで冷えていた。
彼女が自転車を準備している隙に彼の友達であろう色眼鏡をした男性が近づいてきた。一昔前のヤンキースタイルである。
「お前の友達、待たせすぎやな。気をつけて帰りや(^∇^)」
それって、どうなん?と言いたそうだったが、私が話をしたくないのを察知したようだ。だが、彼の気遣いはたまらなく、好感が持てたのだ。
だから、私は笑顔で答えた。
「ありがとう!」
ちょうど、浩子の準備が出来たので、私は色眼鏡に挨拶をした。
