中学校3年生くらいのときでした。

私がある町の公園で遊んでいたときのことです。

その公園には池がありまして、そこにバルサ板の破片がおちておりました。あの、模型工作などに使う軟質木材です。

何気なく拾ってよく見ると、模型の船などに使うライトが付いておりましたので、船の模型の破片だとすぐわかりました。

ミニチュアのライトは、自分で模型を作るときに使えると思って貰うこととし、取りはずしました。

その後、板はもう用無しなので捨てようと思ったのですが、何やらやけに重いので捨てることを思いとどまりよく見てみると、板は二枚重ねになっており、中に何か金属片がはさみこまれているようでした。

私は、「ははあ、模型の船の重心を取るためのオモリに、何か金属をはさんだのだな」と思いました。

バルサ板というものは、木材としてはとても柔らかいので、裂きイカでも毟るように中の金属を取り出すことに成功しました。

取り出した「それ」を見て、私は唖然としました。

なんと「一分銀」ではありませんか。

あの、江戸時代に使われていた長方形の銀貨で、一両の4分の1という当時ならば相当高額な貨幣でして、現在でも古銭としての価値は結構あり、ものによっては何万円もします。

私は高鳴る胸を押さえ、「なるほど銀だから重かったんだ。これは神様のお恵みだ。」とすばやくポケットに収め、家路につきました。

父親に「一分銀拾ったよ」と言いますと、何をバカなことを言っているのかいう顔をされましたが、現物を見せたらもっとびっくりされました。

おそらく模型好きな子どもが、船のオモリにしようとして家の中を捜していると、何やらやけに比重の大きい金属があるのを見つけて、それがなんであるのかも知らず、これは丁度いいとばかりにオモリに使ったものの、船が壊れたのでそのままうち捨てていったのではないかと推理しました。

実に恐ろしきは無知といってよいでしょう。

皆様も、大切なものはくれぐれも子どもの目に付かない所にしまいましょう。

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