
このF300を初めて見た時は腰を抜かしたですよ。あのメルセデスが世に問うファンカーがなんとスリーホイーラーなんですから!よくクルマメーカーがコンセプトカーとしてスリーホイーラーを出品することはあっても、どうもショウのための打ち上げ花火的な印象が強かったモノですが、このF300が凡百の作品と違っていたのは、なんといっても技術者の夢「リーン・ホイール」でしょう(クルマが傾くと同時に前輪も一緒に傾くんです!)。このリーン・システムはATC(アクティブ・チルト・コントロール)で制御され、油圧、機械、エレクトロニクスのそれぞれの情報、動作を瞬時に同調、調和させるもので、まさにF300の「キモ」といえるでしょう。この車体の抱くパワーユニットは当時デビュー間もないAクラス用の4気筒ユニット(よく収まったモノ!)。軽快な走り味が容易に想像され、好き者(「変態」ともいいます)の間では「現代版メッサーシュミット!?」的に好意的に迎えられたのですが……。結局市販までには至りませんでした。私が想像するに、このF300発表直後に起きたAクラスの「エルク・テストでの転倒」スキャンダルが遠因だったのではないでしょうか。メルセデスの社運をかけたクルマに降りかかった、同社の安全神話さえ揺るがしかねない問題にてんやわんやなのに、どう考えてもタイヤ1個分不安定なはずのヘンテコカーにかまってられないよ……というのが本音だったのでは、と邪推してみたりするのです。しかし、フォルクスワーゲンもプジョーもスリーホイーラーのコンセプトカーで様子をうかがっているようですし、ここは1つ……とつい思ってしまうのは好き者(「変態」ともいいます)の悪いクセでしょうか?

















